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2023.9.20(水)

重版ぞくぞく

今月は新刊が『AI時代に言語学の存在の意味はあるのか?』のみでしたが、新刊・近刊案内「未発」の作成や、秋の学会シーズンに向けての助走期間となっており、追い込み段階の書籍も多く、年度末刊行の書籍も本格的に動き出し編集部は忙しそうです。
今年は対面開催の学会も多くなり、たくさんの方に本を実際に見ていただける機会ができること、大変うれしく思っております。
学会にご参加の際は、ぜひお気軽にお立ち寄りいただければと思います。ひやかしも大歓迎です。

先月、今月と重版した書籍がありますのでご紹介させていただきます。

『ゼロからはじめる哲学対話 哲学プラクティス・ハンドブック』(河野哲也編)は今回で3刷となりました。
Amazonをはじめとしたインターネット書店や書店の哲学コーナーで継続的にご販売いただいています。
書店だけでなく美術館などで行われる哲学対話のイベントでのご販売などをご相談いただくことも多く、哲学という学問の裾野の拡がりを感じます。

『日本語教育のためのはじめての統計分析』(島田めぐみ・野口裕之著)ははじめての重版となりました。
日本語教育を専攻する学生や研究者を対象として、統計的方法の基礎的な部分を分かりやすく解説しており、読者に「考え方」を身に着けてもらえるように配慮しています。日本語教師必携の1冊です。

『ハンドブック 日本近代文学研究の方法』(日本近代文学会編)も今回で3刷となりました。
「研究が深まるとともに多様化する文学作品の分析方法を研究史とともに分かりやすく整理」した研究法ガイドブックで、27の項目を専門の研究者が解説しています。コンパクトながら充実した内容で、卒業論文の指導などにもお役立ていただけると思います。

気になった書籍がありましたら、ぜひお求めいただければと思います。




2023.9.6(水)

鉛筆(書き)の話

鉛筆と言えば、一般的には小学生くらいまでの年齢でよく使うものでしょうか。それより上の学生だとシャープペンシル、社会に出てからはボールペンを使うことが多いと思います。
しかしながら編集者はおそらく社会人としては例外的に、鉛筆を使うことが非常に多い職業です。編集者と言えば赤ペンというイメージがあるかもしれませんが、実際に使うことが多いのは、赤ペンよりも鉛筆の方です。
赤ペンは、校正において間違いを正すのに使います。誤字・脱字・衍字の修正、体裁の変更などなど。もちろんこれらはありますが(あってほしくないものもありますが)、それよりも多いのは、著者への確認事項です。
単純に誤字と思われる言葉があったとしても、直し方が一つでないことがあります。例えば「鉛筆はが一本ではない」と書いてあったら、「鉛筆は」となるのか「鉛筆が」となるのか? 文脈で判断できればよいのですが、どちらでもよい場合もあります。あるいは、誤字のように見えるけれどもそうではないのかもしれない微妙なもの。誤字ではないけれども表記の統一が乱れている。文章の不整合。内容に関しての疑問。これらのことを、編集者が勝手に直すことはありません。そういったものを見つけたときは、著者への確認事項として鉛筆で書き込みます。
赤ペンで直すのは明らかな間違い。鉛筆で書き込むのは確認や相談。後者のほうが分量としては圧倒的に多いです。

私はBLACKWINGという鉛筆を愛用しています。これは平べったい消しゴムが頭に付いているのが見かけ上の特徴で、『カンマの女王―「ニューヨーカー」校正係のここだけの話』(メアリ・ノリス著、柏書房)というエッセイで著者が愛用しているという記述があったのが出会いでした。
特筆すべきはその書きやすさと言われていますが、私は加えて消しやすさもあげたいと思います。なぜシャープペンシルではなく鉛筆を使うのかということにも通じますが、校正をしているとき、質問を書き込んだけれども後半まで読んだら不要だったので消したい、ということはよくあります。著者に送るゲラに余計な汚れをつけたくないので、きれいに消せることはとても重要です。(ただし、あえて消さず、バッテン印を付けて残しておく、「見せ消ち」にすることも多々あります。これはまた別の話。)シャープペンシルだと先が細いので痕が残ったり紙が傷んだりしやすく、消すのには不向きなのです。加えて、線が細すぎて書き込みを見落としやすくなるように思います。

ちなみに著者校正の際には、鉛筆書きにはお返事いただきたいですが、不採用の書き込みでも消しゴムでは消さずに、バッテン印を書くことで不採用であることを示してほしいです。何をお尋ねして不採用だったのかということを知るのも、円滑な編集作業にはとても重要です。記録にもなります。

私の場合、BLACKWINGは消しやすさのほかにもう一つ利点があります。社内で他に使っている人がいないので、どこかに置き忘れても高確率で手元に戻ってくるということです。平べったい特徴的な形の消しゴムは消しゴムとしてではなく、名札代わりに働いています。


BLACKWINGの鉛筆





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