2020年4月13日(水)新型コロナウイルスの広がりつつあるなかで新型コロナウイルスの感染拡大は、大きくなって、火曜日(2020年4月7日)には政府による「緊急事態宣言」というかたちになりました。日本の感染の広がりが欧米に比べて抑えられているのは、もともとは結核に対する対策であるBCGワクチンの接種のために何らかの抑止的効果がある可能性があるという説があり、イタリアなどのようには広がらないだろうという予測がありました。一方、新型コロナウイルス自体変化していて、武漢でのウイルスがヨーロッパで変化を遂げ、イタリアで猛威をふるったタイプのウイルスの攻撃的なタイプのウイルスに変わり、それが3月から入っていきているので、BCGの抑制は効かず、イタリア、アメリカのような爆発的な広がりとなる危険性があるから、ロックダウンするべきだという主張が、だんだんと信頼性を増し、「緊急事態宣言」となったと認識しています。宣言に基づいて自粛すれば、爆発は押さえられるということです。ただ、外食産業や人々が集まるライブハウスや劇場は、三密の環境になり易く、ウイルスの感染に弱いことから、そのような文化自体が消滅するという考えの人もいます。 出版は、どうなのでしょうか。東京都が、休業を要請する施設として、「大学や専修学校など教育施設」があり、図書館ということばもあります。デパートはありますが、「書店」はありません。「文房具屋さん」や「服屋さん」もありません。書店で本を見たり買ったりするという行動は、休業を要請する業種ではない、ということでしょうか。もともと、「施設」が対象になっているので、書店という商売は議論の外なのかも知れません。 出版は、書店で本を買ってもらうことによってなりたちます。売り買いということではそうですが、人間の興味関心、活動によって生まれていくものだと思います。もちろん、書斎というか部屋の中で読まれるということもありますが、基本的に知的活動があってなりたつものだと思います。今回の新型コロナウイルスは、人々の活動、コミュニケーションを媒体にして広がっています。最初にどこからウイルスが生まれたのかというのも、怖い話しですが、これだけ急速に広まるということは、グローバル化した社会が前提になっているでしょう。ウイルスが2週間ほど表に出てこないということも、広域な伝播感染を引き起こしています。人々が移動し、集まり、コミュニケーションするということが、ウイルスの活動を強力にしてしまっていますが、そのこと自体を長く止めてしまっては、知的な活動や文化的な活動は生まれないでしょう。 出歩かないことは重要で、3つの密を避けることは重要です。とともに、一段落することを願いますが、ワクチンができて、その接種ができるまでは、1年以上はかかると思われますので、どうにか、くぐり抜けて、共存していく方法をも考えていくことも重要だと思います。誤解を招きたくないのですが、閉じこもること、stay homeをないがしろにしろということではもちろんありません。知的活動や文化的な活動のためには、多少の犠牲は仕方が無いと言っているわけでもありません。自分は大丈夫だからと高をくくって、人にうつしてもいいと考えるということでもありません。三密をさけるという状態は、しばらく続くのではないでしょうか。全員がかかって生き延びた人だけ生き延びて、生き残った人は免疫を持っているという集団免疫の考えではなく、包囲して閉じ込めて撃退するという方法をとる以上(その考えしかあり得ない)、有効なワクチンが作られなければ、再発する可能性は続きます。再発する可能性が続くのであれば、外出は控えめにするという文化になっていくでしょう。仕事をしていかなければ、ならない以上、リスクを考えながら、くぐり抜けていくことが重要だと思います。リスクを考えて、かなり慎重にしつつ、仕事をしていくことでしょう。 リモートでの仕事のやり方を進めつつ、知的な活動の生きる道を探るということを模索したいです。仕事の打ち合わせなどにスカイプを活用しつつ、学会出店の代わりにYoutubeでの書籍の紹介なども進めていきます。書籍の紹介や営業活動をどう接触を減らして行うことができるか、模索していかなければなりません。ひつじ書房の活動の重要なことの1つであるオープンオフィスも、ZOOMかスカイプなどを使って行うことも進めたいです。なにか今までとちょっと変わった一工夫したコミュニケーションの仕方を見つけていきたいと思っています。 1月間、授業がリモートになり、大学に行けなくなりまして大学の書店で教科書が購入が困難であるということがあった場合に、その期間に読もうとしていた部分をPDFで提供したいと思いますので、お問い合わせ下さい。春の期間中に書店に行かれず、購入できないということになってしまうと困りますが、現時点では購入していただけることを前提にPDFで提供したいと思います。教科書を販売している大学の書店は、大学と協議して、書店まで来ることができなくても、教科書を届けるということを考えてほしいと思っています。教科書が全て返品になるということがあると大学の教科書を出版している出版社は倒産に追い込まれてしまいます。書店の問題というより、授業の講義の部分はオンライン化するとして、教科書はどのようにするのがよいのかということについての議論は、あまり何も聞こえてこないのですが、どのようになっているのでしょうか。何人かの先生から郵送するということも聞いていますが、私としても現在の状況を調べて、対策を考えていきたいと思っています。 ---------- 執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。 「本の出し方」・「学術書の刊行の仕方」・「研究書」・スタッフ募集について・日誌の目次・番外編 ホットケーキ巡礼の旅 日誌の目次へ
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