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2022.5.25(水)

ウェブサイトリニューアル中


現在ひつじ書房のウェブサイトのリニューアル作業をすすめています。

昨年の夏頃から作業を開始したので、かなりの時間をかけていますが、出版社のサイトには何が必要か、今ある ものから何を残すか、具体的な工程は何があるかの洗い出し、という基本的な作業のところを終えて、現在実際 の中身を急ピッチで作っていっているところです。

デザイナーさんやウェブエンジニアさんと一緒にすすめています。

普段紙での校正に慣れているので、「ページが出来上がりました」と送られてきても、画面上で見てどういう風 に赤を入れれば…?といかにも不慣れな感じでがんばっています。世の中の一般的な企業などではどうしてるん でしょうね。大きいページだとそのままだと小さいし書き込みもできないので、私は拡大した画面をキャプチャ して、デザインソフトのillustrator上で貼り合わせて、社内で画面共有でみんなでチェックしたりしましたが 、何かもう少し良い方法がありそうです。

作業としては佳境に入ってきていると言っていいと思いますので、これ以上延びないように、全力をそそいでい きます。何か画像がすごく動いたりといったリッチなページにはならないと思いますが、なるべく便利になるよ うに考えて作りこんでいますので、お楽しみにお待ちください。



2022.5.11(水)

『フィールドワークではじめる言語学』

ゴールデンウィークが終わりましたが、皆様はどのように連休を過ごされましたか? 今年のゴールデンウィークは3年ぶりに緊急事態宣言などの行動制限がなかったということで、お出かけや旅行に行った方も多いのではないでしょうか、私自身は行きませんでしたが、両親や友人の何人かは国内旅行を満喫していました。
海外旅行をした人は周りにはいませんでしたが、ニュースを見ていると海外への旅行客は昨年に比べて何倍も増加したそうです。国によっては渡航制限や入国後の隔離義務がまだ厳しいところもあるようですが、徐々に以前のように気軽に海外へ行けるようになってほしいと思います。

旅行ではなく、海外へ調査に行かれる研究者の方も大勢いますし、そういった方のためにも海外へ行きやすい世の中になってほしいものです。
そんなことを考えながら、昨年から編集していた書籍があります。それが今年の3月に刊行した『フィールドワークではじめる言語学 なじみのない言語から考える』(古閑恭子著)です。
本書は言語学の入門書的なテキストですが、とてもユニークな特徴を持っています。それは、多くの言語学の入門書は日本語や英語などを例に言語学について解説していますが、本書は著者である古閑先生がフィールドワークを行なってきたガーナの言語(アカン語)を中心的にとりあげて、言語について解説しているのです。
なぜガーナの言語という多くの読者にとって「なじみのない言語」を扱うのでしょうか。それは「なじみのない言語」こそ言語学を学ぶうえで格好の素材になるからです。本書の「はじめに」から引用します。

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なじみのない言語だからこそのメリットもある。まず、言語研究において、ある言語の現象を解釈するのに別の言語の枠組みを当てはめようとしない、という基本がある。日本語や英語のようにすでに身についた言語でこれを実践するのはとても難しい。対して、なじみのない言語は、既存の枠組みを一旦取っ払って考えてみるための格好の材料である。提示された資料に素直に向き合い、なぜそうなのか自分の頭で考えてほしい。(「はじめに ivページ」)
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あえてなじみのない言語を扱うことで、言語の仕組みを経験的なものに頼らず自分の頭で考えて理解しようとすることで、言語研究に必要な思考法が身につくようになっているのです。
また、第7章「言語をフィールドワークする」では、古閑先生の経験談を交えながら言語調査のフィールドワークの基本が解説されているなど、入門書でありながらも、とても実践的な1冊になっています。

フィールドワークを志す方はもちろん、言語研究をしていくうえでの土台を固めたいとお考えの方におすすめの1冊です。また、他の言語学入門書ですでに言語学の基礎を学んだ方は、実践的な本書で「腕試し」をする、という使い方もできると思います。ぜひご一読ください。


『フィールドワークではじめる言語学 なじみのない言語から考える』(古閑恭子著)詳細ページ https://www.hituzi.co.jp/hituzibooks/ISBN978-4-8234-1139-7.htm




2022.5.11(水)

『平家物語』

テレビでは、今年1月から放送をしていたアニメ『平家物語』は見られましたでしょうか。現在はNetflixなど動画配信サイトで視聴することができます。

オタク的ですが制作陣が豪華で(キャラクター原案が漫画家の高野文子、監督が『けいおん!』の山田尚子、アニメーション制作が『映像研には手を出すな!』のサイエンスSARU)楽しみにしていましたが、期待以上に印象に残る作品でした。

芸術的な「アニメーション」ではなく「アニメ」として作られていて見やすく、物語もキャラも音楽も全部良くて癖になってしまい、全十一話を見た後Netflixで再度見てしまいました。「平家悪行の始め」や那須与一が扇を射る場面など、名シーンもきっちりおさえられています。また、キャラクターの描き方も魅力的で、清盛や、特に後白河法皇は、なかなか大変な目にあっているのに悲惨さのない、したたかなキャラでとても良かったです。しかしキャラと言えば、いまNHK大河ドラマで『鎌倉殿の13人』が放映されていますが、同じ人物でもアニメよりも実写の方がキャラがエキセントリックに描かれているのはなんだろなぁと思ってしまいます。

オーブンニングテーマが、羊文学の「光るとき」という曲です。普通に過ごしていたら聴くことはなかっただろうなという曲も、主題歌などで何度も聴いていると、耳から離れなくなったりすることがあると思います。この曲がまさにそれで、何度も聴く内に『平家物語』の内容ととても響き合ってて、すごい、となります。名曲です。ここ数ヶ月は脳内で「光るとき」が無限ループしています。

そしてなんといってもバンド名が羊文学なので、親近感を覚えますね。ひつじ書房では現在、『21世紀日本文学ガイドブック3 平家物語』の編集をすすめており、この夏くらいには刊行できるかと思います。アニメ『平家物語』には間に合いませんでしたが、(5月末には『平家物語 犬王の巻』の映画『犬王』が上映されます)羊文学を聴きながら、編集作業をがんばりたいと思います。

本書は従来の作者論や成立論などからの入門書とは違う切り口で、物語を構築する諸モチーフから平家物語の世界に分け入っていく画期的な入門書となりますので、ぜひ楽しみにお待ちください。








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