石巻線とポートランドのスーパー市電

2015年4月3日(金)

石巻線とポートランドのスーパー市電

..........ひつじメール通信とほぼ同文です。..........

3月22日にシンポジウムが仙台でありまして、その翌日、足を伸ばして石巻まで行ってきました。仙石線が、まだ、復旧していないというのに、驚きました。生活必需ラインであるはずなのに、4年過ぎてもまだ、復旧の途中であったということに驚きました。5月には全線復旧するということなので、少しづつ前進していっているわけで、関係者の苦労はあることとでしょうから、事情を知らない旅行者としては、驚いたということ以上のことは申し上げますまい。

仙石線が復旧していませんでしたので、石巻線という線を利用しました。すいません、仙台で行われたシンポジウムにこと寄せまして、仕事のついでにグルメツアーということで渡波という駅から歩いて10分の牡蠣小屋に行ってきたのです。1時間に一本、ディーゼル車が、走っていました。ここでまた、事情を知らないものが、いうコメントになってしまいますが、先日、アメリカ言語学会に参加するためにアメリカの西海岸の北の方、ワシントン州の南、オレゴン州のポートランドに行ってきました。この都市は、アメリカの一般とは少し傾向が違っていて、都市の公共交通機関が発達していることが知られている土地です。

TriMetという公共交通機関の仕組みがあって、バスや都市をつなぐ列車に加えて、市電がその仕組みの中で重要な役割を果たしています。この市電が、市の中心部のダウンタウンを走っているとともに空港や郊外と市の中心部をつなげています。ここで、たいへん、面白いのは、市街地を走っている時は、チンチン電車風なんです。東京でいうと荒川線という感じです。それが平面を走っています。駅の改札などはありません。バスのように乗るだけです。その上、車掌もいませんし、料金箱もありません。止まる場所の前の歩道に置かれた券売機があるだけです。無賃乗車はほとんど可能ですが、もしかしたら、検札が来て、その時に券を持っていないと莫大な違反金を取られるのかも知れません。しかし、TriMetのサイトには罰金のことは書いてありませんでした。

面白いのは、その電車は2両編成くらいの本当に市電という感じなのですが、中心地を離れますと、高速道路が並列して走っているのですが、その道を飛ばしている自家用車と同じくらいのスピードを出すのです。ご近所の普通のおじさんが、郊外に行くとスーパーマンになるみたいな感じです。

また、車両に自転車を立てかける場所があります。郊外から、電車に乗るときは、自転車で停留所まで行って、そこで自転車ごと乗ることができるのです。

How to Load Your Bike on MAX「2輪車を持ち込む方法」

この交通機関から、思いますに、石巻線は駅の施設が大きすぎると思います。改札という壁を設けて、そのために、駅に自由に入り込めないようにするたてものや柵についても、時間に1本くらいしか走らず、大半が地元の人が乗る電車に、大がかりな改札などの仕組みは本当は不要ではないのではないでしょうか。それよりも、運転手に人手を回せば、本数も増やせます。もっとも、日本だと駅の柵をなくして、誰かが、電車にぶつかったりするとそれは交通機関の責任になってしまうのかもしれないです。

地域のコミュニティを支える線は、本来的に公共的な役割をになっているわけですから、信頼の仕組みを生かして、運営する方がいいように思うのと、市電がそのまま、電車になれる、というのはなかなかユニークな発想であり、それを実現したTriMetはすごいと思いました。復旧する時に、TriMetの運営方法などを参考にすることもできたかもしれないと思いました。

そのような交通機関をなりたたせているポートランド市と市民がすごいのでしょう。ポートランド市の図書館利用率は、ニューヨーク市に次いで2位ということです。ポートランド市中央図書館は、ニューヨーク公共図書館のようにはでではなく、地味な図書館でした。また、この市は、もっともユニークなパウエルブックスという書店がある街であり、日本の、ある大手出版社が仕掛けた公共図書館が、書店の営利を損なうという20年くらい前に言われたクレームを蒸し返しているなさけない状況とは違うことも注目できることと思います。

後ろ向きに、公共図書館を批判するのではなく、社会全体のリテラシーの充実、それが民主制を支えるわけなのですから、をどうするかという方向で、議論したいものです。

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