査読者を設けることについて 2007年3月19日(月)
2007年3月19日(月)

査読者を設けることについて

今まで、「本を出したい」というご提案をいただいた場合にいくつかのケースで「査読」を経て刊行するということを行ってきた。それまでその方を存じ上げず、学会でもお目にかかることがなくて、そのご提案がはじめてのご縁であった場合。それと刊行を急いでほしいということで、早く刊行するかどうかの結論を出してほしいと言われた場合などである。

査読を行う場合は、レアケースであった。学会でその方の発表を聞いていたり、それまで論文集に書かれているのを読んでいたり、学会でなんどもお目かけしていたり、お名前を存じ上げていたり、どういう研究をされているのか知っていることが多かったからだ。

欧米の学術出版では、編集者が独自に判断するというよりも、刊行するかどうかは、複数の査読者の意見に基づいて決めるようだ。getting publishedにはそう書いてあった。不思議なことに編集者が独自の判断で決めるということは書いていないようだった。

この方法が100パーセント正しいかどうかはわからないが、参考にすべき点が多いと思う。ひつじ書房では、以前よりもより広い範囲の言語研究の研究書を出すようになっている。ジャンルごとに研究の修業方法も違っているようなので、直感的に判断することはとても難しい。となると、査読システムを導入するべきなのではないだろうか?

査読をお願いすることもあると思いますので、どうぞよろしくお願いします。以下は、刊行の仕方のページに書いたものである。

proposalと査読のプロセス

proposalをお送りいただきました場合、弊社の編集部でまず、弊社の出版物として刊行できるものなのかを検討します。proposalはできるだけ分かりやすく、魅力的に書いてください。

proposalを拝見して、検討をさらに進めるとご連絡申し上げました場合には、原稿をお送りいただきますようお願い申し上げます。

原稿を拝見しまして、さらに検討を進めると判断した場合、次の段階に入ります。弊社では査読者を選んで、査読をお願いすることになります。この段階に入りましたら、ひつじ書房に出版について最優先権をいただいて、優先権のもとに進めることになります。(この段階では、刊行をお約束するわけではありません。)

その段階で、査読を行います。2名の査読者に依頼しまして、読んでいただきまして学術書として出版する価値があるのかについてレポートを書いてもらいます。

査読者についてですが、この段階で3名の方を紹介してくださいますようお願いします。3名の方を連絡先とともにご紹介下さい。(薄謝ですが、査読者にはお礼をいたします。)その中から、査読をお願いすることになることがあります。また、弊社でも別途、査読者を探しまして、査読を依頼することもあります。

以下はJohn Benjaminsの例

3 Possible reviewers of your manuscript

Please list up to three professionals in your field (with their addresses) who are qualified to objectively read and evaluate your work. Please provide names, addresses, fax numbers and/or e-mail addresses.

We may or may not approach the suggested reviewers as we may be using our own network of reviewers, or those suggested by our series editors.

査読のプロセスに入ります段階で、データをお送りいただきます。その原稿データから、著者が特定できる情報をできるだけ消しました上で、査読を依頼します。2名の方よりいただきましたレポートに基づきまして、弊社として出版できるかどうかを検討します。

※査読自体は査読者を選んで、依頼して、読んでもらって査読者のレポートが戻ってくるまで1月と考えています。

レポートを拝見した上で、編集会議で出版を検討します。この段階で著者の方にプレゼンテーションをお願いします。プレゼンテーションをお聞きした上で、こちらの側から刊行に当たっての条件をご提示します。日本学術振興会の研究成果公開促進費の申請と交付を前提にする場合もあります。

現実問題として、全般的に研究成果公開促進費の交付を前提とすることが、あることを申し添えます。弊社は申請について、申請時にひつじ書房のノウハウをもとにお手伝いします。


執筆要綱・執筆要項こちらをご覧下さい。



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