2005年4月26日(水)学術振興会の出版助成金内定
2005年4月26日(水)

2005年、学術振興会の出版助成金内定

昨年の11月に学術振興会の出版助成金を申請しました。10名をこえる申請を行いました。その中で、たいへんありがたいことに、6名の方の申請が、通りました。金水敏先生、由本陽子先生、野村忠央先生、堀素子先生たち、加野まきみ先生、東泉裕子先生です。堀先生は、グループの代表としての申請です。これらの6冊は、来年の2月までに刊行します。どうぞご期待下さい。詳細は目録誌『未発』に紹介します。

一方、優れている内容であるのに、内定を得ることのできなかった申請があります。まことに残念に思います。ただ、助成金の申請に通らなかったからといって、刊行することを断念するわけではありません。出版に際して、重要なのは、その研究を読んでくれる読者が存在しているか、どうかです。読者が十分に存在していれば、助成金が必要ありません。しかし、学術書の場合は、十分な読者が存在することはなかなか困難です。存在しないことの方が多いかもしれません。たとえば、500冊売れなければ採算が採れないのに、研究者人口が300人であるとか。その存在が、困難であることが、助成金がある理由でもあるわけです。読者を探し続けること、読者に呼びかけること、場合によっては読者を生み出そうをすることも必要です。これは出版社というもの最も重要な役割ですが、このことが困難であるから、助成金はありがたく、必要でもあるわけです。

学術振興会の助成金が通らなかった場合で、刊行しようとした場合、出版経費の一部を助成するものがなくなるわけですので、刊行するリスクが増えることになります。そのリスクを著者の先生とご相談して、分担することをご提案しています。具体的には、読者がどのくらいいると想定できるかによりますので、その場合その場合で考えて相談と言うことになります。

本が世にでることで、研究の生み出す「知」が、共有され、公共のものになります。リスクだけではなく、このことの公益性を想像することがとても重要です。

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