もはや、日本語研究は、“いわゆる国語学者”だけの専有領域ではなくなってきて いる。言語学や各個別言語を専門とする者の中にも、日本語の研究を行ったり、日本 語との対照研究を行ったりする者が増えてきている。さらに言えば、言語研究プロ パーでない(たとえば、言語情報処理等)人達からの言語に対する発言・研究も増え つつある。したがって、日本語についての研究と言えども、伝統的な国語学の成果を 踏まえながらも、もはや、それら諸領域での研究成果を無視するわけにはいかないも のになってきている。
こういう時期に、比較的若手を中心として、日本語を核としたさほど大部ではない モノグラム的な研究叢書を編むことにしたのは、理論に傾いた研究と実証に重きを置 く研究に梯子を掛け、日本語を中心として研究を進めている研究者と、何らかの点で 日本語にも関心を持つ研究者との間に橋を渡すことのできる少しでも新しい研究成 果・研究方法を呈示できればとの思いからである。
この叢書が、日本語研究、広くは言語研究に、ささやかながらも一石を投ずること ができれば、編者ならびに執筆者にとってこれに過ぎたる喜びはない。
近年、日本語研究は、新しい展開を示しています。これまでの国語学の研究の範囲 を超え、海外の言語研究の流れから相互的に影響を受け、また、日本語情報処理、認 知言語学などの影響、また、日本語教育などからの様々な要請などにより、特に現代 語の研究の場で、活発に議論が巻き起こり、相互に影響を与え、大きな成果があがり つつあります。もちろん、従来の国語学の蓄積を軽んずるものではなく、明治期に国 語学と博言学(言語学)にわかれた日本語の研究がここにきて、新たな統合の時期を 迎えているということが言えるのではないでしょうか。さらに、英語、フランス語、 中国語などの外国語との対照研究も広く行われつつあり、日本語を色々なレベルで客 観的に研究する土壌が育ってきている状況にあることと思われます。日本語も新たな 時期に達したのだと思います。小社では、そうした新しい局面を重視し、これからの 日本語研究のために『日本語研究叢書』と題して、刊行して行くことにいたしまし た。まず、第1期を刊行し、続けて第2期、第3期と刊行して行きたいと存じます。
現在、日本語研究の世界で、優れた業績を上げ、また上げつつある中堅・若手の気 鋭の研究者によって執筆される本叢書が日本語研究のいっそうの発展に寄与すること を信じ、また、祈っております。ぜひとも皆様がたのご支援とご鞭撻をお願い申し上 げます。
「動詞の形態論」、「動詞の統語的特徴」、「形式動詞とその周辺」の三部構成による 現代日本語の動詞の分析。動詞の精密な研究として、エポックをなしており、今後の 研究においては当然踏まえられるべきものである。活用の詳細な研究は、日本語を教 える人々にも読んでもらいたい。
―源氏物語の分析― (2版)
古代語の動詞の研究は検証されない「通説」であったことを批判しつつ、実証的な論 証から古代語の動詞の仕組みにせまる。源氏物語を題材にした分析は、テクストの性 質にもせまる。2版では、新知見に基づきかなり改訂している。
―語における形と意味―
現代語を語構成の立場から、事実を丁寧に追いながらそして理論的に分析。「言語単 位をめぐって」「形容詞語幹をめぐって」「複合動詞をめぐって」「語構成と意味」 の4部からなる。<2刷にて索引を増補>
文の成り立ち、文とはなにかというものを考えるときに必須であるモダリティ論の基
礎的文献であり、必読の重要な書。文というものに興味を持つ言語研究者以外の人々
にもすすめたい。
―日英語助動詞の分析―
テクストの分析に重要な「視点と主観性」といった観点からの日英語助動詞の比較研 究である。この観点は、言語の実際面の考察に必要であり、微妙な言語現象への考察 は、言語研究のみならず文学研究にも有益である。
待望久しい認知言語学の第一人者による文法論。カテゴリー化のプロセス、イメージ スキーマとメンタルモデル、転義と文法化のプロセス、メタファーとメトニミー、視 点とプロトタイプ、意味の慣用化とブリーチング等の問題を実証的に考察しながら、 言葉とこころのメカニズムにかかわる言語研究の新しい方向を探究。認知科学の観点 から、言葉と人間の認識のメカニズムの解明を目指す本格的な研究書。
日本語における語形成と統語論・意味論が関わり合う種々の現象を観察し、そこか ら、生成文法における形態論の在り方を理論的に考察する。とりわけ、語彙的な語形 成と統語的な語形成を包括するモジュール理論を提唱する。
