2004年10月3日(日)の日誌 匿名組合は投げ銀であった!
10月3日(日)の日誌

匿名組合は投げ銀であった!

匿名組合を調べている。簡単に言うと、何かの事業をする際にその事業を行う人に対して、複数の人が投資をしてその事業を推進するというものである。これを調べている理由は、本を出すという場合に、事業者だけのリスクで刊行するのが負担が重すぎる場合に、支援を仰ぐことのできる仕組みを探しているからである。直接的には、英治出版の原田さんの話を聞いて、原田さんが匿名組合の方法を使って、著者に出資をしてもらい、それで本を作っているということを聞いたのが関心の発端である。その後、ひつじの会計士さんに相談したり、本を読んだりして、理解を進めようとしているところである。(ちなみにこの本は都立中央図書館のメールリファレンスで教えてもらったが、品切れ中で、地元の文京区の図書館にリクエストして借りたものである。それにしても、ちょっとした本はいつも決まって文京区の図書館には所蔵がない。この本も杉並区立からの取り寄せである。杉並区立図書館、ありがとう!)その本の中に、匿名組合の歴史は地中海から生まれたと書いてあり、以下のような記述がある。

本国にとどまる資本家(commendator)が企業家(tractator)である船長に金銭、商品、船舶等を委託し、その企業家が海外に渡航して貿易を行い、帰国後に本国で利益を分配することを内容とするものであった。(p166)


SPC&匿名組合の法律・会計税務と評価 投資スキームの実際例と実務上の問題点 新版

匿名組合(匿名組合.com www.tokumeikumiai.com)の概略はこちら。ただし、起源についてはないようである。

これは投げ銭ならぬ、投げ銀である。なげぎんと読んでいたが、これは「なげがね」と呼ぶらしい。1999年のワークショップでの文章をご覧いただきたい。 1999年のワークショップ

匿名組合は、日本の南蛮貿易における投げ銀と全く同じものである。これは融資ではなく、匿名組合の投資そのものなのである。この点、歴史の記述には若干、用語の間違いがあるが、これは投資そのものであり、しかも船長に対してその技術と技法を信頼し、危険な旅へと送り出す、投資である。

旅研データベース(旅研データベースより www.tabiken.com/) 博多の豪商嶋井家に伝来した―フランシスコ・カルヴァーリョ投銀証文(なげがねしょうもん)(福岡市博物館 museum.city.fukuoka.jp 説明については、投資と融資の区別がついていいないようだ。)

本を出す仕組みを作ろうと言うことで、調らべていた匿名組合が、投げ銭について考えているときにであった投げ銀そのものであったということは、私にはとても興味深いことである。

「本の出し方」「学術書の刊行の仕方」スタッフ募集について日誌の目次

日誌の目次へ
ホームページに戻る


ご意見、ご感想をお寄せ下さい。

房主
i-matumoto@hituzi.co.jp