2002年1月23日(水)
活版の歴史がまたひとつ閉じていった
できあがった『ことばのエクササイズ』をもって、トーハンに行って、さらに日販に行こうと特に考えなしに裏道を通った。偶然だろうか。私が前に勤めていた会社でよくつきあっていた活版の印刷所の前を通ると、印刷機が置いてあったはずの場所に人が集っていて、それは以前の勤め先の上司の坂倉さんではないか。その他、何人かで紙型を片づけているところであった。その印刷所の社長に挨拶した。私の年で活版の経験がある編集者は少ないが、社長にはいろいろとお世話になった。活字のこと、異体字のこと、教わったことは数しれない。とりあえず社屋を売り払って、借金を帳消しにしたあとで、ブローカーを続けるということだった。
まだ、仕事を続けていけるということは幸いなことだ。しかし、活版所がまたひとつ閉じていった。昨年が、父親が創業から50年。それまではと頑張ってきたとのことだった。印刷の原本を渡そうと思って、机の上に出して置いたということで、ひつじ書房になってから唯一仕事をしてもらった1冊の本を受け取って、日販への道を急いだのだった。
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