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2021.2.24(水)

校正記号の確認

登録や何かの申し込みをするときに、業種を選択肢から選ぶようにという指示で選択肢に「出版」というカテゴ リが無い場合があって、何を選んだら良いのか迷うことがよくあります。印刷や製本屋さんのように直接作って いるわけではないけど製造業? サービス業ではないし…。(総務省の日本標準産業分類では、出版業は「情報 通信業」に分類されていました)

さて、物理的にものを作っているわけではありませんが、私たちが作っている「書籍」は工業製品の一種となり ます。そのため、書籍の紙のサイズも日本工業規格(JIS)でサイズが定められていますし、校正に使う「校正 記号」も実はJISで定められています。

JIS規格詳細画面 印刷校正記号
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrViewerLogIn?logIn
(以前は自由に見れましたが、いつの間にか登録が必要になっていました。登録自体は誰でもできます)

校正記号についてはひつじ書房のホームページにも、まとめてPDFで公開しています。

校正記号の例(pdf)
https://www.hituzi.co.jp/sippitu/kouseikigou_20081007.pdf

ひつじ書房の校正記号の使い方は、2006年に公開したものですが(途中少し手を入れたので日付けは2008になっ ています)、JIS規格ページの更新日を見れば分かるように、JIS規格は2007年に改訂が行われています。そのた め、2007版に完全に準拠しているわけではありません。

ただ、大きな改訂がされているわけではなく、また「許容」として従来のやり方も含めいくつかの書き方の例も 挙げられており、規格から外れているわけではないので、そのままにしています。

要は作業をするのは人間なので、記号を使用することで無駄なく、間違い無く作業が行われれば良いので、変に 逸脱した書き方をしなければ良いのです。

逆に、JIS規格の校正記号で、「文字の下に赤線」で「イタリック」にする指示となりますが、これは「下線を 入れる」のと間違えやすいと思うので、下線だけにしないで私は「イタ」と書き添えた方が良いと思います。ま た、以前半角のダッシュに「全角」と指示を入れたら「全角アキ」になって出てきたこともあります(これは作 業者が悪いと思いますが…)。

校正を入れているとつい書き込むことに集中して作業者のことを忘れてしまいますが、作業をする人に効率よく 伝わるように、校正書きをするようにしたいものです。その時に、自己流になってしまっていないか、たまに校 正記号表を見て、赤字の入れ方を確認するようにしています。




2021.2.9(火)

新刊『壁塗り代換をはじめとする格体制の交替現象の研究』



年度末も近づき、引き続き社内は慌ただしい日々となっています。
日本学術振興会の助成を受けての書籍がこれから続々と刊行される予定です。
一足先に仕上がった新刊から1冊。


川野靖子著『壁塗り代換をはじめとする格体制の交替現象の研究―位置変化と状態変化の類型交替』

本書は、「壁にペンキを塗る/壁をペンキで塗る」のような格体制の交替現象を体系的に整理し、「意味類型の階層モデル」を用いて成立原理を統一的に説明した力作です。

「壁にペンキを塗る/壁をペンキで塗る」のような、「塗る」という動詞が「〜ニ〜ヲ」と「〜ヲ〜デ」の2つの格体制を取り、2つの文が似た意味になる現象は「壁塗り代換」と呼ばれています。本書では以下のようなこれまであまり知られていなかったものも含め、位置変化動詞文と状態変化動詞文の交替現象の全ての種類を扱っています(例文は本書序章より)。

●餅くるみ交替
a. 桜の葉に餅をくるむ
b. 餅を桜の葉でくるむ
など

●満ち欠け代換
a. 彼には積極性が欠けている
b. 彼は積極性に欠けている
など

現象の名前が面白いですね。

他にも、「テーブルを片付ける」のようなメトニミーと言われる表現と「テーブルから皿を片付ける/テーブルを片付ける」のような交替現象の関係や、能動文と直接受動文の対立との違いなど、読みどころが盛りだくさんです。

できたてほやほやの1冊です。
ぜひご一読を!






2021.2.5(金)

BTSと言語



自分が毎年この時期に楽しみにしているものの一つとして、グラミー賞の発表があります。今年はコロナの影響で発表が3月に延期になってしまいましたが、毎年誰のどんな曲が受賞するのか、ワクワクしています。

テイラー・スウィフトの5年ぶりにアルバム賞ノミネートされたり、逆にノミネートが確実視されていたザ・ウィークエンドが一切ノミネートされなかったりと、今年度のグラミー賞も様々な話題で盛り上がっていますが、中でもBTSが初めてノミネートされたことは日本でも大きな話題となりましたね。
全世界で大ヒットし、ポップ歌唱・演奏賞にノミネートされた「Dynamite」、自分も大好きな一曲ですが、これが大ヒットした理由として(曲調が昨年の流行であるディスコサウンドだったというのもありますが)BTS初の歌詞がすべて英語の曲であるということが挙げられると思います。グローバルな活躍と言語能力は切っても切り離せないものだと実感させられます。
英語詞のみの「Dynamite」が大ヒットした一方で、個人的にはBTS(というよりはKPOP)の音楽的に面白い部分は英語、韓国語、日本語を自在に使い分けて楽曲を制作しているところだと思っています。英語と韓国語で韻を踏んだりするのはUSのヒップホップでは聴けませんし、もともと韓国語で歌っていたものを日本語の歌詞で歌い直した「ジャパニーズバージョン」の曲は、もともと韓国語で作った歌いまわしに日本語を当てはめているために、JPOPでは聴くことが出来ないような言葉の区切り方やアクセントで歌っており、とても興味深い聴き心地になっています。

どんな韓国語の語を日本語に置き換えているかなど、時間があれば韓国語を勉強して、音韻論的にBTSの曲を分析できたら面白そうだなと思っています。単に趣味として音楽を聴くだけでなく、音楽と言語の関係についてこれから考えていきたいです。





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