先週は創立30周年の記念日でした
2020年6月29日(月)

先週は創立30周年の記念日でした。

(6月24日発信のメール通信が元になっています。日にちも24日が基準になっています。)

先週の19日は創立30周年の記念日でした。これで、31年目に突入したことになります。よくも30年持続できたと思います。みなさまのおかげです。感謝申し上げます。

30周年のお祝いの催しも年が明けたころには考えてもいたのですが、今回のコロナのこともあり、催しをするというのも難しいところですので、さっぱりその日を過ぎることになりました。ということで、今回の文章もあまりかしこまらずに行きたいと思います。

私は創業者で、59歳でこれまで頑張ってきたので引退を考える時に近づいているのかとも思いますが、世代交代は行われることになりますが、出版に限ったことではないことですが、これまで行って来た仕事、事業というものが、そのまま、延長線上に継続できるのであれば、任せてあがりというところですが、土台が盤石ではないといいますか、世の中の動きがあって、前提がそのまま継続すると考えることができませんので、これで大丈夫だとはいかないと思います。

ひつじ書房の仕事は、言語学の学術書の出版ですが、学術書の出版は、仕事として大学制度に依存しているところがあります。ひつじ書房は、言語学を核として関連するジャンルがフィールドですが、そのジャンルの学問が今後どのようになっていくのか。言語を扱う学問ジャンルがなくなってしまうことは、ありませんが、広い意味で言語と呼ばれるものが、これまでの言語学が扱ってきた言語と言うものに納まるとは思えないですが、制度的に既成の言語研究はうまく扱えていないように思います。研究の前提を変えていく必要があるのではないかと思いますが、それはどのような変化になるのか。その変化の中で、研究者の方に求められる出版社でありつづけられるのか。

また、学術書の出版は、紙などの素材や書店という流通、図書館や大学の授業に依存していますが、それらのあり方がどのように変わるのか。「書籍」という存在は、今後ともあると考えますが、それはどのように変わっていくのか。印刷所が組む技術の上に業態を変えて、電子的印刷を行う方向にシフトするというのは、現代的なビジネスの解決策ですが、デジタルでの学術的読書空間をどう作るのかは、1社が何かを電子化すれば済む問題ではなく、読書のあり方という「社会構築される習慣」と関わることで、活発に関わるとしても、容易なことではないし、見通しはありません。

学術的な成果の発信、共同、共有、相乗的効果のために学会とは別の立場の編集の価値があるということをどう作り出していくか。学術分野における出版社(あるいは出版社的存在)は、学会とは違っています。「周辺的」「関連的」「接合的」存在で、それが学問にも重要と思っていますが、必ずしも同意が得られてはないでしょう。できれば、価値があると認識してもらった上で、それをビジネス化、かならずしも潤沢なビジネスではないかもしれないですが、が可能なのか。その狭間の領域が存在することの意味を分かってもらわなければならないということは力業だと思っています。

ベストセラーや一般書を企画するのとまた違った楽しさと苦しさがあると思います。ベストセラーや一般書を企画することより、学術書の企画が簡単などということはないと思っています。

企画を立てることは、内容が重要ですが、内容だけではなくそういう媒体のことも考えなければなりません。あるいは、優れた企画をご提案いただいた時に価値が分かること。そういうふうに考えると結論はなくて、いつも初心に返る心地がします。ひつじ書房は一人出版社ではなく、かなり零細ですが、事業体です。ひとりひとりが、次世代を担っていくこと。企画を立てていくこと。大きな課題です。

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執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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