5月前半の日誌

1996年5月6日 小部数出版はどうすれば生き残れるか 1

先日、述べた出版労連の出版研究集会・分科会のタイトルは、上記が正しいので、訂正していただきたい。小部数といってもいろいろある。ひつじの場合、経済力の無いところから、また、副業もないところから出発した出版社は、小部数という道は、他に選択枝もなく、かといって、しかたなくというわけでもなく、小部数なわけだ。意識の上では「意図的に小部数を選んだ」というところだ。(ブランドも経済力も人手も)持たざるものの確信犯的「小部数」である。(この稿続く)

さて、今回、国語学会、認知科学会、言語学者(金水さんと池田さん)源氏物語研究者伊藤さんのページにリンクした。国語学会は、われわれのホームグラウンドだし、認知科学会では、『身体の構築学』の執筆者でもあり、新しい企画の推進者になっていただいている茂呂さんが発表される。金水さんは、また、日本語研究叢書第2期の執筆者である。伊藤さんは、そもそも私がパソコンというものを知るきっかけとなった前の会社(旧桜楓社)の時に、『パソコン文学奮戦記』の編集をさせていただいた方である。

また、カウンターを付けた。このページ内のプログラムではなくて、webcounterを使っている。アメリカにリンクしてカウントするものであるのでBand幅の問題はあるだろうが、どのくらいの方がアクセスして下さっているか、知るにはいまのところ私には、他に手がない。許されたい。

1996年5月10日 カウントが100を越えた!


5日で110を越えた。ちょっと驚いている。思いがけなく見ていただいてるのですね。ぜひよろしければ、ご意見・ご批判をいただきたい。少しでもよくしていきたいと思うのである。
人手が必要なのでホームページの求人にブリンクを付けた。ブリンクの嫌いな方、すいません!


1996年5月12日 イントラネット+宅配便は無理か?

以下の内容はニフティサーブFBOOKC 10番会議室 1706と1720に書いたものを、直したものです。実際には、議論をやりとりしています。御覧になることをおすすめします。
イントラネット+宅配便は無理か? 1

ちまたでは、というか日経産業新聞などではイントラネットの記事が載らない日はありません。ご存じのように、インターネットが世界に開かれたものであるのに対して、多国籍企業がインターネットの設備を使って、安価に世界中に会社ネットワークを作るものです。

こういったものを出版業界で作ったらどうでしょうか? 在庫品の数を、出版業界イントラネットに毎日アップしておけば、少なくとも急激な発注以外の場合は在庫のあるなしが即座に分かる訳だし、倉庫で一元的に管理する必要はないのではないでしょうか?

注文もメールでもらえば、返事も簡単だし。ファックスだと一回一回手動で送らなければならないけど、メールだと簡単です。在庫がなければないで、即座に返事を送れると言うわけです。

それから、宅配便の場合、現状でも本州内ではすべて翌日配達です。まあ、これを少し緩やかに2、3日としても構わないと思いますが、集荷、入荷に回っている運送屋さんをすべて宅配便に組み込んでしまって、宅配便のシステムで、注文に関してはこのシステムで処理するというのも考えられると思いますが。書店さんで注文を取って、お客さんの指定によって、自宅にも届けることも可能だし、帰りに寄って持って帰るというのも可とする。

クロネコヤマトが、宅配を始める前、全国的に流通を持っていたのは(郵便局以外では)トーハン、日販だったんじゃないんでしょうか?今から思えば、すごいチャンスだったのにと思います。

イントラネット+宅配便は無理か? 2

質問 メールでは小規模過ぎるのではないか?

メールでは小規模すぎるというということですが、私が考えたのは、イントラネットがもし実現したとしたら、次のような順番で発注されるだろうということからです。

NTTのオープンネットワークが、出来ていれば、一日中、そうでなければその都度、電話でつなげるわけですが、まず、出版社のデータを検索します。たとえば、ひつじ書房ならひつじ書房を呼び出して、次にたとえば、書名が『ひとは発話をどう理解するか』として、在庫があるかどうかを確認します。在庫があれば、その画面で注文を行うわけですし、複数の出版物がある場合は、注文カゴに入れることになるわけです。複数の出版社にわたる場合でも、注文すべきものがすべて終わった段階、あるいは、その都度でも構わないのですが、オンラインで注文が行う訳ですが、それは当然出版社にメールのかたちで届けられることになります。一度に数十社へのメールが送られることもあり、出版社にとってみれば、一度に数十の注文が来る場合もあります。と言うわけで、規模は関係なく、メールでよいのではないでしょうか。また、メールならば、メールソフトのフィルターで、書名毎に別の担当者に送ることもたやすいと思います。メールソフトのフィルターで、商品ごとに区分けして、そのメールがそのまま短冊に書き出せるようにすればいいのではないでしょうか。同一書店からの注文が複数ある場合にも同様で、フィルターは、書名と書店名で区分けできるようにしておけばよいと思います。なおかつ、下に述べるように、注文短冊がそのまま宅配便の伝票になるようになれば、もっと優れています。

