【出版】アシスタントエディターと平のエディターとコミッションエディターという3つの階層

2008年1月30日(水)

【出版】アシスタントエディターと平のエディターとコミッションエディターという3つの階層

欧米の編集部では、アシスタントエディターと平のエディターとコミッションエディターという3つの階層があるらしい。日本でも、見習い編集者と編集者(編集部員)と副編集長以上というので、実際に3つの階層になっているだろう。

これらの違いはアシスタントエディターはエディターの補助であり、いろいろな他の上役の仕事の手伝い、会議に参加するのに資料を作って、会議では食事を用意したり、議事録を作ったりということを行う。上役の編集者の手伝いとして、さまざまなことを行う。誤解を避けるために先回りしていっておくとさまざまなことということは、雑用ということではない。雑用は平編集部員でも行うことだから。雑用と編集ということは、根本的な問題で、はなせばきりがないので、このままにしておく。

アシスタント編集者の際には、仕事をこなせるようになるということがもっとも重要だ。上役からの回ってきた下部の仕事を任せられるということ。

次に平の編集部員になるまでに重要なことは、出版というビジネスへの理解である。本を作るのにどのくらいの手間とコストがかかり、それをどのように売っていくことで、利益を出していくのかということ。お金を払ったり、お金をもらったりということはどういう意味があり、そこにはどういう仕組みが関わっており、どういう権限と理由によって、お金の流れがあるのかということの理解だ。

それまで、上役について指示を出していただけのことが、どういう仕事とお金の行き来というモノはどういうものであったか。たとえば、新しいプリンターを入れるということは、どういうことなのか。紙を発注するというのはどういうことなのか、品出しとはどういうことか。これは、編集者がニセインテリで、商売のことを気にしないというのならともかく、編集者だけではなくて、どんな仕事でも同じことだろう。会社のお金を使うということがどういうことなのか、という常識の部分だから。

著者であったり、取引先であったり、お客さんに無理を言われることもあれば、無理をいうこともある。無理をきかされることもある。そういうことが、出版ビジネスの中でどうあるのか、どうあるべきなのかということを認識しているかどうか、というのがアシスタントから平になる際に重要なことである。それを経営的にこなしていけるようになれば、コミッションエディターの資格がでてきたということだ。平の段階では、経営的な判断までは必要がないが、会社のビジネスとどう関わっているのかということは理解している必要がある。経営までいかなくても収支的なことは理解しよう。

だから、アシスタントエディターの際には、右から左にスムーズにこなすということが重要なことであったが、平になるため、あるいは平であるためには、それだけではだめで、それがどういうことなのかが分かっていなければならない。どういうこととは、収支的にどういうことになるのか、右から左にこなせたとしても、そのことを理解できていなければ、それは上司に頭ごなしに怒られても仕方のないことだ。平になる段階、あるいは平になっている段階で、収支的な理解は必須である。

収支的と言うことは、売ることに効果のあるキャッチコピーも考えられなければならないし、内容紹介文だって、すらっと書けなければならない。営業担当でなくても、売れることに貢献することは当然であり、そうじゃなければ企画を通せない。

出版ビジネスの仕組みが分かった上でなければ、本当は企画を立てることもできない、つまり、どういう利益がでるかがわからなければ、企画の立てようがない。販売のシュミレーションができなければ、もちろん、100パーセントの予言などない、どういう企画を進めましょうとも言えない。

アシスタントの時期と平の時期では求められていることが「質的」に違うのだ。だから、アシスタントとしての仕事ができたとしても、平になる過程で、アシスタントの時には怒られなかったようなことで、怒られることはある。もし、それを越えられなければ、それは企画を立てることはできないということになるだろう。越えられない人が多いから、あるいは越えるところまで育てないから、アルバイトのままであったり、プリーターであったりということから、抜け出せない、抜け出さない、ということになるのかもしれない。

マックの店長問題も、コミッションエディター以上の仕事をしてない平社員を店長という名目で残業代を払っていなかったのであれば、問題だ。コミッションエディター的な仕事をしたいのかどうかというのは、一方で、そこまでの責任は負いたくない、というので、アシスタント以下でいいということもあるのではないだろうか。マックなんて、システムを決めたら、現場の裁量権などはないのだから、経営的な意味での管理職とは言えないだろう。管理しかしていないのであるから、管理職か。そういう管理職の場合に残業代が必要ないということであれば、残業代の問題ではなくて、給料の総額の問題ではないか。


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