参考文献を確認するスキル

2008年9月10日(水)

参考文献を確認するスキル

今回のテーマは参考文献を確認するスキルです。参考文献は学術書として刊行される書籍にとっては非常に重要であることは言うまでもありません。

経験を積むにしたがって、あやしいものを見つけられるようになっていくことができるような気がします。間違えやすいポイントを知っていることで、問題点を見つることができるということがあるでしょう。しかしながら、編集者、copy-edtiorは研究者ではないので、そのジャンルの書籍名や論文名について実際に本や雑誌を見て知っているわけではありません。基本的には著者に頼らざるを得ないでしょう。内部的な矛盾、不統一がないかを確認することができれば、あとは著者自身にお任せてしまってよいでしょう!ただ、チェックポイントは知っているべきです。編集職人なら、不統一ということに強い関心を持つと言うことでしょう。どっちでもいいや、などと思うタイプの人間にはなかなか苦手な領域であるのが、正直なところです。他人が見るというだけでも、意義があると思いたいところです。

私自身の経験を振り返ると、(記憶では)組織的に教わったことはなく、『ケーススタディ日本文法』を作ったときに、複数の著者がいて、文献の書き方を統一しようとして、試行錯誤(つまり失敗と非効率)のすえ、体得したのではないかったでしょうか。また、大胆であるのに非常に几帳面な橋本裕之氏が、日本文学の参考文献が文学研究者以外には分かりにくいから、きちんとしたルールが必要だと言っていたことから見直したということがあって、きちんと考えるようになったということがあったと思います。また、英語学の研究者の方の参考文献の書き方と、日本語学では違いがあり、統一的に扱うにはどうしたらいいのか、などなどを考えたりもしました。そのような著者の方々に教わったことが多いと思います。経験による体得なので、正確さという点では、私自身も現在でも自信を持てないでいます。几帳面な方からは、いつも甘いと思われていることでしょう。

めちゃくちゃでは困りますが、全ての正しさを保証するほどに全部を確認することはできません。実際の着地点としては、めちゃくちゃではない、ほとんと問題がないということが言えるくらいというのはどのくらいのことなのか。

新人に最初から勘で体得してくれというのは、勘がない段階で非現実的でしょうし、時間が掛かりすぎるように思います。参考文献というものについては、Butcherなどで考え方、慣例を知っていく必要があるのではないでしょうか。

ここでは概略を説明します。このようなことに注意を払っていくための基礎的な観点というものを教えたいと思います。

まず、参考文献の部品は何でできているのかということを考えてみよう。それがどういう順に並んでいるのか、ということ。代表的な参考文献の付け方には、APAのもの、MLAのものなどがあり、そのようなものを複数見ておくということも、参考文献の付け方を知るためには重要です。

次のようなことが大事かなあ、というところ。

1 体裁の不具合を見つける
2 体裁のルールを知る
3 参考文献にはどういう項目が含まれているのかを知っておく
4 間違えやすい点
    1)定期刊行物の巻数を立体にする(正しい)
    2)配列の間違い。アルファベット順、五十音順になっていない
    3)出版地の入れ方に不統一はないか
    4)人名のイニシャルのルールが、APAとMLAと混ざっていないか
5 参考文献をかならず、最初から順番をおって目を通すこと。
6 本文中に文献が出てきた場合に、参考文献で確認する。本文中に出ている文献が、参考文献に載っているか、もれていないか。→本来的に著者が済ませているべきことと思うけれども、新人の際には特に本文と参考文献リストを照合しみると勉強になるかと思われる。


画像は、幕末古写真ジェネレーター(下記のURL参照)で加工した写真。
http://labs.wanokoto.jp/olds


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