メダパニ
今月は私の担当書籍が4冊出来てきました、また、来週中には3冊出来上がってくる予定です。
昨年からこつこつと長い時間をかけて進めてきた書籍が、とうとう刊行まで来たなぁと感慨もひとしおです。
今の時期を刊行予定と目指してたくさんの書籍を同時進行してきたので、大変な道のりでした。特に、同じ時期に、たくさんの本が印刷に入る時期というのは、私も大変ですが、印刷所、紙屋さん,製本所といった外部がたくさん関わってくるので、進行管理は複雑になり錯綜しだします。さらには、印刷していたらミスを印刷所の人が発見したりだとか、製本の際に紙が折れ曲がってしまったので本文刷り直しだとか、いろいろなハプニングが起こり出すと混迷の度合いは深まってきます(急いで本を作るということになると、ハプニングの起こる度合いは一気に高まり、えてして起こって欲しくないときに起こるのです…)。
ドラゴンクエストにメダパニという呪文があります。これはドラゴンクエストIIIで初めて登場した呪文ですが、その後市民権を得てドラクエシリーズではメジャーな呪文となりました。この呪文の効果は戦闘の際に「相手を混乱させる」です。混乱した者は、敵味方の区別がつかなくなって攻撃してしまいます。使用例:
「Aはメダパニをとなえた」
「Bはこんらんした!」
Bはこんらんしている!
現実の話しに戻すと、例えば英語の書名の本がたくさん刊行予定になっていると、印刷所も製本所もそして私も日本語の書名よりわかりづらくなるので認識力が落ちてしまいます。
製本屋さんとの会話「あの〜ちゅ、ちゅん、チュンクの進行だけれど…」、「チュ、チュン?」「チュンク」「あーchunk」「chunk?」のように、書名のやりとりだけでも困難です。混乱は伝染します。メダパニにかかってメダパニを唱えるみたいな状態。また同時期に本が印刷や製本に入るということは、印刷された本文に、違う本の表紙が製本されてしまったりという可能性もあります(実際過去におこったことがあります)。そのような連絡が入ったら、またその分量の紙を発注して
印刷を手配して……と大至急現状の進行に割り込んでいかないといけません。1件ぐらいならなんとかなるにしても、それが重層的にくるとなると…。
そうした混乱が充分に予想されたので、総メダパニ状態に陥らないように、今年はいつも以上に連絡を密にとりあい、なんとか今の刊行にこぎ着けています。今は無事3月上旬の本が出来上がってくるのを楽しみに待っています。
そんな、著者とのやりとりとはまた違う、編集の醍醐味の話しでした。
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