日本語のアスペクト・テンス体系はどうなっているか。この分野における最近の充実 した成果。時間の問題はテクストの問題でもあり、語りの問題でもあることから,言 語研究者ばかりでなく、原理的にテクストを研究する際にも有益。
構造主義をロシアで学び、言語の構造を徹底的に究明することで、評価の高い著者に よる形態論。単語だけではなく、文の形態変化という視点を導入し、従来の文論の分 野にも大きな変革を迫る。
●野村眞木夫 上越教育大学助教授
(略歴)1950年東京都に生まれる。1983年北海道大学大学院博士課程退学。弘前学院 大学助教授を経て現職。
(主要論文、研究書)『ケーススタディ日本語の文章・談話』(おうふう、1990、共 著)「説明の機能―説明の表現の文脈効果」『表現研究』58(1993)「描出」『国語 研究』10(1996)
言語学におけるテクスト論の第一人者による待望のテクスト論。文の連続とテクス トは、どう違うのかから、テクストを組織化する手段やテクストを創出するシステム にまで言及する。本書ほど、テクストについて言語学的に突き詰めた書は今まで存在 しなかった。文学研究者、コミュニケーションの研究者まで、広い範囲の研究者に とっての必読の文献。
1998年12月刊行予定
●藤田保幸 滋賀大学教育学部助教授
(略歴)1958年大阪府に生まれる。1986年大阪大学博士課程中退。愛知教育大学助教 授を経て現職。
(主要論文、研究書)「文中引用句『〜ト』による『引用』を整理する」『論集日本 語研究(一)現代編』(明治書院、1986)「引用されたコトバの記号論的位置づけと 文法的性格」『詞林16』(1994)「引用論における『話し手投写』の概念」『宮地 裕・敦子先生の古稀記念論集日本語の研究』(明治書院、1995)
本書は、日本語の引用表現・話法について、意味・統語・表現論的に考究しようと するものである。第一部では、日本語の引用表現・話法に関する研究史を概観し、諸 家の所説の達成と問題点を検討しつつ、それらと対峙させる形で、筆者自身の所論を 示す。第二部では、引用研究の新たな展開の可能性を探って、いくつかの個別的な問 題についてケーススタディを行う。
●杉戸清樹 国立国語研究所言語行動研究部第一研究室室長
(略歴)1949年愛知県に生まれる。1975年名古屋大学大学院修士課程修了。国立国語 研究所研究員を経て現職。
(主要論文、研究書)『企業の中の敬語』(国立国語研究所報告、1982、共著)『言 語行動における日独比較』(同1984、共著)『談話行動の諸相』(同1987、共著) 『社会言語学』(おうふう、1992、共著)『デイリーコンサイス漢字辞典』(三省堂、1995、共編)「言語行動としての待遇表現」『日本語学』2-7(1983)「言語行 動についてのきまりことば」『日本語学』8-2(1987)「言語行動における省略」 『日本語学』12-10(1993)「お礼に何を申しましょう」『日本語学』13-7(1994)
言語行動という視点の広がりと可能性を議論する。この際、先行の言語行動論的な 研究を踏まえつつ、日本語の社会言語学的調査研究の分野での言語行動研究を具体的 に再吟味しながら、主として、対人的な配慮が言語行動の諸側面にほどこされるメカ ニズムに焦点を置いて考察する。
●西山佑司 慶應義塾大学言語文化研究所教授
(略歴)1943年東京都に生まれる。1974年M.I.T.大学院博士課程修了(Ph.D.)。慶應 義塾大学言語文化研究所助教授を経て現職。
(主要論文、研究書)「『象は鼻が長い』構文について」『慶應義塾大学言語文化研 究所紀要21』(1989)「『カキ料理は広島が本場だ』構文について」『慶應義塾大学 言語文化研究所紀要22』(1990)「コピュラ文における名詞句の解釈をめぐって」 『文法と意味の間:国広哲弥教授還暦退官記念論文集』(くろしお出版、1990)「日 本語の意味と思考―コピュラ文の意味と構造を手がかりに―」『日本語論2』(山本 書房、1994)
文中に登場する名詞句の意味解釈の問題を、とくに指示性・非指示性という観点か ら考察する。まず、先行研究の問題点を指摘した上で、「変項名詞句」という概念の 導入が必要であることを論じる。この概念を用いて、「は」と「が」の区別に関する 重要な側面を指摘する。そして、日本語のコピュラ文にたいする意味解釈、「変わ る」「分かる」「知る」「ある」「いる」などを含む文にたいする意味分析を行い、 名詞句と疑問文構造とのあいだの意味論的・語用論的関わりを論じる。
●石崎公曹(略歴)奄美大島龍郷町瀬留出身。台北帝大予科・七高から同志社大卒 業。高校・中学・養護学校教諭を経て、現在郷土研究家、奄美郷土研究会会員。1928 年生まれ。
