2008年1月1日(火) あけましておめでとうございます。昨年は、たいへんお世話になりました。研究書の刊行ができるのは著者の方々が原稿を書いてくださったおかげです。原稿がいただけなければ、出版社は単なる仕事のない作業所です。仕入れがなくて、製品を作っていない工場、舞台がない劇場、パスタのないイタリアンレストランのようなものです。本当にありがとうございました。読者の方にも支えられました。やっと1億円を越えたのですが、売上げが伸びたということは昨年よりも本を買って下さったということです。読者がいなければ、買い手がいないということであり、観客のいない舞台、お客のいないレストランのようなものです。読者をつなぐ書店さんや原稿をページに変える印刷所の方々、みなみなさまにお世話になりました。あつく御礼申し上げます。 昨年の反省はいろいろありますが、まずはこれからはじまる今年の抱負ということで申し上げます。継続的に取り組んでいるというものもありますので、ここ数年同じことを申し上げているものもあります。少しずつ前進していることをあらためて表明しているものだとお考え下さい。 1つ目は、英語の学術書の販売ルートをつくる今年は、1つ目は、英語の学術書の販売ルートをつくるということです。昨年末に元洋販社長の賀川さんにアドバイスをもらいました。ディストリビューター(販売代行業者)の開発には2年はかけた方がいいということでしたので、その通りだと思いますので2009年を目処に販売経路を確立したいと思います。そのために、今年はアメリカのBookExpoに行きたいと思っています。とともに、もう一つの選択肢としては海外の日本書店にお願いして流通を確保するという方が無難な選択かも知れないとも思っています。そのルートが十分に機能するのなら、ディストリビューターとの交渉などに大きな力を注がなくても実質がとれればいいからです。その点では、たぶん、フランスなど欧州大陸については、第一段階を今年の前半に突破することができると思います。これは机上の空論ではなくて、ジュンク堂パリ店さんの協力が得られそうなのです。これがうまく行けば、欧州の注文をジュンク堂さんにお願いすることができます。 2つ目、日本語教育の中級の教科書を秋に刊行します2つ目は、日本語教育の中級の教科書を秋に刊行します。ひつじ書房は日本語教育のメイン教材を持っていませんでしたが、日本語教育にもかなりコミットしてきていますので、教科書も出したいと思ってきたのです。どうせだすのなら、これまでのものとはひと味もふた味も違う教科書にしたいと思っています。海外出版社の英語教育のテキスト並みの、たとえば、イラストのきれいな、ロングマンの英語の教科書ともひけをとらないデザインの優れた使いやすい教科書を作ります。もちろん、内容も面白いものになると思います。見本盤を春に作りますので、もし、使ってみたいという方はご連絡下さい。 3つ目、『ことばの宇宙への旅立ち』を刊行します3つ目は、東京言語研究所・ラボ国際交流センターとの協力で10代のワカモノに対する言語学への招待『ことばの宇宙への旅立ち』を刊行します。言語学という学問領域について、若い世代を招待していくのは、研究者と出版社の使命だと思います。この本を今年は流行らせたいと思っています。 4つ目、言語政策や学術政策というものに対してきちん考える4つ目は、言語政策や学術政策というものに対してきちんと考えて、交渉ごとをするということを忙しさの中でかまけて見ざる、聞かざる、話さざるというていたらくでしたが、時間を作って、考えます。そしてどういう行動を取るべきかということを考え、行動を起こします。研究成果公開促進費の問題、国立国語研究所「移管」の問題、外国人労働者の言語問題、みんな関わっています。 5つ目、仕事と人生のバランス5つ目は、私の個人的な部分とも関わりますが、仕事と人生のバランスです。私は今年47歳で、来年2009年に干支が回ってきます。私はうし年です。私自身のことを考えると、これまでの編集人生、出版人生と社会との関わりなどを振り返るタイミングになるはずです。そんなことのため、来年2009年には、文化政策に関わる研究ができる大学院に進学したいと思っています。4つ目のような課題もありますので、文化政策的な見通し、あるいは提言をするという力を付ける必要があると思います。そうした上で2010年のひつじ書房の20周年を迎えたいと思っています。 このことは社員の仕事と人生のバランスと言うことにも言えることです。結婚をして、子供を持って、ちゃんと続けていけるような仕事なのか、持続可能なビジネスなのか、仕事場なのかということを考えて、バランスを取れるような体制にこれも2010年までにはかたちにしたいということです。そのためには2008年から準備をしていきたい、と思っています。 21世紀の学術出版社の王道を行きたい学術書の編集出版をしっかりと行うこと、それに伴う財務的な基盤を盤石なものにすることなど、全体的な目標です。出版界や学術出版が安定しているというわけではないと思いますし、年末にいつもお願いしている赤帽さんが言っていたように、中小企業の多くが前年の業績を維持できればいい方だ、ということもある中で、ひつじ書房は業績を向上させているという点で、かなりがんばっていると思います。そうではありますが、21世紀の学術出版として何をすべきなのか、何ができるのかということを頭を絞って考えて、本年1年も、全力を尽くしていきたいと思っています。 ことしも、多くの優れた原稿に出会えますように。多くの方からの出版の提案をいただき、面白く有意義なプレゼンテーションを聞くことができますように。そして、本をいっしょに作っていきたいと思っています。どうぞ今年もよろしくごひいきに願います。そして、書店や外商の方とともに、本をどんどん売っていきたいと思っています。それが、研究成果の公共化だと思います。みなさま、どうぞご支援お願い申し上げます。 執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。 「本の出し方」・「学術書の刊行の仕方」・「研究書」・スタッフ募集について・日誌の目次 日誌の目次へ
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