2005年6月2日(木)
2005年6月2日(木)

『広げる知の世界 大学でのまなびのレッスン』刊行、スタディスキルと市民教育

21世紀の大学の役割を考えると専門的・学術的な内容の教育と同時に21世紀の社会を生きていくための知的なサバイバル能力を付ける、あるいは学ぶ機会を提供することだと思う。調べたり、読んだり、情報を集めたり、情報を分析して考えたり、それをまとめたり、さらには議論したり、発表する…。発表する道具としてプレゼンテーションソフトがあったり、インターネットを活用したりするという技能が必要になる。これらは市民的な素養の重要な部分と考えることができるのではないだろうか。21世紀の大学はそのようなところを学ぶところになるはずだ。そう考えると大学の果たすべき機能として「市民教育」の提供ということがある。アメリカの大学などではスタディスキルと呼ばれているものである。今まで、日本の大学では基礎ゼミなどという名前でも呼ばれていたものである。

そのような大学でのスタディスキルの教科書を出したいと思っていたところ、昨年の日本コミュニケーション学会で、同志社大学でコンピュータを使った英語教育などの世界で知られる北尾謙治先生に幸いにも、お目にかかり、スタディスキルの教科書についてご提案した。北尾謙治先生から9名の先生方に声をかけて頂き、仕事の早い方であり、1年たたずに『広げる知の世界 大学でのまなびのレッスン』が、できあがった。詳細はこちら。このジャンルではくろしお出版さんが出している『知へのステップ』があって、ロングセラーであるが、本書の執筆陣は英語教育関係の方であり、全く同じ方向性ということではない。本書は、アメリカの大学のスタディスキルの伝統を踏まえた優れた内容になっていると思う。

学び方というものには、いろいろな方法があり、さまざまな目的もある。ひつじ書房は、学術出版社であるから、学び方についての教科書はこれからも刊行していきたいと思っている。ひつじ書房としては、究極的には、市民としての知的な技能を目的と考えている。アカデミックジャパニーズの研究会の研究書も刊行する予定…。

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