●松本泰丈(略歴)埼玉県秩父出身。東京大学大学院修士課程修了。山梨大学教 授、奄美郷土研究会会員。1941年生まれ。
地元の方言研究者と本土研究者の共同作業によって、奄美大島(北部)方言の文法 を、形態論を中心として体系的に記述する。北部方言に属する龍郷町瀬留集落のこと ばを、動詞・名詞・形容詞と品詞ごとに考察をくわえる。そのさい、文法的な面と語彙的な面のかかわりあいにふれながら、文法的なかたちのもつ意味=内容面をほりさ げていくようにした。
●日比谷潤子 慶應義塾大学国際センター助教授
(略歴) 1957年東京都に生まれる。1982年上智大学大学院外国語学研究科博士前期 課程修了。1988年ペンシルヴェニア大学大学院博士課程修了(言語学、Ph.D取得)。
(主要論文、研究書) 「ヴァンクーヴァーの日系人の言語変容」『アメリカの日系 人―都市・社会・生活―』(同文舘出版、1994)“The velar nasal in Tokyo Japanese: A case of diffusion from above”Language Variation and Change 7 (1995)“Denasalization of the velar nasal in Tokyo Japanese: Observations in real time”Towards a Social Science of Language (John Benjamins 1996)
二つ以上の異なった言語体系が個人或いは集団の中で接触することを、言語接触と いう。言語接触の具体例は、歴史的にも共時的にも少なくない。本書では、カナダの ヴァンクーヴァーとトロントで日系1、2、3、4世カナダ人から収集した自然談話録音 資料を対象に、日本語・英語の言語接触を取り上げ、この二つの言語が接触した結 果、音声・音韻・形態・統語・意味の各レヴェルでおこった言語変容の諸相を解明し ていく。
テーマごとに現代日本語の研究の様々な成果を集める日本語研究資料集シリーズ。各 巻の編者による書き下ろしを〈解説編〉として新たに加え、文献一覧と著者名一覧を 付し、検索の便をはかった。
[収録論文]古田東朔・佐久間鼎・三上章・高橋太郎・服部四郎・阪田雪子・久野 z・堀口和吉・黒田成幸・吉本啓・金水敏・田窪行則
[収録論文]本居春庭・松下大三郎・西尾寅弥・奥津敬一郎・井上和子・青木伶子・ 須賀一好・野村剛史・天野みどり・ヤコブセン・早津恵美子・野田尚史
[収録論文]奥津敬一郎・影山太郎・斎賀秀夫・阪倉篤義・玉村文郎・長嶋善郎・西 尾寅弥・野村雅昭・林四郎・姫野昌子・宮地裕・宮島達夫・森岡健二・湯本昭南・ワ カバヤシマサオ
―統語論と形態論―
様々な言語から言語の普遍性と類型論を追究した名著の翻訳。色々なタイプの言語を 考察していくことから深められた考察は、日本語を考える際にも有益である。
―語用論入門―
Journal of Pragmaticsの雑誌の編集長でもあり、多くのシリーズエディターをつとめて いる著者の語用論の決定版。ユーモアと含蓄に富んだ記述は、話芸ともいえよう。満 を持しての刊行。本書は、ブラックウェル社に先がけて、ひつじ書房が契約した書籍 である。言語研究のみならず、人文科学全般に有益。翻訳時、著者に確認の上、原著 のミスを多数訂正している。
―関連性理論入門―
文化人類学者スペルベルと言語学者ウィルソンによる、人間の認知上の一般原則に基 づく伝達理論としての関連性理論の入門書。なぜ人間はわずかな情報だけで発話を理 解でき、時に理解に失敗するのか。また、日常の会話とアイロニーやメタファーなど も統一的に考察できる新しい理論でもあり、文学研究にも有益である。
ルシアン・テニエル著 小泉保ほか訳
言語哲学者サールとも共同研究を行っているヴァンダイヴェーケンによる発話行為理 論の決定版。今回の訳者とも共同の研究を行っており、翻訳に成果が生かされてい る。
マスロフほか著 菅野裕臣編訳
ローレンス・L.・ホーン著 河上誓作・濱本秀樹・吉村あき子訳
―言語の結束性―
ことばは、次々とつながっていくことで文章や談話になっていく。文の研究から文章 の研究へむかいつつある今後の言語研究にとって必須な結束性(cohesion)の基本的 文献。
●叢書以外の言語学の翻訳書●
フランスの著名な日本語学者である著者の日本語の複文の研究。今後、研究の発展が 求められている分野の大いなる前進。日本人でさえ、研究成果の少ない分野で、実に 優れた業績を上げているといえよう。
『日本言語地図』の調査・作成、『日本方言大辞典』の編集など、方言研究・方言地 理学に精力をそそいできた著者のはじめての論文集。現在の方言研究・社会言語学の 指針となる書。それぞれの論文を補訂する補記を巻末に付す。
