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2021.1.26(火)

近刊から



年度内に刊行予定の本作りでバタバタとしてきました。

今回は、2月上旬刊行予定の『日本語における短縮外来語の形成とその仕組み』(文昶允著)をご紹介します。

『日本語における短縮外来語の形成とその仕組み』

日本語の複合外来語の短縮現象の仕組みを音韻的要因や言語使用者の選好傾向による影響に注目して考察した文先生の本。巻末には「複合語由来の短縮語データベース」(全1101語)が掲載されています。

例えば、

パーソナル・コンピューター → パソコン
シャープ・ペンシル → シャーペン(×シャプペン)

となるのはなぜか、本書では音韻的要因に注目して説明しています。

もうひとつ、本書の特徴である短縮語形成過程の世代差にも注目です! 若い世代では、比較的短めに短縮語をつくる傾向が実験によって明らかに。たとえば、架空の言葉「ヨーグルト・マカロニ」を10代の若い世代は「ヨグマ」のように短めの短縮語を好むそうです(ソシャゲ( ソーシャル・ゲーム)のように)。

今後短めの短縮外来語が増えていくのかもしれませんね。

書店さんからは2月中旬からお求めいただけます。
よろしくお願いします。






2021.1.25(月)

新聞広告



自分が新刊や注目書の情報を集めるのに重宝しているものとして、毎週の新聞の書評欄があります。書評でどんな本が取り上げられて、どのような評価を受けているか、毎週楽しみにしています。そして書評だけでなく、そこに一緒に載っている出版社ごとの新聞広告にも目を通して、各社がどんな新刊を出したか確認しています。自分の読んでいる新聞では書評欄が掲載されているのは土曜日なので、広告で知った本をすぐに買いに出かけることもあります。 先日、初めて新聞広告を作成しました。前述の通り、出版社の新聞広告にはなじみがあったので、そこまで作るのに苦労はしないかと最初は思っていましたが、実際は大間違いでした。限られたスペースでどうやって注目の新刊を目立たせるか、フォントを変えてみたり、キャッチコピーをつけてみたり、試行錯誤を何度も繰り返すことになりました。目立たせるだけではなく、広告の見やすさにも配慮しなければならず、情報を詰め込もうとすると読みにくくなってしまい、完成までにとても時間がかかってしまいました。 これから書評欄の広告をチェックするときは、ただ単に新刊を知るためだけでなく、自分が広告を作成するための参考として、各社がどのような広告を掲載しているかも意識して見ようと思います。





2021.1.22(金)

「「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?」



ひつじ書房のウェブマガジン「未草」で新しく永田高志先生による連載「「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?」がスタートしました。
外国人にもわかりやすい日本語を目指す「やさしい日本語」。ひらがなやふりがななど、日本人の目からは「やさしい」印象を受けますが、そのように思えるのは母語話者だけなのではないか?本当に外国人にとっても「やさしい」のだろうか?永田先生は様々な視点から問いかけています。
例えば、第1回では「やさしい日本語」は書き言葉か話し言葉か、ということが話題になっています。母語話者からすると、やさしい印象を受けるのは話し言葉という人がほとんどだと思いますが、先生は「自分が英語を学習したとき、話し言葉よりも書き言葉の方が得意だった」という自身の体験談を紹介しつつ、外国人にとってはそうとも限らないと指摘しています。母語話者にとっての「やさしい」と外国人にとっての「やさしい」の意味が異なっていることに気づかされます。
多文化共生社会の実現という目標が掲げられている今、「やさしい日本語」の意義を問い直すこの連載は、とても刺激的で重要なものになっています。是非ご愛読ください。


「やさしい日本語」は在留外国人にとって「やさしい」のか?|第1回 私にとっての「やさしい英語」とは。/「やさしい日本語」は書き言葉なのか話し言葉なのか。|永田高志 | 未草 (hituzi.co.jp)





2021.1.19(火)

刊行! 『あらためて、ライティングの高大接続』



今週から発売となる新刊を紹介いたします。『あらためて、ライティングの高大接続―多様化する新入生、応じる大学教師』(『春日美穂・近藤裕子・坂尻彰宏・島田康行・根来麻子・堀一成・由井恭子・渡辺哲司著』)が刊行されました。
この書籍は2017年に刊行された『ライティングの高大接続』(『島田康行・渡辺哲司著』)の続編です。前著が高大接続の現状についての説明が中心であったのに対して、『あらためて、ライティングの高大接続』では各大学が高大接続をいかに実現しようとしているか、その実践例が豊富に紹介されており、より実践的、具体的となっております。大学生はライティングの何に躓いているか、そしてそれを解決するために教師は何ができるのか。「あらためて」高大接続教育の必要性を世に訴える一冊となっています。
自分自身、高校から大学に進学したときに、そのギャップに驚いた記憶があります。高校では「国語が得意」だと自負していましたが、ここでの「得意」は「テストで点が取れる(=文章を読んで正しい選択肢を選べる)」ことであって、大学入学後にレポート課題を課されたときに何についてどのように書けばいいかわからず、大学で求められるライティング能力が備わっていないことを痛感しました。自分のような思いをする学生が少しでも減るように、多くの高校・大学教師の方に読んでいただき、高大接続がさらに進展することを願っています。


『あらためて、ライティングの高大接続』詳細ページ





2021.1.13(水)

注目の近刊をご紹介させていただきます



先日、小3の息子ががっかりしたとき「ぴえん」と言った。

「ぴえん」は話し言葉ではなく、書き言葉として女子中高生がLINEやSNSなどで使っているイメージだったので、流行に疎そうな息子の口から音として出てきたのですこしびっくりしました。どうやら、クラスの女子が使っているようです。
ちなみに「ぴえん」より悲しみの度合いが深い場合は「ぱおん」になるとか。象?!

女子中学生のお子さんがいるパートさんに聞いたところ、もはやJC・JKたちはもう使っていないとか。あっという間に変わっていくのでアラフォーの私が知る頃には既に死語扱いなんでしょうね。
彼女たちは仲間で楽しんで遊んでいるだけのように思うので、そこに大人が意味を見いだしてはいけないような気がしますが、やはり気になります。

メディアに出る芸能人が使うことばに違和感を感じることが多くなったのは、私が歳をとったからなのか、本当に間違ったことばを使う人が増えたからなのか。うーむ。

舞台挨拶のシーンなどで見る「〇〇という役を演じさせていただきました、〇〇です」というコメントから感じる違和感、それ「演じました」じゃダメなのかなぁ。

1月の新刊としてお目見えする椎名美智先生の『「させていただく」の語用論―人はなぜ使いたくなるのか』は、そのような疑問に真っ向から挑んだ1冊です。
先行研究を丁寧に分析した上で、調査・分析を行い、「させていただく現象」を解説していきます。
1月下旬から書店でお求めいただけます。

2月には『日本語の乱れか変化か―これまでの日本語、これからの日本語』という論文集も刊行予定です。J-POPや商品名についての分析、そのほか言語変化に関するさまざまな論文がある中で、岡田祥平先生の「「爪痕を残す」の「新用法」から考える慣用的な表現の逸脱」は、気になっていた「爪痕を残す」をポジティブな意味で使用する例を扱っていたので面白く拝見しました。
こちらは2月中旬頃刊行予定です。

注目の新刊、ぞくぞくと刊行予定です。
ご期待ください。





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