『小説のフィクショナリティ』まもなく刊行!
来週に出来上がってくる新刊のご紹介です。
『小説のフィクショナリティ 理論で読み直す日本の文学』
高橋幸平・久保昭博・日高佳紀編
https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1162-5.htm
本書は2014年に立ち上げられた「フィクションと日本文学の研究会」での研究成果の一端をまとめた論文集で、全部で18本の論文と、巻末にフィクション論の主要文献を紹介した「読書案内」を収録しています。
本書は2部立てとなっており、第1部が「フィクション論の争点」として、フィクション論はこれまでどのように語られてきたかが整理されています。第2部では「フィクション論は日本文学をどう読むか」として、さらにテーマごとに4つのセクションに分けて、小説が表現される際のフィクションの意識や受容、現実と虚構の境界など様々な観点から小説の分析がされます。
嘘はフィクションなのか、ニュースがフィクションではないとしてその内容が間違っていたときはフィクションになるのか、誰かの日記を小説として差し出されたときそれはフィクションなのか。フィクションについてこれまで様々な考え方で論じられてきたわけですが、それらが整理されていて、本書を読むと、何が虚構であって虚構でないのか、それを判断する立ち位置についても自覚的になり、とても頭が良くなったような気になります笑。それは冗談ですが、虚構作品として読んできた小説について、よりクリアに理解ができるようになるのではないでしょうか。
巻末の読書案内も、フィクション論を知るには何を読めば良いのかということが分かりとても便利です。
研究者だけでなく、小説や物語に愛着を持っている人にもおすすめです。
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