森野宗明著 予15000円
―音声学と音韻論―
本書は日本語共通語の音声を全ての水準において記述することを試みたものである。 これまでの日本語の音韻論は結果として妥当なものであっても、結論が必ずしも道筋 を明確にして、緻密に論証されていたとはいえなかった。その欠けていた音韻論の論 証を一歩一歩飛躍なく精密に記述したはじめてのものである。
─上代特殊仮名遣の再解釈─
上代語は八母音だったのか、従来の定説に大きな衝撃を投げかけた論の決定版を含む 著者の初めての著書。言語学者ばかりでなく、上代文学に関心を持つ人々の必読書。 詳細な語彙索引を付す。
「多くのバントゥ系言語を調査していくうちに、それらのアクセントの面白さに魅か れるようになった。…動詞アクセントの場合、基本的にはすべての活用形が分からな ければそれを調査・分析したことにはならない」著者のアフリカ語研究の決定版。
学位論文の公刊。日英の助動詞の研究では定評のある(市河賞受賞)著者による語用 論的分析。日本の読者に読みやすいように例文はローマ字表記の他に日本語を付す。 (英語)。
人類の言語に、普遍的な時間概念があるのかというという徹底した問題意識のもとに 従来のテンス・アスペクトを、全く新しく越えようとする書き下ろしの研究書。
著者の広い関心の中から今まで一緒に纏められていなかった数量詞移動、複合名詞、 不定詞、引用、ダ型文、移動変化動詞、「はい」と「いいえ 」、受身文、授受動詞構文などに関する重要な論文を集めて刊行。いわば、アルバムに未収録のシングルヒッ ト集である!
著者が研究の出発から継続して取り組んできた条件表現史の集大成。日本語史の研究
者はもちろん、現代語の研究者にも有益。
─代用表現と移動─
生成文法の研究でしられる著者の最新の研究を一書に纏めたもの。第1章 束縛理 論、第2章 代名詞、第3章 束縛代名詞、第4章 日本語の再帰代名詞、第5章 日本語の空代名詞、第6章 英語の遊離数量詞、第7章 優位条件と多重疑問文、第 8章 空演算子構文、第9章 機能範疇と移動規則
─理論と実践─
『基礎日本語辞典』(角川書店)など、日本語の精密な分析で知られる 著者のいままでの語の意味の実践的な分析の裏付けとなる方法を、ひとつひとつ丁寧に解きあか す。本書は『基礎日本語辞典』の記述を補いあうものである。
著者がここ十年ほどのあいだに執筆した上代語の構文や表記にかかわる論考をまとめ たもの。本書は、上代語の構文の特徴や実相を確認し、それにそったかたちで『古事 記』や『日本書紀』の歌謡の文脈を解釈、『萬葉集』の歌句を構文面から検討、上代 語に特有の表記の背景を考察している。
―高橋太郎先生古希記念論文集―
執筆者 高橋太郎・宮島達夫・かねこひさかず・まつもとひろたけ・鈴木泰・角田太 作・工藤浩・金田章宏・澤田和浩。
―体系と方法―
執筆者 仁田義雄・石神照雄・川端善明・田上稔・小野正弘・加藤久雄・菊地康人・ 森井紳・内田賢徳・安部清哉・蜂矢真郷・鈴木泰・野村剛史・山口尭二・浅見徹・金 水敏・柴谷方良・澤田治美・高橋太郎・工藤浩・小矢野哲夫・丹羽哲也・前田富祺・ 宮島達夫・森山卓郎ほか
現在、日本語の文法研究の最前線の研究者を集める。渡辺実氏の古希を記念して企画 された。
アクセント研究で名高い著者の研究の決定版。一型アクセントは「アクセントが無
い」のではない。「読み上げ式」が主であった従来の方言の研究方法に対する批判と
ともに、日本語のアクセントを根底から研究する。
[シリーズエディター 中島平三]
MITで取得した学位論文にわずかに誤植を訂正した公刊。日本語の基本句構造を考え る上で必読の研究書。「は」と「が」、状態・動作動詞の構造的相違とそれに伴う格 の表出、使役構文、そして従属節、名詞句の構造に至るまで、多彩な分析が展開され ている。生成文法の観点から意味と構造の関係に取り込んだ力作。(英語)
コーネル大学で取得した学位論文の大幅な改訂版。公開は小社より独占発行 。(英語)
コーネル大学へ提出された学位論文の公刊。(英語)
● Hituzi's Linguistics Wrkshop Series ●
東北大学で、年夏に開かれたセミナーの内容をまとめた論集。英語学の中堅層から、当時、MITで学位論文の執筆中の執筆者をも含む、最新の研究成果(英語 )。
Nobuko Hasegawa, Yoshiaki Kaneko, Fusa Katada, Akira Kikuchi, Masatoshi Koizumi, Ken-ichi Mihara, Masaru Nakamura, Hiromu Sakai, Tatsuya Suzuki, Yuji Takano, Koichi Takezawa, Naoto Tomisawa, Hiroyuki Uta, Akira Watanabe
