中島平三先生の還暦の記念祝賀会に私と担当者の青山が、参加した。中島先生は生成文法の研究者として業績も多く、良く知られた著名な研究者であり、英語学会の会長を務めるなど、英語学を支える学会的な仕事もされている。このたび、『言語科学の精髄を求めて』という大著は中島先生の先輩、同輩、後輩の方々の研究論文を34本を収録し、560ページ以上という壮観な書物になっている。これだけの質とボリュームのある論文集はそんなにはない。これはやはり多くの方からのお祝いのお力添えをいただいたということはすばらしいことであり、私たちが刊行に携わることが出来たことをありがたく、うれしく思います。
ひつじ書房と中島先生の最初の出会いは、90年代の前半にさかのぼる。ひつじ書房は中島先生に『ファンダメンタル英語学』という教科書を1995年に出していただいた。これはシリーズとなり、英語史、英文法、さらには今年中に今井邦彦先生の音声学が刊行になる。ファンダメンタルシリーズはひつじ書房の1990年代の半ばを支えてくれた重要な教科書である。これを95年に刊行することができたということは、実際にお目にかかったのは94年ごろであろう。とすると、ひつじ書房が90年に創業して、ほとんど間がない段階で、声を掛けてくださった。まだ、きちんと成長するかどうかわからないようなよちよち歩きの時に、声を掛けてくださったことは、本当にありがたいことと感じている。感謝の気持ちで一杯である。
94年は、考えてみると12年前である。平三先生もまだ40代ということである。私も30代前半。その時、ファンダメンタルと並行してHOLDSという学位論文のシリーズをスタートさせた。これはせっかく博士論文を出しているのに、出版されていないということが残念なことであるので、公刊する機会を作れないかという平三先生の願いから創刊したものである。後輩思いということだと思うし、研究が盛んになって充実するためには個人の力だけではなく、グループとしての力というものが必要だと実感されてのことだろうと思う。そのお気持ちが、創業間もない出版社も支援してやろうと思ってくださった原資なのではないかと思う。ご自身の研究とともに研究ができる環境、研究が発表できる環境と言うことをも大事なことと思われる方であるということである。そのことは本当にありがたい。(なかなかそのような方はいらっしゃらないというのが率直な印象である。)
中島平三先生の今後の研究の発展と健康をお祈りします。また、お若いのでこれからも研究をおすすめになることと思います。また、3人の編者の先生方、鈴木右文・水野佳三・高見健一先生に感謝申し上げます。おかげさまで期日通りに刊行することができました。
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