ポジティブな価値を作るためのオンライン販売は可能か?
2022年3月9日(水)

ポジティブな価値を作るためのオンライン販売は可能か?

(3月9日にメール通信で配信した内容がもとになっています。日付けもその日付けにしています。)

いささかまじめな言い方になってしまいますが、ひつじ書房は書籍を作ってそれを販売することで、事業としてなりたたせ、それによって、収益を得て、私たちは生活しています。書籍が購入されるということは、社会的に必要があって、それで存続できていると考えます。情報コンテンツが、デジタル化して、オンライン化して売り買いされ、経済がデジタル・オンラインに移行するとして、その場合でも学術研究を側面から支援する、応援するという存在が社会的に必要であるのなら、その手法が変わっても、マネタイズして経済的に回っていくようにしていくことで、生きていくのだと思います。

学会誌をオンラインで発信して生き延びていくという理系、医学系の学会誌出版というビジネスがあります。学会誌というアカデミックな出版ビジネスがなりたつことがありますが、書籍出版は学会誌ビジネスとは違っています。研究者と学会、大学などの研究・教育機関と研究の受益者と教育を受ける学生・大学院生だけでアカデミックな世界が完結するのなら、側面から応援するという存在は、不必要ということになります。書籍出版は、余計な存在だと思う方もいるかもしれません。一方、学問がいろいろなジャンルを超越したり、関連するジャンルと共同する場合に、一個の場所の中だけで完結しない場合、あるいは専門的見地をその分野については非専門家との協業が起こるには、学会だけに完結しない方がいいと思います。その場合に、編集あるいは出版というのは有効な役割を持つと思います。そもそも新しい学問は、既存の学会におさまりきらないで生まれるものでしょう。

そういう役割があるとして、ウェブあるいはオンラインでの出版活動を上手くデジタル、オンライン化の中で活動できないか、そのためには書籍をただ、書店で売るとか、ということを越えた売り方ができることが重要なのではないか。何をいいたいかというと、現在、ひつじ書房はウェブページを大改訂しているところなのですが、たとえば、刊行する論文集があって、そこに収録している論文をいくつか選んで読みたいということがあった時に、分割して販売できるといいのではないか。あるいは紙の書籍を持っている方について、電子版を安価あるいは無料で提供するというようなやり方。書籍をまるまる1冊購入するのとは違ったオンラインで柔軟に決済するようなことができないか。論集を分割して売るのなら、小さなコンテンツにデジタルに分けて、細かいライセンスの処理と決済の仕組みが必要です。書籍に付随してデジタルコンテンツを売るのなら、紙の書籍を持っている人を区別して、特別な値段に設定して決算できる仕組みが必要になります。それら以外にも紙の書籍を手に入れにくい海外からの注文に対応するとか。あるいは、研究会のオンライン研究誌の販売を代行するとか。ひつじ書房は、教科書や辞書を販売して、その余力で採算をとっているという経営形態でありませんので、そういうマイクロでオープンな販売でも、採算がとれる価格でないと持続できません。ただ、ケースバイケースで値段をかえるとか。研究機関に売るのはきちんとした金額で、学生が読むときは安価であるとか。そういう柔軟さ。値段も一つでなくてもいいという考えに対応できるシステムが重要です。

私たちが考えているのは、現在進めているウェブの改訂に伴い、オンライン決済・販売サービスを組み込むことにしていますが、書店さんや中間流通外しのためではなく、オンラインでの柔軟性あるコンテンツ流通・販売の方法を作り出したいという考えです。書店さんで売ってもらっている小さな出版社が、書店さんや流通外しと見えることを気にしないでやっている出版社もあるのですが、そういう方向ではない方向を願いたいと思っています。オンライン決済・販売サービスをそういう活動に上手くいかしていけるでしょうか。一方、柔軟性は重要ですが、単なる中抜きにはしたくない。たくさんは売れない本を店頭に置いて下さっている書店を零細出版社は軽率に扱ってはいけないと思っています。安易に単なる<中抜き>をしてしまうなら、出版社も抜かれてしまうでしょう。そのオンライン決済・販売のためにstoresというサービスを組み込むことにしています。

オンラインでの決済・販売をやるとして販売し、採算を採っていかなければなりませんが、ネットでの販売をマイナス思考ではなく、価値を生み出す思考でいきたいと思っています。storesというオンライン決済・販売サービスをうまく使っていけるでしょうか。その可能性を探っているところです。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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