中島平三、田子内健介、鈴木右文、平田一郎、桑原和生、奥野忠徳、高見健一、藤野 洋子、Seiji Niato
沼田善子(現代日本語)、森野崇(古代日本語)、レー・バン・クー(ベトナム語 )、フランス・ドルヌ(フランス語)、ダニエラ・カルヤヌ(ルーマニア語 )、アンドレイ・ベケシュ(スロヴェニア語)
Howard Lasnik, Jun Abe, Yoshio Endo, Robyne Tiedeman, Shigeo Tonoike(英語)。
執筆者 出雲朝子/金沢裕之/金子弘/佐藤貴裕/清水登/鈴木博/田中章夫/陳力 衛/永田高志/蜂谷清人/飛田良文/宮田和子/村田菜穂子
(お詫び・佐藤先生の図版の部分に間違いがありました。訂正の図版を用意していま すのでご請求下さい。)
執筆者 飛田良文/笹原宏之/陳力衛/村山昌俊/永田高志/木下哲生/大久保恵子 /服部隆/小野正弘/藤田保幸/稲川順一/中井精一/増井典夫/矢野準/余田弘実 /近藤尚子/諸星美智直/山形浩/土岐瑠美江/申鉉竣/前田桂子/矢島正浩/佐田 智明/樋渡登/平林一利/今野真二
驚異的な精力で研究に打ち込み、博学な知識と純粋な研究心によって知られていた都 竹通年雄の研究を刊行する。
都竹の中心的なテーマであった(方言)文法の研究を集めて刊行した。
長年、日本語教育・文法研究に携わってきた著者の初めての著書。日本語を教える 人、学ぶ人にとっての、必読の書。「はとが」、「はとも 」、「のだ文」など肝要な事項を研究解説した本。
中国での日本語教育の長年の指導の経験に基づき、日本語を学ぶ際に重要なことを分 かりやすく述べる。これから日本語を教える人には、どのような質問が寄せられ、ど ういった答えを返したらよいかの想定問答集ともなる書。
今の国文法教育の大きな欠陥の一つは、文の構成を主語・述語・修飾語から成るとし、 それにとどまることである。本書は、その誤りを指摘し、主語述語主義の呪縛から解放 を願うものである。
―日本語教育と国語教育のために―
日本語理解のテストのため、また、テクスト研究にとって重要な要約文の研究。第1 部「文章理解と要約文の研究概要」、第2部「韓国人日本語学習者の要約文の分析」 より構成。
著者たちが、職場における女性のことばを、収録する場所を作り、録音し、丹念に文 字化した労作であり、研究の書である。本書には、その文字化資料が圧縮されてFD に納められていることも大きな特徴であり、基礎データを公開するということも意義 深い。本書のデータは、個人ライセンスであり、研究機関などによる使用には、複数 ライセンスを要する。企業の研究所などの講読をお願いする。
これだけの資料に対して、おそるべき安価であるはずだ。それはまた、今後の資料作 成・研究への支援ともなる。
Alfred Gell・安富歩・宮田登・古橋信孝・見田宗介・立川武蔵・Peter Austin・James A. Matisoff・崎山理・Marianne Mithun・Wallace Chafe・川田順造
民博で行われたシンポジウムをまとめたもの。哲学者・言語学者・文化人類学者など 学問の境界を超え、ことばと時間について追求する。
"The Dative and Related Phenomena" is a collection of papers dealing with syntactic phenomena in various languages which in one way or other are associated with the DATIVE.The linguistic forms and constructions under discussion are the "applicative" in Tembo (Bantu) and Australian Aboriginal languages,the "genitive" in Turkish, the "adessive" in Estonian,the "dative" in Telugu and German, and and the "indirect object" in French. The collection also includes two papers (B. Comrie,T. Ooe) which are not directly related to the general topic.
