今年の新村出賞に、小林隆先生の『方言学的日本語史の方法』が受賞した。うれしい。『方言学的日本語史の方法』は、小林先生の長年の方言研究であり、方言学の立場から日本語史の研究について、(都のある)共通語・標準語だけではない、日本語史を構築すべきだという提案を含んだ研究である。『方言学的日本語史の方法』が認められたことは、とてもうれしいことである。ひつじ書房も、ささやかではあるが小林先生の業績を本にするということで、認められることのお手伝いができたこと、そのことがうれしい。
加えて、ひつじ書房としてうれしいことは2年連続の受賞であるということである。加藤重広先生の『日本語修飾構造の語彙論的研究』に続き、2年連続して受賞した。こんな出版社は、新村賞の歴史の中にない。ひつじ書房の単独の快挙であるといえよう。言語学の分野においてひつじ書房が、他の出版社よりも活動しているということを物語っている。こういうことはあまり自分で言うべきことではないかもしれないが、言語学のジャンルでナンバーワンになりたいと思い、14年間、言語学の学術書を刊行してきたことが果たせたのだと思う。
これも、これまでひつじ書房をご支援下さった研究者の方々、読者の方々、書店や外商部など本を売って下さった方々、作る過程にお世話になった様々な方々、印刷所や製本所の方々、それと身内ではあるが、社長という立場からすると弊社の編集のスタッフにもお礼をいいたい。本を作ってくれるスタッフの力は大きいと思う。小林先生の本は、足立が担当した。たいへんな点もあったと思うが、彼女の仕事も報われたと思う。
言語学の出版については、トップの実績と社員ともども誇りたい。今回の2年連続の受賞を喜ぶとともに、これからも鋭意、優れた学術書を刊行していけるように努力していきたいと思う。祝賀会の決意表明みたいなことばになってしまったが、うそいつわりはない。この道をきちんと歩いていくことに誇りを持ちたい。
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