ひつじ書房 13回目の合宿

2009年8月24日(月)

ひつじ書房 13回目の合宿

午前から午後にかけて、3名の筆記試験および面接を行い、同時に3名というのはひつじはじまって以来初めてのこと、採用試験終了後、日本橋の住庄ホテルへ。住庄ホテルは、兜町、日本橋、人形町という東京の旧中心地とでもいうべき場所に位置するホテルで、ひつじの事務所から近い都心にあって、大浴場があるという条件で専務が探して見つけた場所である。銀座に近いなど面白いロケーションだからだろうか、宿泊客は外国人の方が多かった。ホテルとしては、客室は狭く、宿泊で癒されることが目的であれば、おすすめできないと思うが、このあたりの地域は盲点で、知られない名所的スポットがあるのかもしれない。時代の中に取り残され系の地味さが売りなのかも知れない。食事はおいしかった。割烹住庄というのもあるそうだ。お風呂もなかなかよかった。無理に家に帰らず、次の日休みの時に一人で泊まって遅めの朝を起きて大きな風呂に入って休みの日のビジネス街を散歩する、というようなことなら、少し贅沢かも知れない。中年男の感傷と言われそうだ。

さて、ことし入社した竹下さんを含む社員7名での合宿。ひつじの合宿は、正月明けとお盆休み明けの年2回行っている。もともとはせんだい・みやぎNPOサポートセンターの加藤哲夫さんが、運営しているNPO組織内のコミュニケーションの活性化のために1年に何度か合宿をしているということを聞いてはじめたもの。ひつじ書房としても、普段の事務的な会議ではなかなか話せない突っ込んだ話しをしようということで毎年2回行っている。2003年の夏に開始しているので13回目の合宿である。今回の合宿のテーマは、新人をどう教えるかという話しにはじまって、仕事のシェアをどうするかということがテーマになった。シェアというのは、分割という意味ではなくて共有という意味である。

仕事の共有と言うことがテーマになったのは、ひつじ書房がようやく経済的な規模として個人商店というような段階から、小企業へ移り変わるというところにさしかかったことによる。2003年から意識的に力を集中して、実行してきた、学術書を中心に刊行してきた成果が出てきた。加えて、次の時代を目指して刊行を進めてきた日本語教育関係の教科書がもうすぐ出るという成果が問われる時期であるということ。最初に述べたように、現在鋭意、求人中なのもこれからを乗り切るために増員したいからである。今は7名だが、2011年までに10名までは規模を充実したいと考えていて、純然たる個人商店を抜け出して、どうにか小企業になるという過渡期に、組織のあり方をどう作るか。組織化を目指そうと模索しているけれども、まだ、なかなかそうはなりにくいにしろ、少し先の目的を掲げておきたい。

私は、編集部自体を2グループに分けて、そのグループ中でサポートする仕組みを作ることを提案したが、人数が少ないので社長が直接教えた方がいいことと新人を教えるという側もまだ、教えうるというレベルまで行っていないのではないかということで、私の案は採択されなかった。かといって私がすべてを直接教えたり、全てを決裁するのは困難なので個々の書籍編集でそれぞれに協力して行うということになった。担当する書籍に、メインの担当とサブ担当を作る。メインが独り立ちできていない場合に、サブをサポートとしてつけ、メインが独り立ちができている場合は、サブがアシスタントになるという案配で、教え合い伝授し合い、支え合うというやり方にしようということになった。確かに現状として、個々の書籍の共同からはじめるというのは、現状に即した先走りすぎない自然な方向ということができる。実際にもう少し人数が増えてきたら、組織については考えよう。

みんな風邪気味で、食事を終えて床についた。私もいつもなら、お風呂に入ってから、寝るが、そうせず、すぐに眠りについた。翌日の会議では、学会の分担と担当書籍の分担を相談し、この秋以降の大筋の乗り切り方を決めた。そこまでで、12時になって、解散。せっかく、日本橋でしたが、てんぷらも何も食べずに、それぞれ帰途につきました。

帰り道、三越本店に寄りました。東京旧中心街的な時代を感じさせる荘厳な天女像。お金が掛かって絢爛豪華だし、宗教的だし、女性的だし、デパートが求心力を持っていたころの熱狂のようなものを感じる。今や、その熱狂は消えてしまい、残像になっている。熱狂は全てが郊外に消えてしまった。個人的に三越的な世界の恩恵を受けたことはないので懐かしむというのは、おかしいが、昇天するという宗教的なイメージで消費が行われていた時代を遠く、幻のように思う。

その後、私と専務は麻布十番祭りを見に行くことに。しかし、昼食を食べずに行ったので1時には着いてしまい、3時からはじまるまで、ちょっと間があきすぎで、今回は準備中のお店を見るくらいで帰途についた。駅を探して、途中、蔘鶏湯料理グレイスで蔘鶏湯(サムゲタン)を食べた。薬膳で上品な味だった。やはり、餅米じゃないと、とは専務の言。麻布十番商店街は高層ビル街の足下で生き延び、活気あるパワフルで、すごい商店街である。来年は、3時に行って一の橋公園でトルコ名物シシケバブを食べよう。


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