製本工場
いつもお世話になっている星共社さんの工場へ、上製本の製本工程の見学に行きました。
今回見に行ったのは、海老澤が先週のスタッフ日誌に書いていました、英語コーパス研究シリーズ第5巻『コーパスと英語文体』の製本です。星共社さんにお願いをして、見学させていただくことになりました。製本の工程を、しかもひつじ書房の本を作っている工程を実際に見られるという、とても貴重な機会をいただきました。
まずは、折り加工を施された折り丁が、本のページの順番になるように丁合されたものを仮止めする「下固め」の段階を見ました。背の部分に糊がつけられます。工場の長いラインをうねうねと運ばれて、糊が乾いていきます。
先には裁断機が待ち構えています。三方裁断機です。
本の天・地・小口の三方を一度に裁断し、整えます。裁断機の3つの刃が独特の動きをしていて、見ていて飽きませんでした。
続いて丸み出しの工程。先ほど固められた背を熱で温めて、糊を緩め、背に丸みをつけます。この工程はあまり意識していなかったので、妙に納得してしまいました。ハードカバーの本の背って、そういえば丸くなってるなと(もちろん、角背の本もありますが)。普段見慣れていて当たり前のことなのですが、「本の背の丸み」もきちんと段階を踏んで形作られていくのだと再認識しました。
丸みをつけられた背に、茶色っぽい「にかわ」が塗られます。接着剤です。ラインの先には表紙が待っていますが、その前に背の補強です。ガーゼのような布と花ぎれが貼られ、さらににかわが塗られます。
ここでラインが一旦下に潜っていき、また上に上がっていきながら表紙に包まれます。なかなかアクロバティックな動きです。あっという間に見返しと表紙がぴったりとくっついてしまいました。
もう見た目はまさに「本」ですが、ここでさらにひと工程。表紙の背との境い目の部分に圧力をかけて溝をつけます。これで本が開きやすくなりました。
最後に背と小口が交互になるように20冊ほど重ねられ、機械で上からぎゅーっと押されます。これで接着剤がよくなじみます。本ができあがりました。
製本しおわった本にはカバーとスリップがつけられるのですが、星共社さんではほぼ手作業でつけるとお聞きし、驚きました。
今回の見学では、さらに講壇用聖書の手作業による製本の様子も見せていただきました。星共社さんは聖書を作ることがおおく、三方金や箔押しなどの聖書製本技術に優れているとのことで、高級感あふれる大きな聖書はとても圧巻でした。
あっという間の工場見学でしたが、とても勉強になりました。見学のために、工場のラインの稼働の調整をしてくださった星共社の方々に感謝したいと思います。ありがとうございました。
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