【出版】修士の学生のキャリアパス

2007年12月15日(土)

【出版】修士の学生のキャリアパス

ある大学の修士の学生から、メールが来た。就職したいのでひつじ書房に募集したいとのこと。博士課程には行かないで就職したいということのようだ。私は、応募書類を送ってほしい、と連絡して、応募書類を送ってもらった。

ひつじでは、応募の際に、応募理由を書いてもらうことにしている。このような内容だった。「私は日本語学を勉強してきたので、好きな勉強を続けたいので、日本語学の出版社で働きたい。」これではダメだ。このいい方では、どうしてダメなのか分かるだろうか?

学部で卒業する場合は、大学でも就職部が支援していて、就職試験の受け方などを指導している。でも、文系の大学院生にはそういうものはたぶんない。

その学生さんに、メールで今回は不採用だが、もし、どうして不採用になったかを知りたければ、話をする時間を作ってあげるよ、と伝えた。採用プロセスに進まないのに会うというのも少しおかしいことかなと思っての提案であったけれども、返事がなかったので応募書類を返送した。来てもいいよといわれても来にくいというのは分かるが、いつまでも同じ掛け違いを続けていくのは、ばかばかしいのではないか?最初の気づきがあれば、問題の解決に向かって進むことができる。

問題はほとんどの場合、消費者から社会人になるという際の視点の切り替えができないという一種の認識不足があって、そのことに気がついていないことだ。お金を払ってサービスを受ける消費者ではなくて、お金を受け取ってサービスを提供する社会人になることの違いは何か。会社から給料をもらうというのはどういうことなのか。そんなことに気がつけばだいたいの場合は、たいていの人は問題なく就職できるだろう。だから、文系の修士の大学院生で、就職について悩んでいる人がいたら、相談に乗ってあげてもいいと思っている。特に出版を目指したいということを言う人はある意味で同じ関心を持っているわけだから。

それができれば、修士の学生のキャリアパスの1つができることになって、修士に行っても学者にならないで生きていく道が分かりやすくなるということ副次的な成果もあるような気がする。もし、修士課程に進んで、研究を目指さないという人がいて、話をしたいという人がいたら、メールをもらえれば時間さえあえば会ってもいいと思っている。


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