ミネアポリスでの2014年のアメリカ言語学会の印象

2014年1月13日(月)

ミネアポリスでの2014年のアメリカ言語学会の印象

1月2日に成田を発って、ミネアポリスでの2014年のアメリカ言語学会に出店、参加してきました。その印象記です。寒い、とともに、現地の人とアメリカ国内から来ている方々の寒さにお耐えになるその耐える力の驚くべきこと。日本から留学しているMITの学生さんに、聞いたら、ボストンよりも寒いそうだ。やはり、湖が多いからなのか。

ここで、不平を言ってしまいます。食べ物のことです。ホテルの朝食が、バイキング方式で21ドルでしたが、暖かいスープの類いが一切ないのです。日本なら、朝食があるホテルなら、高級でないビジネスホテルであっても、味噌汁や何かのスープはあるでしょう。具もほとんど入っていないような大した味噌汁ではないけれども、暖かい飲み物を飲めるということは幸せなことだったんだとあらためて感心しました。暖かい食事で体を温めるという発想がないのでしょうか。もちろん、スクランブルエッグとかトーストとか、はありました。

熱燗のない国ですから、そうなのかもしれないなどと決めつけたい気持ちです。一旅行者の戯言。熱燗のある国は、日本だけなのかもしれないので比較することが困難なのかもしれません。といっても、ドイツにはホットワインがあると聞いていますので、英米の人々の体感感覚が違いすぎるということなのでしょうか。

よく北海道は、外は寒いが、部屋の内の中は暖かいといいますが、ミネアポリスはそうではありませんでした。ホテルの室内も十分に寒かった。展示会場は、人の密度が低いせいか、コートを膝の上にかけておかないと寒くて寒くて、脚を冷やしたくないので、重装備にしました。おかげで、持って行ったワイシャツは使わずにユニクロのタートルネックの服をワイシャツの代わりに着ていました。襟が開いているような服はとても着ていられません。ところが、シカゴ大学出版の男性は、普通のスーツ姿でした。オックスフォードのアルバイトの売り子たちは、地元の大学院生とのことで、特に厚着ではない普通の格好で、際だった防寒はしていないというように見えたのですが。両方の二の腕を出している女性とか、信じられません。

路地があって、赤提灯があったらと何度も思いました。小雪の降る中に。路地の代わりに、スカイウェイというものがあり、スカイと言っても地面じゃないという程度の意味です。その道が、ビルとビルの2階を繋いでいました。くねくねとつながって、迷路のようです。実際、迷って同じところを何度も回りました。せめて、ビルの片隅にでも、赤提灯があってもいいのではないかと思うのですが、そういう発想はないのですね。自家用車通勤社会のせいで、帰りにいっぱい飲んで帰るという発想がないのかもしれません。

しかし、思いますに、小雪がちらつく中という生やさしいものではないので、仕方がないのかもしれません。マイナス10度などの世界ですからね。小雪がちらつく中で、赤提灯で、何とか鍋と熱燗というのは非常な幸せなんだろうとおもいました。女将か大将がいると最高ですね。

11年の時にも書きましたが、学会の発表の際に、手話話者がいる場合には、手話通訳が付いていました。言語学会が、これはアメリカの主要な言語は、米語と米手話と見なしているということでしょうか。単に手話が、一つの言語というのであれば、ナバホ語であるとか、他の言語の通訳が希望があれば、付いてもいいことになると思います。障害者支援という論理なのでしょうか。参加困難者支援ということであれば、ナバホ族も入るでしょうから。私のこの言い方は無責任な言い方ですね。調べてみます。しかし、質疑応答を含めた研究発表を即座に訳していく手話通訳者の技能には驚かされます。

2回行われたポスター発表の会場が、展示会場のすぐとなりであるのは、集客という点でよかったと思います。ただ、これは日本でも言えることですが、業績を稼ぐことを優先する学生たちは、書籍を見る余裕がないのでしょうか、たぶん、発表会場にいた人数の半分くらいしか展示場には来ていなかったでしょう。150のポスター発表が2回あったわけですから、発表者だけでも300人はいたはずで、その3倍としても900人ですから、5分の一くらいでしょうか。

ひつじ書房の出版物の中では、アブハズ語とタガログ語をみなさん見てくれる雰囲気でした。ディサテーションのシリーズは、テーマが個別になりがちですので、売るのは難しいですね。個別の言語の記述文法と辞書を出すべきなのかもしれません、特にアジアの。このあたりは、できれば、国立国語研究所あたりが、プランを作って、研究して、それを出版助成をとる形で、環太平洋言語学記述シリーズのように出せたらいいのだろうと思います。国立国語研究所がそういうプランを作ってくれないか。あるいは、東京外大のAA研あたりで、どうでしょう。

生成文法のような理論的な研究については学位論文は、内容がとがったものが多いので、共有できる範囲が狭くなるので、個人でも購入しようというふうになりにくい要素があると思います。ジョンベンジャミンズのように強気にはなれません。時間と言語とは何かのようなテーマの大きな概観的なものは、オックスフォード大などでないと出せないでしょう。そのあいだを行きたいのだが...

