2001年7月30日(月)
千川とスティーブ・ジョンソンさんの講演会
27日は、ポートランド大学のスティーブ・ジョンソンさんの講演会であった。私も「進化する図書館の会」として共催者の一人であった。この会をお知らせするために、図書館問題研究会のメーリングリストのメンバーになった。メーリングリストにも流した。残念ながら、図書館関係者の出席はなかったようだ。思うに、大学や図書館という知的なシンクタンクともいうべきボランタリーセクション(NPOといってもよいし、公共的な知的な機関といってもよい)が、地域に実際に役に立つことをする、地域からたよりにされる場所になるということは、非常に重要なことであり、「公共機関」の生き残りのためにも必要なことだと私は思っているのだが。
と同時に、やはり地域の側の参加というものがあってもよかったと思われる。何だか分からないアメリカの説教師による「Dデイの日」なる公演のポスターが、文京区の掲示板にでかでかと貼られていたのをみた私としては、もっと地元への宣伝が行われても良かったと思うし、そのチャンネルを持たないでメールでの広報だけに頼ることは危険だし、怠慢ということになるだろうとも感じた。これは自分にも振り返ってくる課題であり、私が共催者として参加した理由のひとつには、地元の図書館を変えたいという気持ちがあって、そのことに関心を持ってくれる人がいないかを探すと言うような期待があったのだが、先に述べたようなことをしないで、そのような人が見つかるはずもない。
講演の内容としては、ジョンソンさんが、エコロジーの運動をやっている中で、河を自然にする運動をやっているということで(通訳の方は、非常に有能であったのだが、私の理解力では誤解があるかも知れない。)、あー、河のことをやっている人なんだなとふと思った。この点が興味深かった。つい最近読んだ本で、会場であったシビックホールのとなりの道、千川通りは昭和初期に埋められてしまったということが書いてあった。その河がもう一度掘り返され、コミュニティに中核になることがないのだろうか、と感じた。千川は、小石川ともいい、要するにこの地域の中核になるはずの川なのだ。(もっとも、今となっては信じられないが、小石川は「太陽のない街」のモデルの地域であり、かなり貧しい人が多かった地域であり、川の回りが貧しい人々の場所になってしまって、それを覆い隠すために埋められたという可能性がある。主体的に決定できるような地元の住民がいなかったか、あるいはくさいものに蓋をしてしまおうというような気持ちが地元にはあったのかも知れない)そんなコミュニティの主柱になるべき川を埋めてしまったからこそ、コミュニティが崩れているのかも知れない。
また、川と言うことで言えば、「千と千尋の神隠」のサブテーマは、川のことであり、また、主人公が千という名前で呼ばれるということからして、符丁があうともいえる。(ぜひ、映画をご覧になることをおすすめしたい。)
ポートランドは、空に飛び出ている高速道路を廃止し、地上に戻すと言うことをしたことで知られているそうだ。川を掘り返したり、コンクリートの護岸をやめて、環境工学をもつかって、草の岸にかえていくということはあちこちではじまっている。もしかしたら、文京区でもそのような川の再生が行われる日が来るかも知れないと夢想した。
飲み会の場で出た話だが、共催者であった「文京教育トラスト」が、最後に場所を探しているということになって、なかなか見つからないが、理解のあるお寺が近くになるが、メンバーの中にはお寺はどうかという話になっているとのことだが、いいんじゃないかと助言した。そうしたら、その飲み屋の女主人が、たまたま、そのお寺と同級生だとのことで、紹介してもいいと言ってくれた、新しい縁がそこでもできるのかもしれない。お寺の人は地元のネットワークを持っているだろうし、単に立場をこえたつながりがさらにそこから生まれていくかも知れない。
しかしまた、まち作りで有名なあるNPOに所属している人が、NPOは500万円までしかかりられないが、民間企業なら、3000万くらいは簡単にかりられるといっていたので、冗談じゃない、私などは、そんなに借りられないよ、というと「ビジネスモデルが多少きちんとしていれば、借りられます、あなたは1社しか経営していないが、本職の公認会計士としてはそんなの沢山を見てきたんだから」というので、さらに私の経営能力がないというのかー(たしかにそうだけど)と憤慨した。でもまあ、それが本当なら、もう少しは借金ができることになるから、喜ぶべき情報をもらったと思うべきかも知れない。
でも、NPOが500万しか借りられないという法律が本当にあるのだろうか?
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