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6月

2020.6.24(水)

パソコンのフォント

パソコンを開いてWordなどを起動すると、原稿を書く段ではあまり意識しないかもしれませんが、色々なフォントを選んで使うことができます。

WindowsではVista になるときに、新しい読みやすいゴシック体として、メイリオという書体が開発され、当時少し話題になりました。

また、Windows8.1からは游明朝が標準で組み込まれ(Word2016からは標準フォントがMS明朝から游明朝になったようです)、MacもOS X El Capitanからは、筑紫丸ゴシックが搭載され、私としてはとても驚きました。

なぜかというと、それらのフォントはそれまでプロが使うものとして、高い値段を出して購入しないと使えないフォントだったからです。

游明朝体は字游工房という会社が開発しており、1ウェイト(太さ)につき、定価33,000円で販売されています。

游明朝体ファミリー
http://www.jiyu-kobo.co.jp/library/ymf/

ひつじ書房では、2006年、ひつじ研究叢書(言語編)を新しいデザインにしたのをきっかけに、游明朝体を使用するようになりました(現在は秀英明朝を使用しています)。私はまだ入社して日が浅い時期でしたが、仕事ではフォント1つ使うにも高いお金を払わないといけないのかと感じたことを思い出します。

現在は、上記のように個別にフォントの販売は行われていますが、大手フォント会社のモリサワが、年間契約で用意されたフォントを自由に使えるモリサワパスポートというサブスクリプションを提供しており、デザイナーさんや印刷会社はほとんどがこの契約に入っていると思います。

もちろんそこに含まれないフォントというのも世の中にはたくさんあるので、デザイナーさんは他にも個別にたくさんのフォントを持っていると思いますし、上記の筑紫シリーズはFontworksという会社が制作しており、ここはLETSというモリサワとは別のライセンス契約を展開しています。筑紫シリーズは独創的で書籍の装丁でよく使われ大人気ですし、ここのマティスというフォントはエヴァンゲリオンで使われる特太明朝で有名です。アニメのエンドクレジットを見ているとよくFontworksの名前が出てきます。

さて、最近のパソコンは、そうしたこれまでプロが選んで使っていたようなフォントが少しずつ入るようになっているようです。これからぜひもっと色々なフォントを搭載するようにしてもらいたいですね。原稿は文字化けが怖いのでなるべく標準的なものを使用していただきたいと思いますが(さらに言うと同じ游明朝体という名前でもバージョンが色々と異なったりします)、時にはパソコンに入っている色々なフォントを試してみるのも楽しいかもしれません。

今日はモリサワパスポートの契約更新をしたので、また一年モリサワフォントにお世話になります。






2020.6.24(水)

「新しい日常」としての電子書籍


緊急事態宣言が解除され、徐々に今までの日常が戻りつつありますが、感染の第二波を警戒して「新しい日常」や「新しい生活様式」が呼びかけられています。

自分にとって「新しい生活様式」となったのが「電子書籍を読む」ことです。
きっかけは緊急事態宣言中に書店に行けず、紙の本を買えずに困ってしまったので、あまり気が進まなかったのですが電子書籍を購入するようになったことです。

自分は「紙の本より電子書籍の方が、読むと目が疲れる」と感じていたので、今まであまり電子書籍を読んできませんでした。ただ、今回何冊も購入して「電子書籍はじっくり読むには向いてないが、隙間時間にちょっと読む時には便利」だということに気づきました。そのため、じっくり読みたい小説や人文書は紙の本、漫画や新書など手軽に読めるものは電子書籍、という風に今では買い分けるようになりました。

ひつじ書房でも、丸善のeBook LibraryやKinoDenなどの機関向け電子書籍の他、現在はAmazonなどの個人向け電子書籍への取り組みも始めています。時代の流れにあった出版を考えるうえで、紙の本と電子書籍、どちらの長所も見極めることが大事になってくると思います。その点でこの自粛での生活の変化は学ぶことがありました。





2020.6.10(水)

組版

「組版」ということばは、一般にはあまりなじみがないでしょうか。
印刷における「版」をつくる際に、原稿を印刷用の配置に整える作業のことです。ゲラにする作業とも言えます。具体的には、Wordなどで作られた原稿データを組版用のソフトで読み込み、指定のフォントやサイズ、そのほか諸々の設定を入れて整えます。「組版」ということばじたいには、活版印刷における活字ひろいとそれを「組」み合わせて並べる作業のほうが、イメージとしては繋がりやすいかもしれません。

弊社では、組版作業は組版会社に外注することが多かったのですが、最近、社内組版を増やしています。
組版にはInDesignというソフトを使っています。私自身は、いままで数ページのちらし程度なら組むこともありましたしInDesignの講習も受けたのですが、本1冊まるごと組版するのは初めてです。
やってみると数ページのちらしと違って、計画性と、いかに効率化するかがかなり大事ということがわかります。下線や太字など、見落としがちなところはどこか、チェックするポイントもわかります。また外注する場合に指示がないと困るだろうところもわかるようになります。Wordの設定をいかに活かしてInDesignに取り込めるかは、効率化の鍵になりそうです(そのためには著者の協力も必要ですが……)。

組版作業じたいは、私はたいへん楽しいですが、それに終わらずこの経験値を外注する場合や原稿依頼にも活かしていきたいと思います。







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