2008年1月9日(水) 国立国語研究所「廃止」問題、資料集行政改革推進本部による独立行政法人問題について、年末に読売新聞で「国立国語研究所、廃止」と報道されました。その後、注目してきているのですが、進展は不明の状態です。 私のブログでも、続けて何度か書きました。 行政改革推進本部事務局ホームページを見ると、文科省に対して提言した(?)「国立国語研究所事務及び事業の見直し」の箇所で、以下のようになっています。これはそのままのかたちで、正式決定したのかどうかについての報道および発表はいまのところありませんので、詳細は不明です。国立国語研究所のトップページも追加の情報はありません。詳細を待つべきところもあると思われますけれども、本当に決まってからでは遅すぎると思います。 行革推進会議のサイトでも、pdfで載せられているために、非常に煩雑で読みにくいです。pdfのみでの公開は、問題があると思います。めくれないので、非常に読みにくい。読みやすいかたちで資料集にした方がよいと思いましたので、それぞれ引用して掲載します。ただし、具体的に議論される場合は、元のpdfを参照してください。 今更ですが、本来であれば、美術史学会が2007年の5月に行ったように、先んじて意見書を関連学会などが提出すべきであったと思われます。( 独立行政法人国立美術館への西洋美術・情報メディアセンターの設置、ならびに同美術館における西洋の近世以前の美術作品収集の拡充に関する要望書)学術政策について考える必要性を、春の研究成果公開促進費の採択率のダウンの際に感じていながら、学術系独立法人の問題に全く関心がなかったことに、私自身、とてもふがいない思いがします。そういう発想がまるでなかったのですから。すいません。 国立国語研究所という言語についていうと日本で唯一の公的研究機関であり、日本国民がことばをどういうふうに捉えるか、どのような日本語を構想するのかというときにもっとも基礎的な資料・研究を行っているところです。そのような機関を、廃止あるいは縮小するということは、国家政策的にも、文化政策的にも認めがたいことであると思います。 ことばは普段話している。だからといってことばについて知っているわけではない。ことばをわれわれは日常話している、だから、研究は必要がないということなのでしょうか。 話はずれますが、「右派」、新自由主義的・リバタリアン的にいうなら、国家が支援する必要がなく、「民間」でやればいいということになります。公教育自体も、国がやる必要がないという考えですから。「左翼」的な方でも、限定的福祉主義(本当に困っている人だけ国家は救済すべきで、それ以外の国家的施策は必要はないという考え。立岩真也さんもそういう考えのように見受けられます。誤解でしょうか。私が勝手に名付けた。)の人もたぶん同様で、日本人が日本語を話せているのだから、研究する必要はないということになるのかもしれない。「右派」「左派」の両方とも文化政策は政府を強くするだけなので必要ないと考えていると思われます。「右派」「左派」を問わず、文化政策・学術政策についてどのように思っているのでしょうか。結局、国語研は廃止されてもいいと。公共的文化政策というものについて、きちんと考えて、説明できるようにしておく必要があると切実に感じています。もちろん、私は出版社ですので公共性を、政府のみが担うと考えているわけではありません。 さて、図書館(業界)にとっても、研究図書館を廃止するということは大きな問題だと思います。図書館事業の廃止という意味が具体的にどういうことなのか、不明であります。図書館事業が廃止されてしまうと『国語年鑑』というレファレンス資料を毎年出していてくれていたが、それもできなくなる可能性があります。2次資料を着実に作るという、とても大事な仕事を行うところがなくなってしまうということでもあります。図書館の世界の人にも関心を持ってほしいことであります。 「独立行政法人整理合理化計画」(平成19年12月24日)国立国語研究所【日本語コーパス事業】 行政改革推進本部事務局ホームページ
2007/12/26 お知らせ:独立行政法人整理合理化計画について(PDF) 独立行政法人整理合理化計画について 独立行政法人整理合理化計画が平成19年12月24日に閣議決定されました。この中で、国立国語研究所については法人形態の見直しが指摘され、「大学共同利用機関法人に移管する」こととされましたが、移管先及び移管時期等については未定です。一部の新聞報道では、国立国語研究所を「廃止する」という記載がありました。今回の見直しでは、独立行政法人としての国立国語研究所を廃止し、組織を大学共同利用機関法人に移管するというものです。 なお、今後の国等での検討の過程で詳細が決まりましたら、改めてご報 告します。 ※参考まで 国立美術館事務及び事業の見直し【民間競争入札の適用】○東京国立近代美術館等の管理・運営業務(展示事業の企画等を除く。)について、民間競争入札を実施する。 運営の効率化及び自律化 【業務運営体制の整備】 ○平成20年度から、各館において個別に行っている出版物の編集・発行業務について、可能なものから本部において一元的に実施する。 ○企画機能強化のため、以下の取組を行う。 ・5館共同の展覧会の開催を調整・実施する。 ・各館における展覧会企画等について連絡・調整を行う。 ・各館の企画・連携の在り方を検討し、平成20年度内に結論を得る。 【自己収入の増大】 ○外部資金の活用、自己収入の増大に向けた定量的な目標を平成20年度 内に策定する。 執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。 「本の出し方」・「学術書の刊行の仕方」・「研究書」・スタッフ募集について・日誌の目次 日誌の目次へ
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