1996年6月22日 出版研究集会96分科会
少部数を全うすること
生業(NPO)としての小出版
ひつじ書房 松本功
仮説「出版とは、知を共有する行為であり、出版社はそれを事業あるいは生業とするものである」
ひつじ書房の場合=未発という名前の意味
未だ発せられざる内容の本を発しようということ
第一次学術情報(箕輪さん)。限定された読者=様々な分野の研究者であることが多い。たぶん、一月に二万円以上本を購入する人々
潜在する少数の読者にどうやって確実に情報を送り届けるか
直販=産直という古典的で革新的な方法
マツノ書店 産直(書籍小包と郵便振替)と直接のコミュニケーション(火車通信)
インターネット時代の情報流通・産直・広告・コミュニケーション
DTPなので本当の意味で産直といえよう。我々は割り付けをするだけでなくて、マックで、組版から文字直しまでして実際に作っているのである。
個人でも遜色ない=出版社、印刷所、著者あるいは書店、取次、研究機関がそのままPUBLISHERになれる。出版社とは何かという問いかけ。
電脳化した存在 VS 電脳化しない存在
アクセス数1500(一日のアクセス数 が40?)
年間でのべでは10000を越えるだろう。もし、たとえばニフティサーブの会員がすべてインターネット接続をするようになったら?10倍?一月10000件というのも幻ではないかもしれない。そろそろパイオニアの時代から実質的なビジネスへ移行しつつある。
朝日出版情報1行朝刊3万円 VS 10MB(これは、カタログ3冊分のデータ量 24時間1月)5000円
オンライン版火車通信。
黙っていて売れた時代ではないのでは? 口頭ではめんどうでも、どうしてこの本を作ったのか、どうしてこの値段になったのか、テキストなら説明することができる。どういうかたちで出版というものを行っているのか説明することができる。
本をつくるに当たって本づくりの行程を理解してもらうことは、かなり重要。著者、版元、読者、書店のコミュニケーションは重要である。(たとえば、そうでなければ、同じような厚さで同じような重さの本の値段がどうして違うのか。読者は理解できないだろう。理解されれば、今まで作れなかった本を出せるようになる。)テキストで交流することで、かなり細かいことまで理解し合える。(ホームページばかりでなくて、情報収集も兼ねて、fbookcと大学生協の書籍の会議室にも参加している。参加者の数はあまり多くない。本屋さんで、読んでますと言われたことが全くない。現状では、DMや何らかの郵便の通信が必要)
やりたきゃ。毎日毎時間内容を新しくできる。
おまけ
ひつじ書房で編集(ホームページ化も可能)を適正な価格で請け負いますから、東京堂さんに「オンライン書評誌」を創刊してほしい。これは分野も紹介もかなり詳しいものであってほしい。で、書評されている本はすべてオンラインで買えるようにしてほしい。読者は分野で、まとめ買いをするので、1社ごと直販するより読者には便利。
(それから、本屋さんに限り、缶ビール付き、無料インターネット講習会実施します。ひつじ)
文学研究者の会で、テキスト研究者は電子化の時代に奮起せよ、と檄を飛ばしておいた。
テクスト産業の我々も、電子化の時代に対応すべきだろう。21世紀には、そうでないと何事も「やってられないよ」となるだろう。我々はテキスト流通のプロではないか?
日誌に戻る