2004年9月20日(月)の日誌 ソリューション志向の研究書は可能か
9月20日(月)の日誌

ソリューション志向の研究書は可能か

学術研究は、未解決の問題について、研究者が仮説を提示し、考えを進めていきというスタイルである。学術書というのは、そのような営みをある時点できりとったものである。研究がそもそもそうなのだが、研究書の中で重要なのは発案や課題発見である。課題発見とそれに対する問題の解決の提案を行う。提案される問題解決の方法が必ずしも完全であるとは限らない。ソリューションへの提案はなされているが、それが最善の解決策であるという保障はない。

医学などの場合は人命に関わるが、多くの学問は直接人命に関わるわけではないが、研究には試行錯誤がつきまとう。そういうものでもある。ソリューションではなく、プロセスが重要である。

ここで問題なのは、そのような解のない本というものを価値があると認める社会的なムードがあるかということである。社会のニーズがあるかといいかえてもいい。発端とプロセスは重要であるものの、何らかのソリューションを志向しないでいいとはいえない。多くの人々にとって何かを解決してほしい、その解決のためのプロセスを重要視してほしいと思うことは当然のことだ。ここでは、ソリューションと発案とプロセスの橋渡しが必要と言うことになるのだろう。

ソリューションを志向した優れた研究を出していくこと。それによって、役に立つ研究というものの実感が生まれるのではないか、ということ。次に、そのようなものを丁寧に紹介していくこと。


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