ひつじ書房では、学術振興会へ申請する学術書の場合のように申請時に書名が決まっていなければならないものはともかく、本がでる直前までタイトルは、「仮」であることが多い。だいたいのテーマ設定で、仮のタイトルをつけておいて、実際に原稿をいただいて、校正を2回くらいやるうちに、だんだんとその本のイメージをつかんで行き、こういう感じだ、という確信を強めて行くにつれてだんだんタイトルが決まってくる。
著者の側ではっきりしたタイトルを考えている場合もあるのですべての場合がそうだとはいえないのであるが、初校が終わったくらいの段階から、どのように決めようかと考え始めるといってもよいだろう。少しづつしぼって行って、いくつか案を出して、社内でも考え、著者にも送って、決めて行く。タイトルはできるだけ早く決まっていた方がよいというのはわかっているのだが、なかなかスムーズに行かないことが多い。うまくこれだというタイトルが浮かんでこないことは少なくない。あるていど切羽詰まらないとアイディアというものは浮かんでこないのだろうか。別に作家先生ではないのだが、追いつめられないと頭は回転しないようだ。
タイトルが、なかなか決まらないのは、ひつじ書房だけではなく、多くの出版社の場合でそうなのである。よその出版社でも、広告に載っていたタイトルを異なっていることがある。
まもなく刊行になる『文科系ストレイシープのための研究生活入門』はどうだろうか。一生懸命に考えてつけたものであるが、きちんと売れてくれるだろうか。新しいコンセプトの本でもあるし、読まれてくれることを祈っている。
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