Contributors: Peter Austin (Australian Aboriginal languages), Bernard Comrie (Siberian languages), Tooru Hayasi (Turkish), Sigeki Kaji (Tembo), Nozomi Kodama (Telugu), Kazuto Matsumura (Estonian), Takao Ooe (Korean), Akio Ogawa (German), Sigeru Sakahara (French)
(英語)
理論に基づき、日本語の格の問題を取り扱った研究。新しい知見にとむ、ワシン トン大学の学位論文の大幅な改訂版(英語)。
ロンドン大学のウィンルソンのもとに提出されたレリバンス理論の学位論文(英 語)。
―Papers from the International Symposium on Endangered Languages, Tokyo, November 18-20, 1995.―
1995年11月に東京大学で開催された、ICHEL(危機言語クリアリングハウス)主催の 「危機言語」国際シンポジウムにおける報告をまとめた論文集。危機言語、少数言語 に関する12論文を収録(英語)。
A collection of papers by the participants of the International Symposium on Endangered Languages, November 1995, organized by ICHEL (International Clearing House for Endangered Languages) at the University of Tokyo.
Contributors: Willem F.H. Adelaar(Netherlands), E. Annamalai(India),
Knut Bergsland (Norway), David Bradley(Australia), Matthias Brenzinger(Germany),
Michael Krauss(USA), Vida Yu. Mikhalchenko(Russia), Osami Okuda(Japan),
Suwilai Premsrirat(Thailand), Harumi Sawai(Japan), Stephen A. Wurm(Australia),
Akira Y. Yamamoto(USA).
哲学的文芸学の誕生(野家啓一東北大学教授 推薦)
横光利一・太宰治などをテクストとして今までにない虚構理論を展開する。分析哲学 や様々な虚構理論を踏まえつつ、それらの超越をめざす。最もラディカルな局面から 小説・詩などの局面を捉え直す。根元的虚構理論の書。(書評掲載 山形新聞ほか)
―社会的学習過程としての身体技法―
近代の問題、認知の問題のいきつくところは身体である。身体が「芸能」というから だの活動をどう修得していくかということを手がかりに、この問題にせまる。人文科 学・社会科学においての卓越した成果。ブルデューを超えたか? (書評掲載 毎日新聞ほか)
古代語の音韻研究で定評ある著者によるはじめての著書。古代説話の構造主義分析と 言語が逆に説話を生み出し、説話を育てていく現象の分析。言語学者、上代文学研究 者、そして説話研究者にすすめたい。(書評掲載 産経新聞)
近代の文学はどのような「読まれ方」によって成立してきたのか、読者論、社会史を 踏まえながら、新しい局面へと誘いかける。気鋭の新著。 (書評掲載 朝日新聞ほか)
下町育ちの国語学者である著者が、生粋の江戸っ子たちと話をして、東京弁を集め、 分析したもの。今はもう失われてしまった愛すべき言葉たちへのレクイエム。 (毎日新聞で書評掲載・杉浦日向子さん)
江戸時代の知識人にとって長崎留学は夢であった。世界に開いた窓である長崎。そこ
からオランダ文化は吸収されていくのであった。蘭学・洋学の第一人者である著者に
よるエッセイ。
江戸期の和学研究で定評のある著者による現時点での集大成。日本の近代の学問自体 の母胎の一つである和学の研究は、広く、他分野の研究者にも必読の書と言えよう。
巻頭に美麗な図版を付す。
若狭地方に残る王の舞は中世の田楽を受け継ぐ数少ない芸能の一つである。本書は、 若狭地方という民俗社会になぜ王の舞が残っていたのか、芸能史と民俗学を基盤とし て、文化人類学的な新しい知見とともに、その本質にせまるものである。また、民俗 芸能という身体技法の謎にもせまる。
―チェーホフの短編小説の詩学