そうすると日本語ならではの、言語現象に焦点を当てた、他の言語研究に影響を与えうる、先進的なテーマを英語で出すというのが、よいと思いますが、その場合、日本語学と英語学と言語学の共同研究が必要で、その上で、英語学の方が、翻訳に力を注いでもらう必要がありますので、研究と事務的な仕事のバランスを共同研究者が上手に協調して行うことが必要になるでしょう。

ジョンベンジャミンズの編集部長である娘さんにもあったので、実際に学術英語図書のためのコピーエディティグの人を紹介してもらうこともできるので、書籍作りについては、少しずつ前進していきましょう。来年は、kindle版の英文学術書を展示できると思いますので、状況を変えていくことができるでしょう。

隣だったので、オックスフォードの女性編集者に柱になぜ、オックスフォードは、章の数字を入れないのかと聞いたら、コピーエディティングでそうしているから、というような答えだったので、組み版に関心がないようだったので、がっかりしましたが、大企業は分業しているので、どういう理由で組み版しているかということには、現場の一編集者は意識していないのでしょう。今回、ケンブリッジの本も見たら、柱の章数の件は、メチャクチャでした。スペルアウトしてあるところと数字で書いてあるところとあって、がっかりしました。その点、オックスフォード大学出版局はとても筋が通っています。さすがです。ラインニング数字とノンラインニングを本によって使い分けている訳を聞こうと思いましたが、柱についてさっきのような答えだと質問の意味を理解してくれないと思いましたのでやめました。ノンライング数字を使っているのは珍しいので、聞こうと思ったのですが、やめました。

学会の印象は、研究発表についてはちょっとよくわかりません。2年開いて2回目なので、比較したりしようがありません。そんなにずば抜けて発展的という感じはいたしませんでした。上手く研究発表会場を行き来できませんでした。ポスター発表だと、面白そうかそうじゃないのかがわかりにくいです。これは日本の言語学会にも言えることですが、ポスター発表の発表名だけだと題目が中層的過ぎたり、些末的過ぎて、何の発表かわからないときがあります。もうちょっと上手くフォローする練習が必要なんでしょう。会長就任スピーチのレセプションがありました。なかなか、活発なやりとりでした。会場の左右にマイクがもうけられ、順番に質問、コメントをしていきます。会長はてきぱきとさばいていきます。

その後、無料のオードブルと有料のキャッシュバーの部屋に移動。会からの、アナウンスや誰かを紹介するというようなことは一切なく、アメリカ言語学会は90周年でしたので、そのチップスクイズのコーナーがあっただけでした。オードブルなので仕方がないですが、冷たいものばかり、カットフルーツとかで、皆さん、体のエネルギーを作り出しているのかとたいへん不思議に思いました。暖かい何かを食べようという気持ちはないのでしょうか。

食べ物のことばかり書いていますが、本来の仕事である、本を展示して売るということについて、本は展示しましたし。チラシも渡しました。大会の予稿集にひつじ書房の広告を載せておいたからでしょうか。店頭で渡すチラシも2011年と比べて受け取ってくれる人が多かったと思います。前回は、けっこう受け取ってくれない人がいたという印象でしたが、今回はその印象は持ちませんでした。

ひつじ書房は、日本での学術的な研究、言語研究の海外への発信を行っていきます。そのために、海外での学会に参加したり、出版の方法を模索し、調べます。そして、近い将来、具体的に発信を行っていきたいと考えています。今回の、学会参加もそのためです。5年をめどに成果を出したいと思っています。

追記

2011年の時はミュージカル、メアリーポピンズを見に行ったのですが、今回はコメディを見ました。ガスリーシアターのボーン・イエスタディです。いい感じの芝居小屋でした。18という席に座りましたが、隣の女性がいつもは私の席なんですといいました。常連なんですね。コメディを理解するには英語力が不足しています。これも、がんばって向上しましょう。バレーを観に行けばいいことですが...

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