相談というものは急であることが多いもの 2006年10月13日(金)
2006年11月7日(火)

学会出店の意味

今年の英語学会は、東京大学の本郷で行われた。昨年が、九州大学であったので、2年続けての旧帝大での開催ということになる。旧帝大で開催の場合は、郊外の私大に比べると大学院生も多いし、交通もよくアクセスもしやすいからから、お客さんも多いだろうと期待してしまう。

一方、便利なところだと、出展する出版社も多いので開催校としても場所をおさえるのがたいへんであろう。今回は、29社とのことで、とても多い数であった。よその出版社に悪いが、4社くらいまでが会場の近くになったり、当日交渉して場所を変えたりできて融通がきく。これだけ多いと校舎が違ってしまったりすることになり、発表会場と展示場所が遠くなる。展示してあるお店までお客さんが来てくれないということになってあまりいいことがない。私の印象では、来てくださった方々の数からすると100人規模の学会という印象であったが、野村先生にお聞きすると500人は参加していたとのこと。400人は、出版社のブースにたどり着けなかったということだろう。

ひつじ書房にとって学会に出店する意味はいくつかある。本を売ることはもちろんだが、日頃会えない著者の方に会うことも重要なことだ。学会発表を聞いて研究の動向を知ると言うことも重要なことである。しかし、何よりも重要なことは、2つある。今後どういう本を出そうかという判断材料を得ることと、将来の著者を探すことである。

今年の春から新刊をたくさん出しているが、それらのうちどれが読まれるのか、購入されるのかということをサーチしている。お客さんは、どの本を手に取られるのか、どの本を買うのか。そのことによって、今後の出版の方向をどちらに梶を取るのかを考えているわけだ。もっというと、どの本を買うかで出版の方向について投票することができる。

もう1つは、本を買ってくれる人、見てくれる人の中から、有望な方々を捜しているということである。買う筋が重要であるし、研究に対する熱意というものも察知することができると思う。昔であれば、先輩が後輩の研究者を紹介してくれたりもした。そういうこともあったと思う。そうすることで、将来書いてもらおうとか、候補として記憶にとどめると言うことがある。

このように考えると展示先にお客さんに来てくれないとどの方向に積極的に進むべきなのかという出版の指針が得られないことになるし、新しい研究者とであうこともできない。ぜひとも先輩格の研究者の方は、後輩を紹介してほしいし、先輩からでなくても自分から店先に来てもらいたいものである。そのようにして、研究は続いていくのではないだろうか。名刺をこちらに渡して自己紹介してほしい。さらには本を買ってくれると好印象度、いきなりアップということになる。

一度もお店にも来てくれないで、学会でも顔を会わせないでいきなり本を出してほしいという打診を受けることが少なからずあるが、私はもう少し違うやり方があるように思う。人間の関係なのだから、少しずつ知り合っていくようにした方がお互いに幸せだと思う。ということで、2日間で一度も展示の場所に来なかった方も、来年の英語学会の時にはかならず店先に来ていただきたいと思う。互いに知り合うことで、研究書はもっと出しやすくなるし、そうすることでこちらとしても研究をより支援できるようになると思っている。

もう一つ最後に付け加えると人がたくさん来てくれるとそのことによってエネルギーがわいてくる。もっともっと頑張りたいという気になるし、発表も聞きに行って企画をどんどん立てたくなる。人が来ないと前向きな気持ちが起きないのである。もっとエネルギーを下さい。


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