川端香男里東京大学名誉教授推薦
チェーホフの短編小説「犬を連れた奥さん」の全文分析や、他の短編の分析を行って いる。テクスト主義的な分析としてここまで徹底して追求されたものとしては、はじ めてのものである。ロシア文学以外の分野の文学研究者にも必読の書。
文学研究から演劇学・文化人類学にいたる主に若手研究者による「民俗芸能」を根底 から考察し直す論文集。
―資料と研究―
本書は、天保年間に、渋川六蔵・藤井三郎補訂にオランダ語訳本より作られた日本英 語学史上の初の英文法書である。もとのものは失われたが、大月如電が昭和3年 (1928)、油印本で限定100部復刻したものの貴重な複製。研究を付す。
―語りと音楽―
日本文学・日本語学をはじめとして、日本音楽・比較文学・民俗学などの研究者の既
存の分野を越えた研究会である平家琵琶研究会によっておこなわれてきた平家琵琶を
めぐる学際的で新しい研究成果を公刊する研究論文集である。
マッキントッシュで中国語を入力・処理・出力するための本。アップル社が出した中 国語キットを組み込むことで容易に日本語や英語などと混ぜて入出力ができるのだ が、中国語キットには日本語のマニュアルがついていない。実際に中国語を使うとき に必要なノウハウを満載。
(「動かない、どうにかしてくれ」より書名変更)
オンラインサポートの実際を解きあかした本。電話をかける方、電話を受けて問題の 解決に当たる方、サポート者を支えるべき社内のシステム側、高度な技術社会で避け て通ることのできないコミュニケーションについての本。
いわばフランス版『本の雑誌』の編集長である著者による現代出版・書店論。電子本 や飛び出す絵本など、既存の形態と違った本が、どのような意味を持っているのか、 ととらえ直す。フランスでは、再販制が、原則的に廃止しされ、書店の構図も大幅に 変わった。日本の近未来の書店を考える時にも有益であろう。
―ネットワークのエチケット
インターネット、パソコン通信、コンピュータによる通信が常識化した時代の必読 書。本書を読んでいれば、通信の世界で非難を浴びせられなくて済むはず。ネット ワーク社会が、住み良い楽しいものになる。
テキストを電子的にやり取りするということはどういうことなのか。そのために考え ておく必要のあることは、どういうことか。電子リテラシーの基礎を考えていく現在 の必須の本。すべての文字を書く人にすすめたい。
エキスパンドブックとボイジャーから新しく出たT-Time製品版付きによって、パソコ ンでの読み書きが革命的に変わる。今までの紙や本のイメージに引きづられてきたイ メージではなく、パソコンで書き、パソコンで読むための全く新しいツールが、T- Timeである。このアプリケーションの誕生に立ち会ったジャーナリストの富田倫生さ んが、熱っぽく解説する。これは、パソコン読書におけるエポックである!
昭和からつい数年前まで、出版はバブルの中にあった。「近代化」と「大衆化」の大 きな流れでの従来の本の役割は終焉してしまったと考える著者による本の将来につい て真摯に考える本。電子本、インターネットなどの新しいテクノロジーの中で少部数 出版の意義をとらえ直す。新しい出版社、編集者の役割を提唱する。
現代人が間違え易い、あるいは移り変わりつつある現在の生きた言葉づかいを出発点 に、日本語を考えるとはどういうことなのかということと日本語の仕組みを考えてい く。教養として学ぶことができるように十二分に配慮して執筆された新しいテキス ト。半期制に対応。<小社ホームページにサンプルあり。>
長い間、日本語を教えてきた経験をもとに日本語を教えるためにどのようなこころが まえで、どのような知識をもって、どのように教えたらよいか、実践と方法論をわか りやすくまとめたテキストブック。類書にはない具体的な指針は、これから日本語を 教えようとする人に大きな助けになるだろう。
仁田義雄(現代語の文法・文法論)、鈴木泰(古代語の文法・文法史)、村木新次郎(現 代語の語彙・語彙論)、小林賢次(古代語の語彙・語彙史)、土岐哲(現代語の音声・音 韻論)、林史典(古代語の音韻・音韻史/文字・表記)、真田信治(社会言語学・方言 学)、畠弘巳(文章・談話)、山梨正明(認知言語学)、田中穂積(言語情報処理)、工藤 浩(日本語学史)
―音声学と音韻論―
本書は日本語共通語の音声を全ての水準において記述することを試みたものである。 これまでの日本語の音韻論は結果として妥当なものであっても、結論が必ずしも道筋 を明確にして、緻密に論証されていたとはいえなかった。その欠けていた音韻論の論 証を一歩一歩飛躍なく精密に記述したはじめてのものである。
