百面相は本当に「百」か?
百面相、という言葉があります。コロコロと表情を変えることを意味しますが、手ぬぐいなどの小道具を用いた寄席芸に由来しているそうです。「百」という数字は、「数が多い」ことの比喩だと思いますが、四字熟語では「千」や「万」といった数字を使うことのほうが多い気がします。「百」に比べると、「千」や「万」は途方もなく大きい数字のように思えるからでしょうか。
百面相の話を持ち出したのは、まさに私がしばしば百面相だと言われるからです。表情がかなり豊かなほうで、喜怒哀楽が顔にとても出やすい自覚があります。はたして、私の表情は本当に「百」個でしょうか。喜怒哀楽にもグラデーションがあり、とても百では足りないように思います。人間の細胞は絶えず生まれ変わりますから、今日の表情筋は昨日の表情筋ではないということになりますし、再現性はないのかもしれません。
ひつじ書房で働き始めて3週間が経ちました。まだまだ「慣れる」という言葉にはほど遠い状況です。経験不足がゆえに、質問に対して即座に答えられないことも多くあります。先日、どう返答したらよいか迷った際に、その迷いがすべて顔に出てしまい、「いかにも迷っている顔」をしてしまいました。「ええと……」「あの……」といったフィラーの代わりに、表情で返事(にもならない返事)をしてしまうという失態でして、実に恥じ入りました。
ひとつずつ、気持ちを落ち着けて対応し、どんな質問にもキリっとした表情でハキハキと返答できるようになりたいものです。覚える仕事が大変多いという事実には抗えません。焦らず着実に成長してゆけるように、日々の業務に誠心誠意向き合うべく、決意を新たにしております。
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