1997年12月1日 最後の月をむかえて

今年も、あと1月を残すばかりとなった。もう少しするともう師走だ。1998年ももうすぐそこにあるということだ。

さて、今、『日本語文法 体系と方法』、『テクストはどのように構成されるか』、『意味と発話行為』の発送をすすめている。『日本語文法 体系と方法』は、まことにありがたいことに10000円+税という高価な定価に関わらず、100人以上のご予約をいただいた。そしてそれを順次発送しているわけだ。刊行する前は、心配もあったが、ほっと胸をなで下ろしているところだ。これで、どうにか年が越せる。よかった、よかった。

 1997年12月2日 記念論文集というもの

今回、渡辺実先生の古希記念の論文集を担当したわけだが、今まで、私個人としては、編集生活の中で、3冊目になる。1冊目は、前の会社にいた時に作った『奥村三雄教授退官記念論文集』であった。たまたま、表紙と中身が逆に製本されてしまっていた乱丁(?)の本があり、売り物にならないので私の手元に1冊もらってあったのだが、なんと1000ページ近い。これが、平成元年と奥付にあるから、8年前か。よくもまあ、そんな本を作ったものだ。値段は49000円であった。作った部数は忘れてしまったが、300部だったか、400部だったか。高くなった理由は、50人近い、執筆者にすべてさしあげることになっていたためということもある。300部だとしたら、印税16パーセントである。実売は250冊になってしまう。これは、なかなかきつい。また、近世のハングルもたくさん入っている。当然、作字だ。1文字で、1ページ分くらいとられるかな。しかし、また、5万円近い値段のものを出すというのは、良いことなのか、悪いことなのか。そんなに高くなるのであれば、出すべきでないというのも考えとしてはあるし、50人の講義を50000円で聞けると考えたら、一人1000円である。そんなに高くないとも言える。すでに8年がすぎているが、売れ切れているだろうか。今度、確認してみよう。

 1997年12月3日 定価の表示について

ちょっと日販の窓口の担当者ともめた。もめたというほどではないのかもしれない。何を「もめた」のかというと、定価の表示方法についてである。我々は、本体という言葉は、外税方式になった段階で必要がないと思っている。この方法に踏み切ったのは、影書房の表示方法を見て、非常にシンプルでいいと思ったからなのだが、どういう表示かというと「定価 1000円+税」というものである。これで、どこが問題なの? と思われる方がほとんどだと思うが、本体という言葉が入っていないことが、問題とされているのである。しかし、本当は、「定価 1000円」だけでも、問題なく、1000円に消費税がかかることは明々白々ではないか? 「+税」と入っているのだから、何も問題はないはずである。一時、新刊委託できないようなことをおっしゃったような感じであった。まあ、窓口担当者の個人的な希望ということだろうが。

ただ、この希望の元には日書連の意見があるということについては、ふれておこう。もともと未来社の先代の西谷さんとか、堅い本を出しているところは、税額が変わっても対応できる外税方式を主張していた。書店でも、リブロの小川さんとかがそのようにいっていた。ところが、日書連の連中が、堅い本のことなど、まるで頭になかったのか、雑誌だけ売っていればいいと思ったのか、内税方式を主張したのである。その結果、定価と課税額の区別が不明確であるということで、本体という言葉が生み出されたわけなのだ。(また、今回の3月のどたばたはこの日書連の内税方式のためだ。もっとも、それに組した書協の責任も大きいといわなければならない。)したがって、本体という言葉は4月以降、外税になった後では、本来もう、必要のないことばなのである。しかし、日書連は、本体という言葉だけは残せといっているのである。ああ、無能。

悲しい話しは後からもついてきた。我々は、10月からの取引開始であるので、無関係であるが、日販、トーハンは出版社に対して、4月の税金改訂および内税から外税に変換したことの会計処理のためのコンピュータ処理のために余分なお金がかかったということで、出版社一社あたり、年間の売り上げの4パーセント(0.4パーセント?)の負担金求めているということである。自分たちが、勝手に内税を使用しておきながら。こういうことは通常は許されることではないだろう。トーハンも日販も黒字決算であるから、出版社から出されたお金は半分税金となる! ああ、ばかばかしい。

日書連も、外税に変えたことに対する反省の言葉は、ゼロであった。ああ、そんな無責任な人々が本の流通を担っているなんて。


 1997年12月4日 言語学書メーリングリストへのお誘い

そろそろ言語学書の刊行情報のメーリングリストを作ることにしたい。基本的にはひつじ書房で刊行される書籍の情報を流したりということを行いたい。また、ひつじ書房からの様々な情報を送ることをはじめたい。注文をお寄せ下さるときに書いていただいていたメールアドレスにお送りすることになるが、今まで我々にメールアドレスを伝えたことがないという方は、松本(isao@hituzi.co.jp)までご連絡をいただきたい。

 1997年12月6日 Happy Monkey Alley宣言(予告1)

我々は、デジタルと本との前向きな融合、本のパワーの拡大のために、電子メール、web、また、電子的な画像などを出来る限り積極的に換骨奪胎して、利用していく。そして、テキストという我々が思うところもっともインターラクティブなメディアの復権と拡大をめざす新しい出版社とその連合体を組織したい・・・

とまあ、おかしなことを考えているわけだが、どうであろうか? もっと構想を具体化していく所存であるのでお待ちください。

ちなみにHappy Monkeyとはひつじのある猿楽町の猿楽を強引に英語化したものである。

 1997年12月12日 帯状疱疹にかかった

お腹と背中の左側が、ぴりぴり痛むし、背中の方にはぶつぶつができてしまったので、近くの大学病院に行った。結果、なんと帯状疱疹だと診断されてしまった。子どもの頃にやった水疱瘡が、直った後も神経に住んでいて、体力が衰えるとでてくるのだそうだ。ひどくなると背中から、前まで帯状になってしまうらしい。そこまで至る前に分かって良かった。10000円もする高価な薬をもらって帰ってきた。直すには、安静にすることが必要で、なおかつアルコールも厳禁だとのことであった。年末にかけて、忘年会でもウーロン茶のお世話になりそうである。

 1997年12月23日 ちょっとパワーダウン

どうも日誌の更新が遅くなっている。上記の病気のこともあり、安静気味にしていたら、どうも調子が出ない。そのうえ、仕事もさることながら、年末のあわただしさが、気分を落ちつかなくさせている。ということで、自宅からもホームページを更新できるようファイルを送れるように、方針を変え、システムを少しばかり変更した。これが、うまく行けば正月に今年はじめの発言というものも可能になる。また、昨日は、泊まって、マックのLC475のハードディスクを友人に恵んでもらった500Mのものに交換し、ついでにFaxSTFをインストールした。これが、うまく行けば、ファックスの同報を500件とかが可能になる。などなど、新しいソフトの実験は基本的に私がやっているので、何か新しいことをすると泊まりになってしまうのである。あるいは、泊まると新しいことをやりたくなると言うこともある。それに、ソフトをインストールしながら、『女性のことば・職場編』の資料フロッピィー作りを行った。30本つくった、夜なべして。


日誌 97年11月

日誌の目次へ
ホームページに戻る


ご意見、ご感想をお寄せ下さい。

房主
isao@hituzi.co.jp
(だいたい、届くようです。)

万一、届かなければこちらへ。

房主(jbc03436@niftyserve.or.jp)