2003年3月28日(金)

学習院文学部「研究年報」のこと

ひつじでは、年度末に学習院文学部の紀要「研究年報」を製作のお手伝いをしています。もう、作り始めてから8年にもなります。今年は、インターンの北村がつくりましたが、いろいろな苦労があります。

苦労というのはたいへんだとか、いやだという意味ではありません。文学の学術紀要なので、いろいろなことばがでてくるので、普通の研究書を創るのとまた違った注意が必要だと言うことです。具体的に言うと、異体字もあれば、古代英語もあれば、ギリシャ語もあるということです。ギリシャ語がでてくるということで、写研やエディカラーなどの商業用の組版機が使えません。普通は、写研の機械などよりは小さい用途で使われると言われているマックのDTPのソフトを使っている。ギリシャ語フォントが充実しているからです。ギリシャ語にはアクセントがあり、写研などでは入らない。欧文フォントの少し変わったものの場合、DTPの法が優れているから不思議。

私はアテネフランスで、ギリシャ語を(ほんのわずか)勉強したけれども、こんな感じでしょうか、くらいのことしかわからないけれども、そんな文字でもDTPならはいるのが不思議。

紀要は、世間では読者が3人しかいないなどと悪口を言われることもありますが、学習院大学の「研究年報」に関しては、優れた論文がのっていると思います。『文学者はつくられる』も紀要を読んで、本にしようと山本先生に本にすることをお願いしましたし、『市民教育とは何か』も紀要で長沼先生の論文を読んで、感銘したからです。すこし例外的なことでしょうか。でも、他の大学の紀要にも優れたものはあるでしょうから、見落としているとしたら、残念です。大学の図書館の書庫にでも1週間くらいでもはいって、いろいろ読むべきでしょうが。残念ながら、余裕がありません。反省。もし、紀要に書かれた論文で、抜き刷りなど余っていましたら、私宛に送っていただければ、読むこともできますので、とあつかましいお願いで申し訳ないですが、お送り下さい。さらに、紀要の製作から、ひつじに任せていただけるととてもうれしいです。ひつじ書房なら、紀要に載せた論文をそのままにせずに書物にまですることができます。(印刷所に紀要の製作を依頼してしまうのは、この点で、確かにコストは低いかもしれませんが、とてももったいないと思います。印刷所には編集者はいませんから、すくい上げて本にするという可能性はゼロです。)ひつじでは、紀要ではありませんが、紀要に近いもので学術同人誌として『接続』と刊行しています。リブロではけっこう売れています。三宅和子先生たちと進めている『メディアとことば』も年刊の学術同人誌ともいえるでしょう。紀要や学術同人誌も創っていきたいと思っていますので、お声を書けていただければ幸いです。『medi』は寝ていますが、もうすぐ起こします。オンラインジャーナルもご相談にのります。

さて、今回、3年間、学習院大学の文学部の窓口になってもらっていた野沢さんが、学習院大学の学部長室の仕事を離れられるとのことで、北村と挨拶におじゃました。学部長室の方は優秀な方でてきぱきしているので、いっしょに仕事をしていて気持ちいいのですが、いつも丁寧な仕事をされていて、とても助けられました。感謝しています。これまでの3年間、どうもありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。

日誌 2000年2・3・4月 日誌 2000年5月日誌 2000年6・7月日誌 2000年8月日誌 2000年9月〜11月

日誌の目次へ
ホームページに戻る


ご意見、ご感想をお寄せ下さい。

房主
isao@hituzi.co.jp