2004年5月11日(水)の日誌 ニューメキシコ州アルバカーキー市図書館見学報告

5月11日(水)の日誌

ニューメキシコ州アルバカーキー市学校図書館見学報告

京北高校の学校図書館司書の川真田恭子さんに誘われて、タコ社長の身も省みずニューメキシコまで行ってしまいました。成田からダラスへ15時間、そこから、乗り換えて、1時間半。アルバカーキー市の学校図書館の視察に行って来ました。たくさんのことを学びましたが、それは川真田さんをはじめみなさんのおかげです。

ニューメキシコ州は、1912 年のJanuary 6日にアメリカ合衆国の47番目の州となった新しい州。 首都は、宮沢りえで有名な(?)Santa Fe。

ニューメキシコ州の人口は、1723800人で、全米36位とのこと。日本で言うと 鹿児島県が177万人だから、人口としては同じ規模ということになる。アルバカーキー市は、ニューメキシコでは一番人口の大きな都市だが、サンタフェよりは車で2時間ほど南に位置しており、人口は、46万人で、千葉県市川市(463,103人)か、兵庫県の尼崎市 (462,995人)と同じような規模。

メキシコに接している。場所柄、ネイティブアメリカン、スペイン系(42パーセント)が多く、それにアングロサクソン系の混じった土地。ホテルのヒルトンやマイクロソフトはこの土地が創業の地であるというように創業の気風のある場所のようである。(ただし、税金が高いとのことで、マイクロソフトはシアトルに移ってしまったとのこと。)

土地の印象は、何と言っても広い、平ら、砂漠。雨はほとんど降らないとのこと。悪天候というのは風が強いことのようだ。案内してくれたスミスさんは、風が強すぎて、ニューメキシコに戻ってからはそれまでやっていたテニスをやめてしまったそうである。

ニューメキシコは、全米の中で教育の水準は、下から2番目の州であるそうだ。案内してくれたスミスさんは、多言語の環境にあり、東部地域などと同じように比較するのは公平な評価ではないと言っていた。学校図書館の水準が、全米的にどのくらいの位置にあるのか、という点は、不明である。これは米国の学校図書館協会などの指標を見て、確認したい。3年前くらいから、司書たちのかなり精力的な活動によって、大きな前進をし、その成果を今回の視察で見ることができたと言ってよいだろう。ガーフィールド中学校の司書によると、3年前には、貧困な状況の中で、「チャレンジング」であると感じたと言っていたが、かなり悲惨な状況から出発して、見るところかなりの水準であったが、そこまで来たということは、尊敬に値すると思う。個人的にも感銘を受けた。

また、これは日本ではいくつかのステップを経た後に実現することであろうが、司書は言語教育の経験を持っていたり、教員としての学士号を持っていて、さらに司書としての修士号をもっていたりというかたちで、教員と司書の技能の一つ上に図書館メディアスペシャリストという位置にいるということである。いわば、フランス料理店のソムリエである。どういうことかというと、料理人としても基礎的な経験と素養がある人が、ワインが食事を引き立てる核であると認識して、ワインを選び、客にすすめる専門家になるということだ。図書館司書というスペシャリストも同じような位置にあるべきなのではないか。

また、公立高校図書館で印象的であったのは、図書館の使命は高校生を市民として育むことにある、市民になろうとする学生を支援することにあるといっていたことである。そのような目的のために、教科の教師と図書館のメディアスペシャリストは協働しているということなのである。


4月26日(月)

到着

4月27日(火)

  8時30分~

John Baker Elementary

小学校の図書館。ここは見事。精読と多読の両方を推進。コンピュータで読解のテストができる。図書館の中だけでも、パソコンも10台ほどある。定番となる書籍ををたくさん読むとバッチがもらえるような読書の推進の活動もさかん。

授業との連携。社会科の授業で、南北戦争について取り上げていた。南北戦争のコスチュームで授業。図書館が、この授業を支援している。教室の授業の後、図書館でも発表。

資料の使い方についても助言している。小学校のレベルでここまで、資料をつかって、自分で調べる活動をしているのはなかなかである。比較的階層の高い生徒が通ってくる学校とのこと。

(古い蔵書は図書館カードが記帳式のものが残っていた。日本では、生徒のプライバシーを気にして、非常にいけないことであると言われることが多いが、それほど過敏ではないようである。バーコードで貸出を行う以前としては貸出カードを使っていたようだ。)

