昨年、ひつじ書房は、新村出(しんむらいずる)賞を2年連続で受賞するという快挙をなしとげました。新村出賞は、日本の言語学を代表する賞です。既存のどの出版社もなしとげることのできなかった成果です。われわれは、21世紀における学術書というものはどのようにあるべきなのか、一番深く強く考えている出版社です。言語学と学術出版の点で、世界でNO1の出版社であると言ってもおかしくないと自負しています。
学術書の刊行ということを考えますと、普通の一般的な出版社のような新聞に広告を出す、大きな媒体で取り上げられることを目指すということではなく、刊行した本を買って下さる一人一人を大事にしていくということがとても大事になってまいります。しかしながら、ダイレクトメールを出す以外に学術書の出版社として行うべきことをきちんとしていたでしょうか。これは昨年のダイレクトメールの発送の大きな失敗によって気が付かされたとても重要なことであると思っています。
今年の目標は3つあります。一つ目は、学術書としてふさわしい出版内容をきちんと出していくこと。これは着実な安定した内容のものを出すと言うことではありません。学会の中でも2歩先を行く内容のものを出していくと言うことです。先進性にはリスクがともないますが、学術書の刊行に際して守りの姿勢ではなく、挑戦的でありたいと思います。二つ目は、学術書を刊行していく際に読者とのコミュニケーションのあり方も、大きく歩みを進めたいと思っています。三つ目は、ひつじ書房の仕事能力を充実させることです。人数をほぼ倍にし、これまでよりもより安定し、充実し、進んだ出版活動を行える組織に成長します。
私が、29歳に創業したひつじ書房はことしの2月で15年を迎えます。大きな節目であると思いますので、新たな挑戦を行いたいと思います。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ひつじ書房代表取締役 松本功
社員・スタッフ一同
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