Butcher’s Copy-editingの読書会をはじめた。Cambridgeから、初版が1976年にでているものであり、昨年末に4版がでた。コピーエディティングについてはバイブルのような本らしい。
さて、欧米では、コピーエディターとプロジェクトマネージャーあるいはコミッションエディターという職種が分かれているらしい。日本ではこのような分けかたはあまりしない。日本だと校閲と編集というわけかたになるだろうか。でも、日本とは実態が違うようだ。
コピーエディターは、原稿が発注された後、あるいは原稿依頼がすんだ後、つまり、この本を出そうという企画が進行することが決まった後から関わる。表記事項の統一、体裁の統一、参考文献のチェック、割付、校正などに関わる。文章が分かりにくかった場合に、書き直しをお願いするようなこともある。
それに対して、コミッションエディターは企画立案そのものに関わる。著者と付き合い、新しい企画を考え、そして企画の立ち上げ、原稿の依頼、契約、プロモーション、マーケティング、広告、などの内容、テーマに関わることである。
コピーエディティングの本は、日本の『校正必携』とはかなり趣きが違っている。『校正必携』は、誤字脱字などの「文字遣い」にかなり偏っているが、コピーエディティングは、もう少し内容に関わっている。法律書であればどうであるとか、音楽学の本であれば、どうであるか、ギリシャ語はどう扱うかであるとか。referencesとwork citedとbibliograpfyの違いであるとかにも記述がある。(違い分かります?)また、Cambridgeが出しているからかも知れないが、Butcher’s Copy-editingは、学術書に近いスタンスである。コピーエディターは単なる校正者ではないのだろう。書籍の様式、体裁、仕組み(構造)にも関わっている。
このような職業意識の専門的な校正者というのは日本に存在するのだろうか?言語学の校正者ではなくてもよいが、学術書のジャンルにおけるコピーエディターというような職業意識のプロというのはたぶんいないのではないかと思う。どうだろうか?日本の場合、本というとどうも、「一般教養」になってしまうのが私の不満である。日本には「専門教養」というのが存在しないのではないか?また、通常の校正者の価格体系が文字単位なので、専門書のようにページ数の多いものはコストが高価になってしまうので仕事をたいへんお願いにくい。失礼、愚痴が入りました。
さて、学術書の基本的な扱いについて定型化された知識やスキルが日本の出版界には(私の経験から考えると)存在していない。岩波書店とかみすず書房とかにはあるのだろうか?エディタースクールの出版技能についてのいくつもの本も、非常に概論的で学術書の細かいルールについてはほとんど記述がない。いつも判断に困ることがあると、Oxford StyleやChicago Manualを読むことになる。きちんと勉強するためには洋書を読むしかないからだ。体系があたまに入っていないと場当たり的になってしまうから、それを避けて効率よく、水準も高く、整合性をもってというためにはきちんと基礎が必要ということで、コピーエディティングの勉強を開始することにした。そこでバイブルButcher’s Copy-editingの読書会をはじめたというわけです。
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