方言の様々な局面、文法・音韻・アクセントなどの最先端の知識を集め、概説したテ
キスト。
理論研究者にも記述的な言語研究者にも定評あるLeechのテキストのひつじ版。英語 のあるいはことばについて考えるということが面白いことであると言うことを教えて くれる本でもある。
定評あるJean Aitchison(4版)の著書のひつじ版リプリント。的確で目配りのきい た、そして過不足のない本書は言語学・英語学のテキストとして優れたものである。
定評ある著者による入門書。CD-ROM版のサンプルはNiftyserveFLのデータライブ ラリの6番の105あるいはひつじ書房のホームページからダウンロードできる。
[目次]第1課 文字と発音〈1〉 第2課 文字と発音〈2〉 第3課 文字と発 音〈3〉 第4課 最敬体,指示詞と疑問詞,人称代名詞 第5課 指定詞,存在 詞,漢数詞,第一類の語尾 第6課 連用形,過去時制補助語幹,否定 第7課 連 体形,固有数詞 第8課 尊敬補助語幹,第四類の語尾,第五類の語尾 第9課 未 来, による慣用句 第10課 ぞんざい体,引用文 第11課 変則用言〈1〉 第 12課 変則用言〈2〉, よる慣用句
油谷幸利著 B5判 153ページ 1600円(税込1680円) ISBN91-9
入門編の続編。
[目次]第1課 敬体と略待 第2課 平叙文と疑問文,助詞〈1〉 第3課 待遇 法,助詞〈2〉 第4課 感嘆文,音変化〈1〉 第5課 否定 第6課 可能と不 可能 第7課 引用文縮約形,命令,勧誘,禁止 第8課 条件文,時,音変化 〈2〉 第9課 疑問と不定 第10課 使役と受け身,音変化〈3〉
簡潔にして要を得た英語学のテキストの決定版。本書は、英語学研究の基盤となる基 礎知識や、思考法、研究方法など英語学研究のエッセンスを、なるべく時流に流され ない形でしかもコンパクトに提供しようとするもの。英語学の中核をなす統語論、形 態論、音韻論、意味論の基礎を日本語で平明、簡潔かつ丁寧に提示する。
「現代英語をより深く理解するため」という観点から書かれた英語史の入門書。この 1500年の間の英語の文法の仕組みが、どのように(How) 、なぜ(Why)変化したかという問題をも取り扱い、言語変化のメカニズムに関する様々な言語学的アプローチ を試みる。
本書は、この例文はこういう意味だ、というような形で実例を網羅的に収集すること を意図したものではなく、様々な実例の背後にあると思われる規則性について考えて もらうことを意図したものである。覚える英文法ではなくて、考える英文法を目指し た文法書といってよい。
一般の文学史に出てこないフィクションの名作を選りすぐり、10作家15作品を収録。 作家ごとの解説付き。真にフィクションの魅惑に酔うことを望むすべての人々に。
[収録作品]泉鏡花(朱日記)大泉黒石(犬儒哲学者/不死身)江戸川乱歩(火星の 運河/白昼夢/踊る一寸法師)牧野信一(西瓜食う人)岡本かの子(花は勁し)坂口 安吾(紫大納言)立原道造(鮎の歌)太宰治(懶惰の歌留多)椿 実(月光と耳の話 ―レデゴンダの幻想―)天沢退二郎(赤い凧/小さな魔女/秋祭り)
[解説執筆者]赤間亜生/大沢正善/和田茂俊/伊狩弘/押野武志/中村三春/佐野 正人/九里順子/跡上史朗/宮川健郎
現代に発表された日本の現代詩の中から10詩人を取り上げ、大まかに現代詩の流れを たどる。各作品・詩人ごとの分かりやすい解説を付す。優れた作品を再評価。
[収録詩人]尾形亀之助/安西冬衛/村野四郎/永瀬清子/伊東静雄/吉岡実/谷川 俊太郎/清水哲男/荒川洋治/伊藤比呂美
[解説執筆者]和田茂俊/中村三春/虫明美喜/野坂昭雄/赤間亜生/宮川健郎
橋本裕之氏ら若き民俗芸能研究者たちが、新しい民俗芸能研究の実践を目指して組織 した「第一民俗芸能学会」の機関誌準備号として発刊したもの。その会の全容が記さ れている。
執筆者 杉本つとむ・今野真二・宋永彬・鄭夏俊・本多久美子・吉田健二
執筆者 岩淵匡・杉本つとむ・上野和昭・加藤薫・朴海煥
執筆者 飯間浩明・水野惠子・坂本惠・本多久美子・大島悦子
執筆者 今野真二・松木正恵・鄭夏俊・朴海煥・宮田公治・松永修一
執筆者 田村夏紀・高梨信博・桑山俊彦・川口義一・坂本惠・蒲谷宏・石黒圭
執筆者 鎌田倫子・大関真理・西谷まり・本多英由美・江原有輝子
執筆者 飯間浩明・早川幸子・鎌田倫子・宮田公治・石黒圭・寺嶋薫・江原有輝子・ 西谷まり・河内千春・江中美知子・細川英雄
執筆者 江原有輝子・西谷まり・河内千春・能波由佳・高橋淑郎・石黒圭・横田和 子・牲川波都季・村松千恵・細川英雄
執筆者 西谷まり・高野好美・竹長吉正・牲川波都季・細川英雄