宅配便を使うといっても、全ての部分、取り次ぎに取って代わるのではなくて補完するものだろうと思います。宅配便についていうと、まず新しい小出版社の現状で言うと、トーハンさんや日販さんの場合、持ち込みでなければ、口座開設が認められていません。ある出版社は、週に一度運送屋さんに納品してもらっています。一軒5000円で、取り次ぎさんが5軒あれば、25000円です。一月10万円以上と言うことになります。これは週に1回の場合です。(何故このような非効率的で、旧態依然的ななやり方を、強いるのかはっきり言って憤りを感じます。地方小の場合、宅配便で送ればよいので、人手のないわれわれのような版元には助かります。)これはまた、1週間寝る場合があるということです。一方、ヤマトのブックサービスが380円で全国に配達してくれることを考えると、400円程度で出版社の窓口から、全国の書店さんに送付することに問題はないことになります。通常の宅配便が本州内で1日で配達できることを考えると2、3日かかっても構わないのであれば、200円程度でも大丈夫ということにならないでしょうか。200円なら2000円の本で10パーセントです。現在の取り次ぎさんの業務の中で運送費はいったい何パーセントなのでしょうか。十分に回収できる金額ではないでしょうか。先の5000円払って納入している某出版社は67掛けで納入していますが、33パーセントの中に十分入るのではないでしょうか?それが無理なら、正味をさげることも可能でしょう。月に10万円以上払わされているのですから。あるいは、この程度なら定価に載せることも可能でしょう。あるいは、200円として、お客さんと書店さんと取次店と版元とで、4分割して負担するというのも200円程度なら問題ないのではないでしょうか。注文品に関しては、一度に何冊でも50円なら・・・。

宅配便は、受け付けの伝票から、届けるところまでの伝票を一連の伝票で処理していますが、それと同じことができないとも思えません。書名と金額、送り先の番線か住所を伝票に書いてだせば、いっさいの伝票がその中で処理されるというのも可能だろうと思います。電話注文の短冊には、書名、価格、番線、書店名を記入しますが、それがすべてそのまま、BOOK宅配便の伝票になるようにするわけです。宅配便屋さんは、受け取ってから伝票場号をバーコードで、入力しています。伝票に関して追跡することが可能になっています。あとはチェックポイントで、バーコードを読みとれば済みます。BOOK宅配便トみればインテリジェント化したことで、宅配便のシステムが可能になったわけで、同じことが可能なはずです。

このやり方なら、小さな出版社にも大きなメリットがあるし、中堅規模の出版社にもメリットがあります。誤配した場合は、誰がどこでどう間違ったか、ハッキリわかります。今本がどこにあるか、受け付けの伝票番号さえ分かれば、確認することも可能です。誤配しても、どこに責任があるかわからないというシステムで、担当者が「じゃあ、返品して下さい」などということばで問題なくすまされるような異常なシステムをキすめの本のチラシを入れておいて、注文を電話でとって、納品をBOOK宅配便にまかせることもできます。おすすめリストが面白いと評判の立てば、大型店に十分対抗できるようになるのではないでしょうか。アメリカなどでは非常に強力なブッククラブのようなものも、日本では今まであまりありませんでしたが、これなら、小規模書店の自前の努力によって実現することが出来ます。

現在の流通制度は、一括に、同時に、大量のものを、見込み注文で、あらかじめ流すことで、売るには非常に優れており、また、有効ですが、細かい注文を籍流通の運送屋さんも、現状では単なる運び屋だろうと失礼ながら思いますが、インテリジェント化することで、商品に対する見方も変わり、宅配便のドライバーが、営業マンであり、行程管理者でありと今までのあり方から脱したと思いますが、書籍運送という業種が同じよう可能性があると思います。

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