2001年10月22日(月)
新しい都市伝説
ビジネス支援図書館推進協議会の講演会で、秋田に行った。その時の車中で、奥さんの知り合いの知り合いから、アラブ人に道を聞かれて、親切に道を教えてあげたところ、あなたはいい人なので教えてあげますが、地下鉄に乗らない方がいいですよと言われて、その後、怖くなって、交番にいって、その話をしたら、指名手配の写真のリストを見せられてその中にその道を聞いたアラブ人がいたという話を聞いたということ。ところが、それとそっくりな話を、数日前に聞いていて、ひつじに来ている学生さんの妹の知り合いによると、アラブ人に道を聞かれて・・・その後は全く同じ。その妹さんは、姉さんに携帯でわざわざメールを打ってきて、今地下鉄に警察官がたくさん出ているよ、ということを教えてくれた。
都市伝説の研究者は、このまさに生成している伝承に注目して、リアルタイムの研究ができるだろうと思う。風説の発生ということ。新聞への批評を佐野真一がしていて、狂牛病の件で、新聞は、風説をあおるばかりだと指摘している。まったくもっともなことだ。
しかし、商品の流通が、人々の目に見えなくなってきている中で、それぞれの流通の過程に関わっている人も、その人の手に入る以前のことを確かめようもなく、また、流通がこれだけすすんでいるにもかかわらず、後付で調査しようとするとほとんど現代流通網は、手の打ちようがないということ。機械化による物流、生産過程の機械化を信じるという前提で、実際の人間の目が入らないようにし、それによって、効率化を進めてきた。自前で、丁寧で作っている商品よりも、安価な飼料で、機械的に作っている方が安く、市場を席巻した。
そのために多くの場所が、ブラックボックス化してしまった。もし、ブラックボックスをやめようとすると、莫大なコストがかかることになる。消費者は、牛肉がだめなら、鳥でもよく、きちんと説明できないのであれば、その市場から、急に待避してしまう。一方、安価な商品を求めると言うこと自体も消費者の(大企業がそのように教育したという側面はあるものの)要望でもあったわけだ。したがって、安価であることと危険性をはらんでいると言うことを、天秤にかけて、多少の危険性を許容するということを主体的に、あるいは結果的に選ぶと言うこともあり得る。
そのような社会であるという前提で、これから、安全性をより重視して、コストが多少かかってもそっちを選ぶのかという選択を意図的にしていく必要があるのではないだろうか。しかし、一方、セブンイレブンのようなPOSを徹底的に作ると言うこと。飼料から肉牛の個体番号まで管理して、安全性を作り出すという方法もあるだろう。しかし、これは一方では、すべての情報を集中して管理すると言うことでもある。
たとえば、牛肉のパックのバーコードを読みとると、どの飼料をつかい、どこの牧場で育てられ、誰が飼育し、どこで精肉され、どういう経路でそこまでとどいたかを読みとることができる・・・。そのような情報が付加されていない商品は販売することがそもそもできない。
ということは、この方法はまさにコンテンツIDフォーラムのと同じだが、リアルな商品というものも、実は、それが安全であるという情報がいっしょに付いて届けられるべきだということになるし、そのためにシステムが必要だと言うことだ。複製可能な無記名性の強い商品を作ってしまうと言うことは、このような危険を増大させるということなのだろう。
であるならば、昔の効率の悪いシステムも案外そのような信用(情報)を付加するためのものであったとも考えられないだろうか。
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