学術振興会の研究成果公開促進費(いわゆる出版助成)の採択結果がほぼ出た。今年の採択数は13件である。昨年が6件であったので、倍を超えたということになる。前年比200パーセント以上増ということである。採用されなかった先生方もいらっしゃるので、諸手をあげて万歳とは言えないが、採択された先生には、こころからおめでとうと申し上げたい。全員が通ればよかったのだが、なかなかそういうわけにはいかない。採択されなかった方にはこころから残念であると申し上げたい。今回は狭き門であったということだと思う。今後の策としては、再度の申請ということもできるし、あるいは少し方向をかえて出版するということもある。その点についてはご相談しながら、模索したい。
今回、再挑戦して通った方もいらっしゃる。新村出賞を受賞した加藤重広先生の『日本語修飾構造の語用論的研究 』も申請の2回目に通り、新村賞を受賞したのである。一度であきらめることは全くないわけである。何度かトライするということもある。
今年は採択率が40パーセントとのことであり、昨年が46パーセントであったことからすると、倍率が高まったということだ。その中で通った先生方には本当に狭き門をくぐり抜けられたことをお喜びしたい。
ひつじ書房は29件応募したので、採択率の40パーセントを超えるほぼ45パーセントである。昨年度が6件。実は、6件というのも少なくない数であった。その倍ということは仕事の量も倍になるということになる。その対応のため、河口さんを社員に迎え入れたわけである。(期待しています。)
人員も増員するとともに、編集能力も向上するようにつとめている。たとえば、組版も執筆要項も進化させている。松原が書いているように、執筆要項がよくなれば仕事もスムーズに進めることができる。これは手をぬこうということではない。仕事の水準を上げ、またスムーズに進めることができれば、無理をしなくてすむ。新しい著者を見つけたり、新しいトピックを探したり、そういう仕事に力を注ぐことができる。さらによい本を出していくことができるようになる。優れた著者から相談を受けるようになる。よい本ができる。こんな循環をおこしたいからだ。
研究書は必ずも利益性が高くない。1冊1冊丁寧に研究書を作ろうとすると自然、編集作業の量が増えてしまう。分業するほど利益がでないから、担当者が1人で夜遅くまで仕事をするような状況になる(現状がそうだ)。そこから抜け出す必要もある。スムーズさとクオリティを高めよう。
13件というのは少なくない。ひつじ書房は、出版助成金の本だけを出しているわけではない。自主企画のものもあるし、提案を受けて出すものもある。ここで2倍ということは、たぶん、これから出版全体の点数も倍になるということではないか。倍にならずとも1.5倍であるとか。学術研究書を出そうとお考えになる方が、ひつじ書房を支持して下さるとするとご提案いただく機会も増えていくことになることが予想される。とすると、やはり2005年はターニングポイントで、今年は大きくこの路線で進化する年になるということだと思う。
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