【近況】日本語文法学会の印象

2007年10月29日(月)

【近況】日本語文法学会の印象

日本語文法学会が、筑波大学でこの土日に開かれました。土曜日は、あいにくの天候でした。大雨で、書籍を運び込む時も傘をさして雨から必死の思いで書籍をまもったのですが、それでも段ボール箱がぬれてしまいました。段ボールがぬれてしまうとゆるくなって、返送するのに耐えられなくなってしまいます。それは避けたい。作業もしにくい。何よりお客さんが来にくくなってしまうと売上げがあがりません。心配したよりも、販売は健闘しました。会場のお世話をしてくださった先生方、院生の方、ありがとうございます。

日曜日はうって変わって良い天気で、紅葉がはじまった街並みは秋らしく、さわやかな気持ちになりました。天候でこんなに印象は変わるものなのですね。

文法学会は、書籍の売上げ的には昨年を上回って、この点では成績はよかったといえるでしょう。ただ、今年の春にかなりの研究書を出したことからすると、もう少し売上げが伸びてもいいかなというところです。ひつじにとってはメインの学会なので、ひつじを支えてくれるくらい売れてほしいわけです。そんな期待ほどではなかったという気もします。ちょっと思惑との現実の間にズレがあるかんじです。筑波大は院生の人数が多いはずなのに、あまり買ってくれなかったような気がします。それが、ズレがあるように感じた原因かもしれません。これは単なる印象に過ぎないのですが、その大学の院生の人が来て、買ってくれると、将来に希望が持てるのですが、そういうのが弱かったのかもしれません。

あるいは、私がズレを感じた理由の一つは、参加者の人数が多くないということがあるように思います。もちろん、文法を研究している研究者が集まる学会ですので、そのジャンルの方々がきているのですが、日本語学会の文法研究者がその部分そのまま抜けてきているというような感じがします。コアな参加者とコアな発表という点では効率の良い学会かも知れません。必要と供給があっているということであれば、それはよいことでしょう。

ただ、もう少し広がりがあってもよいのではないかと思います。余裕というかスキマのようなものが、もう少しあってもよいのではないか。たとえば、日本語教育関係の方はあまりいらっしゃいませんようでしたし、認知言語学の系の方、英語学系の方もあまりお見かけしなかったように思います。文法習得研究が、文法研究そのものに影響を与えつつある現状の中で、絞られすぎているという印象を持ちました。日本語教育文法ということが、いろいろ盛んに言われているのに、そのような発表はたぶんなかったと思います。シリーズ文と発話という書籍を出していますが、そういう問いかけに対するワークショップのようなものもあってもよいと思います。談話と文法の関係とか、身振りと言語の関係とか。

そうしてみると全体として少し閉じている(誰かを排除しているということはないわけですが)ような印象を持ちました。異分子的な研究を受け入れるということを意図的に行うことを考えるとよいのではないかと思いました。狭くなっていくと袋小路に入ってしまう危険性が高まります。そうならないでほしいと思います。文法研究に支えられているひつじ書房としては、文法研究に期待をしていますので。


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