非対面時代のフィールドワーク
2020年8月11日(火)

非対面時代のフィールドワーク

(ひつじメール通信8月5日号で配信した内容が、元になっています。)

新型コロナ感染対策として、大学の授業がオンライン化されています。大学や地域によってはさまざまで、京都教育大学のように前期から対面授業もやる選択をしたところもありますが、そうではない大学の方が多いでしょう。授業の内容によると思いますが、実習を必要とする教育学部や健康に関わる看護学部、実演が重要な音楽学部や演劇関係の授業などはとてもたいへんだろうと思います。

大学を卒業する際に卒業論文を課している大学は多いと思いますが、外に出て行って、人と会うようなフィールドワークが研究の重要な内容である場合もたいへんではないかと思います。方言の調査であるとか、実際のインタラクションがどうなっているのか、フィールドワークが重要である場合、それらは、できないということになってしまうのか。卒論のテーマを決める前なら、フィールドワークをしないで卒論を書くという選択肢もあるかもしれません。

テーマを変えない場合の一つの打開策としては、調査やインタビューも対面ではなく、リモートで行うという方法があると思います。実際にその場で会って、対面しながら、環境もそこにたどり着くまでの交通もまた重要な情報ではないかとも思いますが、それができない中でフィールドワークを選んでしまった場合、何とかそのようなことを代わりの方法で行わないといけないことになるでしょう。

文献を巡る研究でも、過去の研究を見るためには図書館が貸し出しをやっていないと参考文献も読めないことになります。可能な限り、電子化して図書館に行かずとも閲覧できるように出版社も対応していかないといけないと思います。

非対面時代のフィールドワークは、新しいフィールドワーク法を生み出すことになるのでしょうか。そういうものも開発していく必要があるのではないかと思います。ひつじ書房としてはぜひ、そういう教科書の開発についても支援、応援していきたいと思っています。

追記

以上のようなことを考えていましたら、もっと前から考えられていたようで、日本学術会議がシンポジウムを企画していることを知りました。オンライン開催とのことです。

公開シンポジウム「コロナ時代におけるフィールドワーク教育をめぐって」

http://www.scj.go.jp/ja/event/2020/295-s-0919.html

2020/9/19(土)13:00-15:00
開催地 オンライン開催
対象 どなたでも参加していただけます
定員 約250名(先着順)

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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