装丁のおしゃれポイント(?)
花ぎれというものをご存じでしょうか。花布とも書きます。英語だとhead bandです。
これは、上製本(ハードカバーの本)の背の上下に僅かにのぞいている布のことです。お手元に上製本があったらぜひ見てみてください。本文用紙と背表紙の間に、僅かに布が見えると思います。これが花ぎれです。本を丈夫にすると共に、装飾的な役割を果たしています。並製(ソフトカバー)の本にはつきません。
花ぎれにも様々な色があり、本の装丁の一環として色を選びます。装丁全体に馴染むような、目立たない色のものを使うこともありますし、逆に派手な場合もあります。中にはストライプ模様のものもあります。ひつじ書房では、「ひつじ研究叢書(言語編)」の花ぎれが青と白のストライプになっており、全体のシンプルなデザインの中にアクセントを添えています。
出版関係者以外だと名前も知られていないものですが、この色も装丁の重要な要素の一つだと思います。表紙やカバーがシンプルでも、花ぎれが派手な本を見つけると「おっ」と思います。ファッション業界だったら「差し色」にあたるかもしれません。ちなみにひつじ書房の本では、(私が知る限り)1冊だけ、金色の花ぎれを使った本があります。
手製本をする人向けに東急ハンズで売っているのを見たことがありますが、1冊に必要な分量は数センチ分なのに対して30センチくらいのまとまった単位での販売でした。調べたところ自作する方法もあるようなので、いつかチャレンジしてみたいと思っています。
年度末刊行を予定している本の、装丁を仕上げる時期になってきました。本文をきちんと仕上げる事はもちろんですが、素敵なお洋服を着せてあげたいと思います。
左4冊はひつじ書房の本。左端が金色。
右端は、いままで見た中で一番派手な花ぎれで、青とオレンジのストライプ!(『新編 出版編集技術 上巻』日本エディタースクール編、日本エディタースクール出版部、1968)
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