2001年11月16日(木)
詐欺師以前としての貧乏パトロン
編集という仕事は、どんな仕事なんだろうとあらためて考えてみると不思議な商売だ。「読者に依存した貧乏なパトロン」ではないか。パトロンは金持ちでないといけないのに、金持ちではない。読者が買ってくれるという約束もされていない手形を担保に、勝負に出るわけだ。これでは、詐欺師以前ではないか。
読者が重要ということ、読者が大枚をはたいてくれるかどうかいつも気になるし、目の前の読者が買ってくれることがあんなにもうれしいのはそのためだろう。書いてもらって、買ってもらってやっと循環するからだ。そうでなければ、すべての労は、買い手のいない独りよがりの幻想だったということになる。すでに手元に本という物質になっているにもかかわらず。
売れると自慢話ばかりしがちなのは、そうして幻想と実際とをバランスをとっているからだろう。しかし、今の時代、それでは、おさまらない。
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