出版概論のシラバス

2012年12月17日(月)

出版概論のシラバス

(これは、ひつじメール通信で12月5日に、配信したものとほぼ同文です。)

私は、日野にある女子短期大学で、「出版概論」の授業を一コマ持っています。そのため、前期は片道1時間半をかけて日野に向かいます。今年も、来年の授業のシラバスなるものを送ったところです。

多くの大学の先生方、大学1年生の授業を持っている方々には当然のことでしょうが、私にとって授業をするのはたいへんなことがたくさんあります。まず、大勢の人の前で、自信あるように話すということがたいへんです。ぼそぼそ、どちらかというと自信なげにしゃべるほうなのです。それに、つい、1月前まで高校生であった若者たちに教えるということがたいへんです。高校で教えている方は、そんなこと今さらと思うことでしょう。それぞれの学生さんがいろいろ勝手なことをいってきますが、頭ごなしに命令するというのでなく、かつ、学生のいいなりにならずに、やるべきことはやってもらうようにしないといけません。先生という商売はたいへんだと思います。もっとも、学んでいる内容は編集についてですから、答えが1つに決まるわけではなく、かといっていい加減にやっていいものでもありません、というものですので、それぞれが主体的に動いてもらわないといけないわけです。とにかく、できるだけ、熱意をもって、淡々と授業したいと思っています。何かを作り出すということの面白さとたいへんさを感じてもらいたいと思っています。来年の4月に学生さんたちに会うのが、恐くもあり、楽しみでもあります。非常勤で一コマという関係は、通り一遍になってしまいがちです。壁があるような気がしているので、もう少しやりとりができるといいと思うのですが、どうしたらいいのか、分からない中での試行錯誤中です。送ったシラバスは、以下のようなものです。どうなりますことやら。

【出版概論のシラバス】

出版概論1は、書籍・雑誌のようなメディアを作ると言うことはどういうことなのかを、実感してもらえるような授業にしたい。したがって、講義科目ではあるが、受講する皆さんが主体的に参加することが大事です。グループを作って、書籍・雑誌のようなメディア(小冊子)を作ります。グループの性格を決め、グループの名前を付けます。(仮に出版社を作るというやり方。)グループの中で、リーダーを決めます。社長と編集長と営業部長を作り、他のスタッフともテーマを決め、小冊子の構成を決め、期日までにみなで作り上げ、クラスにお披露目します。出版をするということは、編集者であれ、作家であれ、1人の仕事ではなく、他人と関わり合って、仕事を完成させるものだから。企画をたてるためには情報の収集が大切で、社会へのアンテナが必要です。そこで、新聞を毎週読んできてもらい、気になった記事についてクラスで発表してもらいます。新聞の読み方の本も並行して読んでいきます。本を使って講義するのではなく、それぞれが、読んだ上で、内容を共有するというやり方を取ります。出版社訪問や編集者の方をお呼びして話しをしてもらうことも計画しています。メディアを作って生きていく、という入り口を体験してもらいたいと思います。製作作業もありますので、各自の積極的な参加を期待しています。編集とは、出版とは何なのかについて、考えていくことを目指します。


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