ひつじ書房は、ある事情があって、ほぼ10年間、東京から30キロほど離れた茨城の猿島のある方の倉庫に本を900冊、預けていた。ある事情とは、つぶれそうな印刷所があって、そこがつぶれてしまうとひつじの本でも差し押さえられてしまうから避難した方がいいと言われて、急遽、移動先を探したところ、そこになったのだ。製麺業をされている方がもっている倉庫の隅っこに置かせてもらっていた。残念ながら、預けていた本は10年間出荷が少なかったので、ほとんど取りに行く必要が生まれなかった。
10年間預けっぱなしというのも、よくないだろう、もうけじめをつけるべき時と感じたので、浅草の倉庫へ昨日移動した。浅草の倉庫も少し広くしたので、どうにかおさまった。10年来の懸案であった。茨城の猿島の倉庫の終わりである。これからの10年の始まりなのかもしれない。いや、これからの10年を作っていく始まりだ。「幼年期の終わり」だ。
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