The University of New Mexico

日本語日本文化を教えるコースがあるのに大学図書館にも学部にもJapanタイムズはあるが、日本語の新聞はない。現地語でのアジアの新聞は、人民日報のみ。

4月28日(水)

 8時~10時

Garfield Middle School

議員に訴え、助成金を獲得して、3年間で、図書館を改革したとのこと。以前は地下にあったのを、学校の中心にあるカフェテリアを改造して図書館にした。スペイン系の子どもが多い。自宅にはパソコンがないような地域環境。英語については、英語の教師と図書館の連携が進んでいる。

キャリア支援はこれから。

1時~3時

Library Services

APS(アルバカーキー・パブッリック・スクール)を後ろざさえする仕掛け。本の収書から、バーコード張りから、図書館で使うさまざまな小道具。また、ドキュテックがあり、学校の報告書た印刷物を一括してつくる。学校の先生方の資料の作成の支援も行っている。この仕組みで、学校図書館司書に対して、月に一回の研修も行っている。

Albuquerque Public Library

City of Albuqerque

ビジネス支援のコーナーなし。2階に新聞などを読むことのできるコーナーがあるのだが、データベースにアクセスできる端末で、市民が使えるのはカウンターの隣に1台あるのみ。マイクロフィルムを読む機械は、6台もあるので、アンバランス。インターネットのつながるパソコンは1階に複数ある。パソコンであるが、OSがウィンドウズCEのものがあった。

助成金の取り方についてまとまって紹介するコーナーがあるのはさすが。これは市民活動を進めたいときや大学に入り直したいと思った場合などに役に立つと思われる。


4月29日(木)

  8時30分~

Eldorado High School

地元の公立高校。ここも議員への運動の成果で、予算が3年前についたとのこと。リファレンス資料が見事。昨日見た公共図書館よりもリファレンス資料は豊富のようである。科学コーナーの隣にキャリアコーナーあり。資料はとても豊富。ジョブのための情報という表がはってあった。


言語スキルのテキスト

キャリアの本

キャリアのコーナー


仕事を見つけるための本の案内。どんな知識が必要なのかをイメージすることができる。


とても広いレファレンスのスペース

助けてくれた議員に感謝するポスター。

Media Literacy

Albuquerque Academy

3時~5時

地元のプレイベイトスクール。図書館も立派だが、良い意味での古典的な教育のよう。キャリアコーナーのようなものはない。しかし、サイエンスインデックスのような最新の文献カタログがあり、コーナーとして存在していないが、意識のある学生であれば、調べることが出来るような資料は豊富。

トピック取り出したかたちでコーナーはつくられていないが、予算的に豊富であるということからか、意識があればかなり読める資料・文献がそろっているようであった。


広いと同時にヨーロッパ的な雰囲気。エリート校という感じ。キャリアコーナーというようなナビゲイトは一切ない。しかし、ビジネスの基本的な文献は普通にあった。



勉強用の机のすぐそばに、このようなインデックス(General Science Index)が備わっているということは、日本の高校では考えられないのではないか。たとえば、コンピューターのネットワークの技術でその中でもPtoPの技術を勉強したいというふうに、やりたいことをかなり分野を絞って見つけだすことができるということだろう。偏差値がこのくらいだから、東大の理3に入りたいというのとはレベルが違う。

メディアリテラシーの専門研究啓発機関で、代表の話を聞く。

4月30日(金)午後

Santo Domingo

小学校。インディアンの国。インディアンの特別な自治区。インディアン以外は、ネイティブのことばを話すことは許されていない。子どもたちは、日本人にもにていて、かわいいが、写真を撮ることは、許されていない。日本のことを知る授業が行われていた。質問を受けて、答える。地元の文化に触れることは、複雑な事情があり、かなり困難である。日本語の話題の方が、安全であるようだ。司書は、ジョージ・オキーフの秘書もつとめた女性。

コーディネイトをしてくれたリーパー・すみこさんの学校。2時半には終わってしまう。ネイティブアメリカン、スペイン系の入り交じった多文化混在の学校。こどもたちはとても気さく。この学校に民主党大統領候補のジョン・ケリーがきたということ

5月1日(土)サンタフェ

プエブロの一つの村のお祭り。ずっとダンスを踊り続ける。写真を撮ることはできず、カメラはしまっていたが、同行していた人が再度、注意を受けた。

インディアン美術館ほか。

5月2日(日) 

アルバカーキー 観光

スペイン系のお祭り、美術館訪問。

5月3日(水)出発

5月4日(木)帰国

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