企画の検討について
昨日、一本の電話がありました。「助成金に申請をしたいので、見積書を出して欲しい」とのことでした。期限は今週いっぱいであるとのことで、ひつじ書房では書籍の企画に関しては内容を拝見したり著者の方とお話をして、検討をさせていただく時間が必要ですので、内容が分からないまますぐに見積書だけ出すと言うことはできませんとお答えすると、内容は博士論文で審査が通ったものであるので、内容についてはきちんとしたものなのにそれを出版社が検討するというのは腑に落ちないということでした。
確かに、学術書の著者である研究者はその道の専門家なので、編集者が著者よりもその道について詳しいはずがないのですが、申し上げたいことは二点あります。
ひとつは会社として刊行物に責任を持って出しているので、当然刊行ラインナップについてはひつじ書房で出す価値があると判断したものしか刊行はできません。そのためには、関連する研究動向を調べたり、著者の活動や対象読者数、場合によっては外部の方に査読をしていただいたりと様々な角度から検討をします。
もうひとつは、編集者はその道の専門家ではないとしても、他人の目で原稿を読むことができます。世の中に書籍の内容がより良く伝わるにはどうすれば良いか、もっとも親身になって考える立場の人間です。これは「検討」のうちの大事な仕事です。
上記の電話の方は、極端な場合であると思いますが、最近、締め切り間際になって見積書を出してくださいという依頼が多いように感じます。そういう方は、ひつじ書房がきちんと本のことを考えて刊行をしているということをご存じないのでしょう。
こちらをご覧いただいている方にはあるいは無用のお願いかもしれませんが、書籍の刊行をお考えの方は、なるべくお早めにご連絡をいただけるとありがたいと思います。
「「学術書の刊行の仕方」について」のページ
http://www.hituzi.co.jp/hituzi-ml/index.html
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