2002年9月18日(水)
「歌に歌に歌に」ではなく(つづきのつづき)
『限界芸術論』(鶴見俊輔)を必要があって、読んでいるが、筑摩文庫の解説は、どうも、どうして、こんな人に書かせたのかと思わせるものである。
「限界芸術」は、大衆芸術と純粋芸術の二分を越えた可能性を見つけるために提唱された視点だと思う。ところが、解説者はそのことすらわからずに、サブカルチャーのことだと思っているし、現代文化の中のサブカルチャーというものの持っていることのいろいろな矛盾をとらえられないかと困っている立場からすると、どうも脳天気過ぎる。
全共闘世代の人は、どうも単純すぎるようだ。
サブカルチャーと呼ばれていたものは、すでにメインカルチャーになっている。残念ながら、カウンターでもなければ、主流文化に責任を持つという立場にもならない。これはまさに全共闘世代、団塊の世代のことではないか。
限界芸術とは、サブカルチャーのことでもなく、純粋芸術のことでもなく、商業的な、興業だけが中心のものでもない、仕草のようなものだろう。このような解説者に書かせてしまった編集者の見識を疑わざるをえない。
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