2003年8月28日(木)
『スマートモブ』と「格」
日本で一番優れている書評紙である図書新聞で、書評特区というコーナーをはじめたことは先日述べた。その特権をいかしてということでもないが、こんな人にインタビューをしたらどうだろうかとすすめることもしている。今日は、グローコムでハワード・ラインゴールドに図書新聞として取材をした。私が英語でインタビューをしたわけではなく、上野俊哉さんにインタビュワーになってもらった。
もうすぐ刊行される『スマートモブ』の日本語版についてである。この本については、公文俊平さんがミアコネットの記者会見の際に、言及しており、とても興味深いと思ったのでこの企画をたてた。携帯を使う人々が、フィリッピンでは、エストラーダ大統領を更迭し、韓国ではメールによって新しい大統領が生まれた。一方では、さまざまな無線メディアが張り巡らされ、自分のプライバシーを自分の携帯やチップがネットに吐き出している。インターネットというメディアは、人々を自由にするのか、それともネット全体主義の元に置くのか。古くて新しい問題ではあるが、それをきちんと丁寧に報告している。これはやはり必読の本になるはずだろう。上野さんもインタビューの際に言っていたが、ネグリの『帝国』とも通ずるモノがある。インタビュー記事自体は、9月の末くらいに掲載の予定。
この本のトピックとして、評判ということに注目しており、書評特区の中のコラムが「レビュー・ソサイエティ・リミテッド」であるのだが、評判、レビューの重要性を再確認した。このことについてはちょっとまとめて考えてみたい。この評判というのは、1962年に提唱された梅棹忠夫さんのお布施理論の「格」というものの現代版ではないのだろうか。そう考えると40年たって、やっときちんと論じられるようになったのではないかと考えられる。
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